古町に日常のにぎわいを。
「永井大地」さんのまちづくり。
カルチャー
2026.03.15
2023年、古町の地下街「西堀ROSA」ではじまった「古町夜市」。多くの人でにぎわったこの取り組みは、現在「古町ルフル」を会場に「古町横丁」として続いています。仕掛け人は「株式会社モアソビ」の代表、永井大地さん。自身が楽しみながら、まちづくりの「継続」に力を注いでいます。
永井 大地
Daichi Nagai(株式会社モアソビ)
1988年新潟市生まれ。立命館大学を卒業後、「株式会社新潟テレビ21」に入社。WEBマーケティングの会社を経て、独立。2023年に「株式会社モアソビ」を立ち上げる。日本酒が好きで、魚料理をつまみに楽しむ。
自由で、
自分らしい働き方を実現。
――永井さんは、テレビ局などにお勤めの後に独立されました。起業しよう、という考えは以前からお持ちだったんですか?
永井さん:「いつか自分なりのビジネスをやりたいな」とは、なんとなく頭の中にありました。でもそれをいつ、どうやって、というような具体的な計画を持っていたわけではないです。新卒で10年間勤めたテレビ局を退職し、転職を経験したことで、「起業するのは今なのかもしれない」と思ったんですよね。「よしやるぞ」と気合を入れて準備していたわけではないんですけど、「そのときが来た」みたいな。
――どんな事業をしようと思っていたんですか?
永井さん:とりあえず稼げて、飯が食えるのであれば何でも、と思っていました(笑)。その中で自分ができる領域は、広告代理業やWebマーケティングなど。なので自然と仕事の中身は、そのジャンルが中心になっていきました。
――独立後の心境はどうでしたか? プレッシャーもあったのではないかな、と思いますけれども。
永井さん:ひとことで言うと「楽しい」ですね。でも私、サラリーマンでもあるんです(笑)。運良くご縁をいただき、フルリモートで東京の会社に所属しています。「モアソビ」の事業だけに頼らなくてもいいところは安心感があって、なかなか良い働き方ができているかも、と思っています。
――今の時代らしい働き方ですね。
永井さん:雇われている身でもあるので、会社から求められている以上の成果を出したいと思っています。自分の会社だけに全力投球するわけにはいかないんですが、共通しているところも多くって。両方が有機的につながっているんですよね。サラリーマンとしての仕事が「モアソビ」に生きることも、その逆もあるんです。

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西堀ROSAを会場に、
「古町夜市」スタート。
――永井さんが代表を務めている「株式会社モアソビ」はどんなことをしているのか、改めて教えてください。
永井さん:まちづくり関連事業である「古町夜市」や観光業に特化した人材紹介、ピラティススタジオにライバー事務所の運営、独立当初から続けている広告代理業などを行っています。
――その中で読者の皆さんが参加しやすいのは「古町夜市」なのかな、と思っています。「古町夜市」はどういった流れではじまったんでしょうか?
永井さん:中学生時代、古町はすごく面白い場所でした。大学在学中に、WITHビルや大和がなくなってしまったんですけども、それでも古町には独特の魅力があって。テレビ局に勤めていたときには、なんとか古町にまつわる企画ができないものか、と思っていたんですけど、なかなかうまくいきませんでした。起業して、好きなことができる立場になったわけなので、もともとやりたかった「まちへの仕掛け」を実現しようと思ったんです。そこで注目したのが、西堀ROSAでした。2023年から3年間、西堀ROSAで「古町夜市」を開催しました。飲む、食べるが好きなので、ROSAが屋台村みたいになったら面白そうだな、と思っていたんです。
――ROSAが大勢の人で賑わったようですね。
永井さん:反響はとても良かったですね。僕は飲食業界に精通しているわけじゃなく、ましてやイベントを開催した経験もありません。幸いこれまでのコネクションがあったので、照明や音響、空間デザインのプロに相談することができました。魅力的な空間を作ることができた分、反響につながったのかな、と思っています。
――初イベントの開催間際は、どんな気持ちでしたか?
永井さん:怖かったですね。「楽しみ」なんて思える余裕はなかったです。でも当日、だんだん来てくれる人が増えてきて、少しずつ楽しめるようにはなりました。初回の開催日は、とんでもない大雪だったんですよ。朝方までタクシーがつかまらず、家に帰れなくて。今になればそれも、良い思い出話です(笑)
――どれくらいの来場者数だったんですか?
永井さん:年に2回、春と秋の土日に開催していた頃は、2日間で約5,000人の方に来ていただきました。期待以上の来場数に驚きました。2024年の7月から半年間は毎週「古町夜市」を開催し、そこからは飽きられてしまったところもあるのか、集客的には厳しいときもありました。
――それは大変だったのでは。
永井さん:僕としては「特別なイベントではなく、当たり前のようにそこで行われているもの」というふうにしたかったんですね。「イベント」という位置付けではなく、毎週開催することに意義がある、と思っていたので、集客以上に「日常の風景」にすることを目指していました。

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地下から地上へ。
より参加しやすい横丁スタイル。
――昨年からは会場を古町ルフルに移し、屋台が並ぶ「古町横丁」として続けていらっしゃいます。
永井さん:開催日は基本的には平日です。仕事終わりにフラッと寄ってもらいたいと思っています。地下から地上に上がって、参加しやすくなったと思います(笑)
――なぜ平日に開催するんですか?
永井さん:週末に開催しても意味がないので。土日は人が来て当たり前ですし、飲食店のお客さんを奪うことになります。打ち上げ花火のような瞬間的な盛り上がりは意図していません。僕は「平日に商機がある」と思っていたんですけど、周りからは「なぜ平日に?」と不思議がられました(笑)。結果的には1,000名以上の来場があって手応えを感じてはいるんですが、初年度は収支面の課題もありました。その部分の改善ともっと「日常化させること」を目標に、今年の「古町横丁」に向き合っていこうと思っています。
――まちづくりのイベントを続けるモチベーションはどんなところにあるんでしょう?
永井さん:続けないと意味がないですから。意地でも続けてやるぞ、という強い思いがあります。あと、僕自身が楽しめていることも大きいですね。誰かのため、このまちのために取り組んでいるという気持ちはもちろん心のどこかにあります。でもそれが第一というわけじゃないかも。心から自分が楽しんでいるから、他の誰かも楽しんでくれているんだと思います。
――たとえば、どんなところに楽しみを感じますか?
永井さん:大勢の人が楽しそうに飲食している様子、まちに人が集まっている様子を見て、「こういう場を作り出せて良かったな」としみじみ嬉しく思います(笑)
――達成感を感じるわけですね。
永井さん:ですね(笑)。その一方で、まだまだできることはたくさんあると思っていて。ひとまず今考えているのは、運営資金について。補助金をもらう事業が悪いわけではないんですけど、補助金頼みになってしまっては事業を続けることができません。いかに自力で収益を上げて、続けられる仕組みを作っていくかが大事だと思っています。
――永井さんは多くの事業を行っています。今後は専門分野を絞っていくつもり、などお考えはありますか?
永井さん:「古町夜市」「古町横丁」にインパクトがあるので、「イベント屋」と思われがちなんですが、個人的にはそうじゃないんだけどな、と思っているんです。理由はいくつかあるんですけど、大前提として「イベントでまちが賑わっている」のではなく、「日常的に活気に満ちている」状況にしたい、と考えているから。「まちづくりとはこうあるべき」というお手本があるわけじゃないので、手探り状態だし、すごく難しいことをやろうとしていると思っています。まちに関わり続ける中で、「古町横丁」のような取り組みが日本のどこかでお手本になったらいいな、と願ってこの事業を続けています。それとテレビ、広告、ライブ配信などのエンタメ系は私の基本路線です。新しいことをどんどん取り入れて、新潟に今までとはひと味違うエンターテイメントをもたらしたいですね!

株式会社モアソビ
永井 大地
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