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二足の草鞋で農業を発信する女性たち「農業Crew」。

  • ものづくり | 2019.08.26

幼馴染3人で結成された農業ユニット。伝えたい農業のカタチとは。

平日は会社員として働き、週末になると畑を耕す女性3人組「農業Crew(クルー)」。女性ならではの発想で「農業」を発信する彼女らの活動を聞きつけ、リーダーである長野さんの自宅兼畑までThings編集部が取材に行ってきました。女子会さながらの賑やかなインタビューの合間に差し挟まれる真面目な話にも注目です。

 

農業Crew

長野美凰 Miho Nagano

1993年新潟生まれ。帝京長岡高等学校、長岡造形大学を卒業。現在、「藤次郎株式会社」プロダクトデザイナー兼「農業Crew」リーダー。趣味はイベント主催とキャンプ。実家は米農家。

農業Crew

金子理沙 Risa Kaneko

1992年新潟生まれ。加茂農林高等学校を卒業後、下村工業株式会社にて自動研削を行う。楽しんでいる様子をカメラに収めるのが最近の趣味。実家は米と野菜農家。

農業Crew

小川沙織 Saori Ogawa

1992年新潟生まれ。加茂農林高等学校を卒業後、三条工機製作所にて製造部に所属。俳優・山崎賢人が大好きなミーハー女子。実家は野菜農家。

農業は、はじめたんじゃない。ずっとやっていた。

――長野さん、自宅にお招きいただきありがとうございます。図々しくもお邪魔させてもらいました(笑)。さっそくインタビューをさせてください。みなさんは農業だけでなく、普段は会社員なんですよね?

長野さん:そうなんですよ。「農業Crew」のメンバーは、平日は会社員として働き、週末は農家という二足の草鞋を履いています。

 

――なかなかハードな生活を送られていますね。会社員として働かれているのに、どうして農業をはじめたんですか?

長野さん:はじめたというよりか、実家が農家なので昔から農業は生活の一部だったんですよね。ゴールデンウィークは必ず田植え作業ですし(笑)

 

金子さん:わかるー!学生の時とか、本当に嫌だったよね。せっかくの休みなのに…。

 

 

――農家の娘、あるある話ですね(笑)。今までの農業は、どちらかといえば家業の手伝いですよね。どうして自分たちではじめようと?

長野さん:手伝いをしていたので農業に対して馴染みはもちろんありました。大人になってからおいしいモノを食べたり、大好きなビールを飲んでいたときに、ふと、これって農業からはじまっているんだって気がついたんです。ビールも小麦農家がいるから飲めているって。そしたら、自分が好きなモノが農業に繋がったんです。

 

小川さん:私の家は、祖母が野菜を作っているんです。両親は農業に興味がなく、このままだと小川家の農業が絶えてしまうって感じて。手伝う頻度が多くなるにつれて、農業にのめりこみはじめましたね。

 

金子さん:みんな、ちゃんとした理由じゃん(笑)。私なんて、高校で農業を学んでいたのもあったけど、みんなで「農業やらない?」みたいな話になったからノリですよ(笑)

 

農業の今に目を向けて。新しい楽しみ方を発信。

――農業をしっかりとはじめたキッカケは、それぞれなんですね。「農業Crew」とは、どういったユニットなんですか?

長野さん:年配の方がやめてしまったり、後継ぎがいなかったりといった理由で、三条(栄地区)は、どんどん農家の数が減っています。その問題を、どうしたら解決できるか考えたときに、農業や農作物を違った見せ方で楽しく見せられたら、若い人にもっと農業に興味を持ってもらえるんじゃないかと思ったんです。

 

金子さん:それで、この地域ではあまり目にしないビーツ、コリンキー、サラダゴボウなどの野菜を栽培して朝市で販売したり、ワークショップ形式のイベントを開催しています。

 

 

小川さん:あっ!白トウモロコシを育てたとき、事件が起きたんですよ。タヌキに食べられて全滅したんです(笑)

 

一同:(笑)

 

――育てるだけでなく、農業を違った切り口で発信しているんですね。イベントはどんな内容ですか?

長野さん:例えば、その日に採れた野菜や自分たちで育てた米を使った「朝ごはんイベント」では、みんなで朝ご飯を食べることを目的としています。暮らしの中で、朝ご飯は当たり前のことです。でも、どんな野菜が使われているのか、どこの調味料で味付けされているのかを知ってから食べると、朝ご飯に対する見方が変わります。

 

小川さん:この地域で育てられ、作られているモノしか使わないので地域の価値も再確認できる点もありますね。

 

――バックボーンが大切なんですね。最近の活動で大切にしていることはありますか?

金子さん:口に入るまでの過程を大切にしています。

 

――ん?どういうことですか?

金子さん:イチゴって、買ったらすぐに食べられるじゃないですか?それが桃になると、皮を剥かないと食べられなくて、“面倒くさい”が出てくるんです。そのせいで若い人は、あまり食べなくなっています。

 

長野さん:食べないと“おいしい”は分からないので、加工して簡単に食べてもらえるような取り組みをしています。ひと手間のせいで食べてもらえないのであれば、こちらが手間をかけて簡単にしたら食べてもらえるはずなので。

 

――確かに、簡単に食べられたらうれしいですね。

小川さん:バターナッツカボチャって、自宅で食べるにはちょっと難しいんです。でも、甘くてとってもおいしくて。なので、ゴマ豆腐を作っているお店と一緒に、バターナッツカボチャ豆腐を作っている最中です。あまり馴染みのない野菜が手軽に楽しめたら、その魅力を感じてられると思うんです。

 

「農業Crew」ならではの、農業していて良かったコト。

――活動をはじめて、良かったなと感じたことを教えてください。

長野さん:「おいしい」と言ってくれる人の顔が見えることですね。普段はオフィス内でプロダクトデザインをしているので、直接、お客さんの反応を見ることができません。家業の農家も同じです。どこが他人事だった農業が、自分事になったことですかね。

 

――イベントをすることで、反応が直に感じられたんですね。金子さんは?

金子さん:「農業Crew」がキッカケでカメラをはじめました。ずっとやりたいなとは思っていたんですが、重い腰が上がらずに…。活動を発信しようと思ってカメラを購入して、今では農業以外に、カメラの活動もはじめられました。違ったキッカケを与えてくれてよかったと思っています。

 

――活動をSNSで発信していますもんね。最後に、小川さん。よろしくお願いします。

小川さん:就職するまでバイトもしたことがなく、仕事場は製造工場なので、今までは自分が誰かのためになっている実感がありませんでした。それが市場で販売して「おいしかった」と言ってもらえたり、イベントで反応がみれたりして、誰かのためになっていることを実感しました。

 

――「おいしい野菜が育てられた」といった答えでないのが、「農業Crew」らしいですね。違った方向からの農業発信になっている気がします。なんか楽しそうですね。

金子さん:午前中に農作業をして、ランチをしながらガールズトークをして、ちょっとだけお昼寝したり。普段の畑仕事も満喫しているんですよ(笑)

 

SNSから繋がる、若者ならではの農業発信。

女子会に混ぜてもらったかのような楽しいインタビュー。アパレルショップ「Johnbull Private labo(ジョンブルプライベートラボ)」と異色のコラボを果たした楽しい話や、「農業Crew」らしい可愛く魅力的なパッケージのお米についての話など。聞いていてやっぱり気になるのは、どこで買えるのか。ショップを構えていない「農業Crew」の野菜などはどこで買えるのか、聞いてみると…「instagramのDMです」と。さすがインターネット世代の答えが返ってきました。市内の飲食店でも食べられるそうですが、自宅で食べたい方は、ぜひ「nogyo_crew」で探してみてください。最近、「農業のエロ本」という、なんとも男心をくすぐるコンテンツを立てたらしく、instagramでもちょっとだけ紹介されていましたよ。エロいです(笑)

 

 

 

農業Crew

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