野菜をメインにした身体に優しい定食が食べられるお店が加茂市にあります。「paradise*café(パラダイスカフェ)」。取材にお邪魔したら、想像以上にかわいい店内! さらにトイレの中まで楽しい工夫が! 店長の小柳さんとホールスタッフのneziさんに、おふたりの出会いやカフェを立ち上げるまでのお話、メニューのこだわりについて聞いてきました。
paradise*cafe
小柳 千春 Chiharu Oyanagi
1981年加茂市生まれ。店長。「にいがた食育・保育専門学校えぷろん」で製菓を学び、加茂市の「京家」で菓子作りを担当する。その後、イタリアンレストランやカフェで働き、2009年9月に加茂市で「paradise*cafe」をオープン。マンガを読むのが好きで、心の書は「幽☆遊☆白書」。
paradise*café
nezi
1977年三条市生まれ。イラストレーター、ホール担当。「新潟デザイン専門学校」でインダストリアルデザインを学び、ワイヤーデザインの企業に勤めた後、飲食店や雑貨店でアルバイトをしながらイラストを制作。「paradise*cafe」店内のデザインワークを手掛け、ホールスタッフとして接客を担当する。アニメや漫画が好き。
——「paradise*cafe」のおふたりはそれぞれの担当って決まってるんですか?
小柳さん:私が店長で、キッシュや製菓を担当してます。neziさんにはホールや店内のデザインワークを担当してもらってます。あと今はいないんですけど、私の姉が料理を担当してるんです。
——neziさんが担当している「デザインワーク」ってどういうものですか?
neziさん:お店のロゴマークとか、飾り付けとか……。あと名刺や年賀状、フライヤー、パッケージ関係のイラストやデザインをやってます。その中でも一番の自信作はトイレなんですよ。
——えっ? ト、トイレですか?
neziさん:ちょっと見てみますか? トイレの壁にイラストを描いたんです。トイレに座らないと見えないイラストなんかもあるんですよ(笑)
——わ、絵本の中みたいなトイレですね。こういうふうにイラストが使われていると明るくて柔らかいムードになりますね。
neziさん:ありがとうごいます(笑)。ちなみにデザインを担当する他に、私が作っているアイシングクッキーもお店で販売してもらっています。東京の料理教室や「日本アイシングクッキー協会」の研修で勉強して始めたんですけど、4年やってきてお客様からもご好評いただいてます。
小柳さん:私は「SWIMMER(スイマー)」っていうかわいい雑貨ブランドが好きで、お店もそんなイメージにしたかったのでneziさんにイラストをお願いしたんです。おかげで思い通りのイメージのカフェになりました。
——おふたりはどこで出会ったんですか?
小柳さん:お互いイタリアンレストランでアルバイトをしていたときに知り合ったんです。
——小柳さんはずっと飲食業界で働いてきたんですか?
小柳さん:私は新潟市の「にいがた食育・保育専門学校えぷろん」で製菓の勉強をして、加茂市にある「菓子処 京家(きょうや)」の焼き場でお菓子作りをしていました。当時はカフェブームで、私もプライベートでいろんなカフェに通っていたんです。通っているうちに、だんだん自分でもカフェをやってみたいって思うようになったんですよ。あと新潟伊勢丹で物販したときに、お客様と初めて向き合って接客したんですけど、そのとき、とても楽しかったんです。それもカフェをやりたいと思うきっかけになりましたね。
——それからけっこうすぐにお店をオープンしたんですか?
小柳さん:まだまだ勉強することがあったので、イタリアンレストランに勤めてスイーツを作ったり、フロアを担当してサービスを勉強したり、カフェに勤めてコーヒーの勉強をしたりしていました。neziさんと出会ったのはその頃ですね。
——夢に向かって着々と準備をしてきたんですね。neziさんはどうしてイタリアンレストランで働いていたんですか?
neziさん:私はイラストを描く仕事をしたかったんです。でも、どうしたらそういう仕事に就けるかわからなかったから、とりあえず「新潟デザイン専門学校」のインダストリアルデザイン科に入学したんです。
——インダストリアルデザイン? それってイラストっていうより工業的な……。
neziさん:当時はイラストレーター科がなかったので、よくわからないまま入ってしまったんです(笑)。で、工業デザインの勉強をしているうちに、ますます自分のやりたいことがわからなくなってしまったんですよ。卒業後はワイヤーデザインの会社に勤めたんですけど、自分に向かないことがわかったので、雑貨店や飲食店でアルバイトをしながら、プライベートでイラスト製作を続けてきたんです。そんなときに小柳さんと出会って「paradise*cafe」の立ち上げに誘ってもらったんです。
——料理はどんなところにこだわって作っているんですか?
小柳さん:「その人が育ってきた土地のものを食べることが、身体に馴染みやすい」って言いますよね。だからできるだけ新潟県産や地元の食材を使うようにしています。特に卵は必ず県産を使っていますね。地元で採れる山菜も手間をかけて下処理してから使ってます。そのおかげで、うちのメニューを懐かしがってランチに来てくれる年配の男性もいるんです。
——なるほど。言われてみると、確かに知らない土地の食事って口に馴染まないことがありますね。他にも料理で気をつけていることってありますか?
小柳さん:常連のお客様が多いので、いつもワクワクしてもらえるようにメニューを毎月変えるようにしています。メニューを考えるときは、常連のお客様の顔を思い浮かべながら作ることも多いんですよ。
——常連のお客さんには嬉しい話ですね。どんな料理がおすすめですか?
小柳さん:まずキッシュを食べてほしいです。全粒粉入りのパイ生地は他の店にはないサクサク感を楽しめます。うちのキッシュは厚さにこだわっているから、とても食べ応えがあると思いますよ。濃厚でなめらかな舌触りも特徴です。あとはこの七谷地区の野菜をメインに使った「ナチュラル定食」ですね。マクロビってわけじゃないんですが、野菜の美味しさを味わってほしいので、肉や魚を使ってないんです。でも他の食材で工夫してあるのでボリュームはありますね。
——野菜にはかなりこだわりを感じますね。
小柳さん:料理を担当している姉が、毎日のように知り合いの農家さんに通ってます(笑)。おかげで野菜の種類が少なくなる冬でも、農家さんで作っている保存食を分けてもらえるんです。農家さんと二人三脚でメニュー作りをしているんですよ。
——今後はどんなことをやっていきたいですか?
小柳さん:「paradise*cafe」をオープンしてから10年経って、やっと土台ができた段階だと思うんです。これからはまた10年かけてお店を活用しながら、県内外の食材、企業、アーティストとコラボして新潟県の発信をしていけたらいいなて思ってます。「新潟ってこんな美味しいものがあるぞ!こんなに楽しいぞ!」って。
neziさん:私は加茂市のいいところを発信したくて、加茂山公園のリスをモチーフにした「モンちゃん」っていうオリジナルキャラクターを作ったんです。そのキャラクターを使いながら、今後も加茂市のPRをしていけたらと思っています。
イラストがあちこちで顔をのぞかせるかわいい店内で、楽しそうなおふたりと話していたら、あっという間に時間が経ってしまってました。みなさんもこの心地よい空間で、身体に優しい料理を味わってみてください。かわいいものが好きな人には特におすすめですよ! トイレを使うのも忘れずに!
paradise*cafe
〒959-1361 新潟県加茂市大字下条甲480-13
0256-46-8983
12:30-17:00(月曜は18:00まで、土曜日曜は19:00まで)
火曜水曜休