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豊栄でフレンチの店をやるから意味がある。北区の「フランス食堂 清水」。

気軽に楽しめるフランス料理店を取材すると、店名に「ビストロ」とつけられていることがよくあります。「ビストロ」はフランス語で「小さな料理店」という意味。そこには、「気軽に楽しんでくださいね」というメッセージが込められているように感じます。今回ご紹介するフランス料理店は、「ビストロ」よりも、もっと私たちに馴染みのある「食堂」を名前につけたお店。その名も「フランス食堂 清水」です。いったいどんなお店なのか、店長の清水さんにいろいろとお話を聞いてきました。

 

フランス食堂 清水

清水 大輔 Daisuke Shimizu

1984年新潟市北区(旧豊栄市)生まれ。服部栄養専門学校卒業後、都内のフランス料理店などで経験を積む。28歳のときにワーキングホリデー制度を利用して渡仏。2017年に地元・旧豊栄市で「フランス食堂 清水」をオープン。

 

本格的なフランス料理を、「食堂」のような気軽さで。

——素敵なネーミングのお店ですね。馴染みのある「食堂」という言葉が使われているからか、落ち着く感じがします。どうしてこの名前にしたんですか?

清水さん:ビストロうんぬん、という名前にすると入りにくくなるかなと思って(笑)。小さい頃、フランス料理なんて食べたことなかったから、「気軽に入れるお店があったらいいな」と思って「フランス食堂 清水」にしました。

 

——フランス料理って、格式が高いイメージがありますもんね。

清水さん:そうですよね。以前、働いていたレストランも格式を重んじるところが多かったです。そこに来るお客さんって、食べることが大好きで、すごくパワーがあるんですよね。その姿を見たら、「美味しいものって人を元気にさせるんだな」って思いました。でも、同じようなお店をやっても代わり映えしないので、自分の店は「食堂みたいに気軽に来てもらえるお店」にしようと思ったんです。

 

 

——お店には、どんなこだわりがあるんですか?

清水さん:香辛料、バージンオイル、調味料なんかは、味見して「いいな」と思ったら、高くても使うようにしています。そうすると同じ調理法でもランクがぐんと上がったような味わいになるんですよね。

 

——へ〜、調味料ひとつで違うんですね。なんだか風味豊かで本格的な味が楽しめそう。

清水さん:日本人があまり使わないスパイスやハーブも積極的に取り入れているので、フランス料理らしい複雑な風味を楽しんでもらえると思います。常連さんからは「すごくいい香りだね」と喜んでもらっています。

 

食べる楽しみを広げたい。地元・豊栄でお店を持つ意味。

——清水さんがフランス料理のシェフを目指したきっかけは?

清水さん:生まれ育った地域が、旧豊栄市の田んぼの中にあるようなところだったので、小さい頃から外国に興味を持っていました。中学生のときに読んだ坂井宏行シェフのエッセイに、「コックさんとして船に乗って、いろんな国に行った」と書いてあって、これは最高だな、と。食べることが好きだったし、学校で勉強したくなかったので(笑)

 

——「料理の鉄人」でお馴染みの坂井シェフがきっかけだったんですね。

清水さん:それで高校を卒業したら都会に行きたくて、東京の服部栄養専門学校に進学しました。学校へ通いながら住み込みのアルバイトをして、授業が終わったらすぐに職場に行く毎日でした。貯めたお金で、いろんなお店に食べに行きましたね。

 

——高級なお店に行ったりも?

清水さん:そうですね。10年近く通ってから、お店の人に、「ワーキングホリデーでフランスに行くので、しばらくお店に来られないです」と言ったら、「いったい何歳なんですか?」ってびっくりされたことがありました。そこは年配のお客さんが多くて、値段もけっこう高めのお店だったから、若い人が来るとは思ってなかったみたいです。僕たちが初めて行ったのは18歳でしたから(笑)

 

 

——学生時代から、食への探究心が強かったんですね。専門学校を卒業してからは、どんなところで働いたんですか?

清水さん:アルバイトをしていたお店にそのまま就職しました。新潟市にもあるワインショップ「エノテカ」のレストラン事業部で、カジュアルフレンチのお店でしたね。それから、お菓子屋さんとパン屋さんで働いてみたくなって、アルバイトをしたこともありますよ。スイーツとかパンとかって、どうやって作って売るのか興味があったんです。

 

——ワーキングホリデーはいつ?

清水さん:28歳のときに1年間、ワーキングホリデー制度を使ってフランスに行きました。学生の頃から、昔ながらのフランスの家庭料理や郷土料理に関心を持っていたんです。それで、現地に行って本場の味を食べてみたいと思って。フランスでは、地元の人が行くようなお店を巡ったり、地方へ出向いてその土地の味を体験したりしました。

 

——日本に帰国してからはどうしたんですか?

清水さん:学生のときから「35歳までに地元でお店をやろう」と考えていたものの、日本に帰国したのが29歳だったので「33歳までに新潟に帰らずに都心で働いていたら、雇われの立場のまま独立はしないだろう」と思っていました。独立するか迷っていた32歳の時に、豊栄で料理人を探している人と出会って、ひとまずは地元に戻って働くことにしたんです。ところが、その仕事は聞いていた条件とだいぶ違っていて……。

 

——あらら。それでどうしたんですか?

清水さん:それであれば「自分の店をやろう」と、お誘いを断って開業に向けて覚悟を決めました。

 

——逆にいいきっかけになったんですね。この場所を選んだのはどうしてですか?

清水さん:本場の味が楽しめて、なおかつ気軽に行けるフレンチレストランが豊栄にあったら、地元のみんな、お店選びの選択肢が増えて楽しいじゃないですか。「北区は人が少ないから、中央区じゃないと繁盛しない」って言われましたけど、その言葉はあまり響かなかったですね。「自分がやらなければ、誰も豊栄で飲食業をやる人がいないんじゃないか」と思ったことも要因でした。

飲食業を目指す若者のために。

——オープンしてもうすぐ4年だそうですが、振り返るとどんなことを思いますか?

清水さん:とにかくあっという間でしたね……。新型コロナウイルスの影響が出始めてからは「自分にとって働くってなんだろう。なぜこの仕事にしたんだろう。飲食業の将来はどうなるんだろう」など、いろいろと考えるようになりました。悩んだ結果、定休日を減らして平日の夜を予約制にすることにしたんです。売り上げ面は以前よりも厳しくなりますが、時間に余裕ができたので、有効に使っています。これまでと少し違う働き方をして、飲食業を目指す若い人に「この仕事は辛いことばかりじゃない」って伝えたいですね。

 

——飲食業の未来や若い人のためにできることも考えているわけですね。

清水さん:都会でいろんな刺激を受ける方が成長できると思いますし、得るものは多いと思います。地元を離れて戻って来ない人も多いですが「田舎でもやれるんだ」と思ってもらえるようにお店を盛り上げて行きたいですね。

 

 

——最後に、これから目指していることを教えてください。

清水さん:このお店の看板メニューを作りたいですね。「作る」といっても、こちらが考えるんじゃなくて、お客さんがリピートしてくれて、結果的に名物料理が生まれるのが理想です。僕の好きなローストチキンが名物料理になったら嬉しいですね。

 

 

 

フランス食堂 清水

新潟県新潟市北区嘉山1-1-39

TEL: 025-369-4485

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