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元中学校の先生がはじめた小さな園芸店「Pianta moco」。

新潟市中央区にある「みんなの小さな図書館 ひとハコBase」。そのなかに「Pianta moco(ピアンタ モコ)」という小さな園芸店があり、かわいらしい植物たちが訪れる人を出迎えてくれます。お店を営んでいるのは中学校の先生をしていたという百瀬さん。今回は百瀬さんからお店のこだわりや、植物に対する思いを聞いてきました。

 

 

Pianta moco

百瀬 洋 Yo Momose

1996年新潟市中央区生まれ。神奈川県の工業大学でロボット工学を学び、中学校の教員として3年間技術家庭を担当。2022年に「Pianta moco」をはじめ、2023年3月に「みんなの小さな図書館 ひとハコBase」内で店舗をオープン。ゲームやアニメが好き。

 

ロボット工学を学んだ中学校の先生が園芸店をオープン?

——百瀬さんは以前、中学校の先生をされてたんですよね。

百瀬さん:はい。中学校で技術家庭の教員をやっていました。

 

——どうして先生になろうと思ったんですか?

百瀬さん:僕は中学2年生のときに不登校になってしまって、先生方にはずいぶんお世話になったんですよ。それ以来、自分も将来は学校の先生になりたいと思うようになりました。

 

 

——だから中学校を選んだんですね。教えていた教科は技術家庭だったんですよね。

百瀬さん:アニメやゲームが好きだったこともあって、高校時代は「ロボット部」に所属していました。ロボット同士を競い合わせる「ロボコン」へも出場していたんです。それでますますロボットに興味を持ったので、神奈川にある工業大学に進学してロボット工学を学びました。その大学で教員免許を取ったんです。

 

——ロボット工学を勉強されていた百瀬さんが、植物を扱う園芸店をやっているのが不思議ですね(笑)。どうして中学校の先生を辞めちゃったんですか?

百瀬さん:僕が教えていた技術家庭って、ものを作ったり育てたりする授業なんですよね。何度も何度も失敗を繰り返して、失敗のなかから学んでいくものなんです。でも時間の限られている学校の授業では1度きりしかチャレンジできないし、その結果に対して成績をつけなければならないんですよね。そのことについて僕はずっと疑問を抱いていたんです。

 

 

——そうした葛藤があって学校を退職されたんですね。それにしても、園芸店をはじめたのはどうして?

百瀬さん:もともと趣味で植物を育てていたので、自分でお店をやるんだったら園芸店をやりたいと思っていたんです。中学校の先生をやっていたときも、自分が育てている植物を担任のクラスに持っていって、生徒と一緒に育てていました(笑)

 

——以前から植物がお好きだったんですね。

百瀬さん:小学生のときに新潟県立植物園で開催された「食虫植物展」を見たのがきっかけなんです。それまで見たこともないような面白い植物があることを知って、いろいろな個性を持っている植物に興味を持ちました。

 

植物にも、学校の先生のような愛情を注ぐ。

——「ひとハコBase」のなかで店舗をオープンされたのはどうしてなんですか?

百瀬さん:昨年の秋頃から「Pianta moco」として、イベントで植物の販売をしたりワークショップを開催したりしていたんです。でもいずれは店舗を持ちたいと思っていました。そんなときに「ひとハコBase」がオープンすることを知って、「Pianta moco」の宣伝も兼ねて植物関係の本や植物を置かせてもらおうと思ったんです。

 

——なかなかいいアイデアですね。

百瀬さん:その相談をするために館長の佐藤さんにお会いして、自分のやりたいお店のビジョンをお話しさせていただきました。そしたら意気投合して「一緒にやろう」と誘っていただけたんです。本当に感謝しています。

 

 

——素晴らしい出会いだったんですね。店舗ではどんなことをやっていこうと思っていますか?

百瀬さん:植物の販売はもちろん、園芸の相談に乗ったり、「グラスアート」と呼ばれるグラスを使った鉢植のワークショップを開催していこうと思っています。

 

——私は植物を育てることが苦手なんですけど、育てるためのコツってあるんでしょうか。

百瀬さん:まずはその植物の特性を知っていただきたいです。例えばアフリカの植物をまったく環境の違う新潟で育てるなら、その植物に合わせた育て方をしてほしいですね。僕は仕入れたまま販売することはせずに、土に手を加えて室内でも育てやすいようにしてから販売しているんです。せっかく買っていただいた植物がすぐに枯れてしまうことほど悲しいことはないですからね。

 

 

——それでも育てるのが不安な場合は……。

百瀬さん:そういうお客様でもきちんと育てられるように、丁寧に説明するよう心がけています。自分が手間をかけて育ててきた植物は学校の生徒と同じような存在ですので、適当に販売したくはないんですよね。お客様にも我が子のようにかわいがって、末長く一緒に過ごしていただきたいですね。

 

——植物への愛情を感じます。

百瀬さん:植物って、言葉を話さないけど生きているんですよね。花が咲いたり、しおれたりしていろいろなメッセージを伝えてくれます。そうした植物の生きる姿を通して、子どもたちにも生命について学んでもらえたら嬉しいです。動物みたいにわかりやすい反応はないけど、生き物としてかわいがってあげてほしいですね。

 

——親子で植物を育てるのもいいですね。つい先日オープンされたばかりですけど、今後やってみたいことがあったら教えてください。

百瀬さん:技術家庭の先生だった経験を生かして、園芸棚のオーダーメイドもやっていけたらいいなと思っています。お店のなかにある棚は全部自分で作ったんですよ。あと夏休みになったら、子どもたちの自由工作を手伝ってあげたいです(笑)

 

 

 

Pianta moco

新潟市中央区近江2-20-30 ひとハコBase内

10:00-17:00

月金曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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