以前「Things」でも紹介させていただいたJR新潟駅前の人気店「ベントエマーレ新潟」。そこで店長を務めていた牧野さんが独立し、東区の住宅街で「PIZZERIA NARDI(ピッツェリア・ナルディ)」を新たにオープンしたんだそうです。奥様の美夢さんと一緒に、お店についてのお話を聞いてきました。
PIZZERIA NARDI
牧野 貴仁 Takahito Makino
1981年東京都生まれ。大学卒業後、ビストロやピッツェリアの修業を経て、2016年に「ベントエマーレ新潟」をオープンし「ミシュランガイド新潟2020」でミシュランプレートを取得。2024年に独立して妻の美夢さんと共に「PIZZERIA NARDI」をオープン。
牧野 美夢 Miyume Makino
1980年 宮城県生まれ。東京のデザイン制作会社を経て、30代でネイリストに転身。その後 新潟に移住し、忙しい貴仁さんのサポートで「ベントエマーレ新潟」のマネージャーに。2024年 に独立し「PIZZERIA NARDI」をオープン。
——オープンおめでとうございます。貴仁さんは「ベントエマーレ新潟」の店長だったわけですが、このたび独立したいきさつを教えてください。
貴仁さん:2年くらい前「ベントエマーレ」のオーナーに、これから店をどうしていきたいのか聞いてみたんです。そしたら「これ以上店舗を広げたいわけではなく、むしろ身軽になりたい」という気持ちだとわかったので、独立して新しく店をオープンする決意が固まりました。
——今まで営業してきた「ベントエマーレ新潟」は新潟駅前にありましたけど、新店舗は思いっきり住宅街ですよね。
美夢さん:ここでベーカリーを営んでいた「cosa(コサ)」さんが閉店することを知って物件を見に来てみたら、海や公園が近くて自然豊かな環境だったのでひと目惚れしました(笑)
貴仁さん:今までは人の多い駅前で営業してきたので、これからはゆったりと営業したいと思っていたんです。その点、このあたりはいい感じの抜け感があって、理想にぴったりの環境だと感じました。
——そっか、ここは「cosa」さんの店舗でしたね。
美夢さん:「cosa」さんにはいろいろとご協力をいただき、お世話になったんです。奥様からは「商売に疲れたときは、目の前にある海を眺めたらいいよ」なんてアドバイスもいただきました(笑)。「cosa」さんの常連だったお客様もご来店くださるんですけど、いかに愛されていたお店だったかがわかりますね。
貴仁さん:「cosa」さんはベーカリー、うちはピッツェリアなので、どちらも小麦粉を使う商売なんです。だから使えるものものは残していってくれました。なかでも粉をすくうスコップは使いやすいので、愛用させていただいています(笑)。受け継いだ小麦粉の灯火を消さないようにしていきたいですね。
——とってもいいお話ですね。ちなみに、店舗はどのように改装したんでしょうか?
美夢さん:夫はDIYが好きなので、ほとんど自分で改装したんですよ。
貴仁さん:改装をはじめたときは具体的なレイアウトが決まっていなかったので、妻と相談しながら2か月かけて改装していきました。パーテーションやテーブルも自分で作ったんです。入口のウッドデッキは改装の際に出た廃材を使って作りました。
——ほとんど自分で改装したのはすごいですね。内装はどんなイメージで作られたんですか?
貴仁さん:いろんなお客様にお越しいただきたいので、はしゃぎすぎず、かといって落ち着きすぎない雰囲気を心掛けました。あと働きやすい動線を意識しましたけど、なかなか思うようにはならなかったですね(笑)
美夢さん:堅苦しい店にはしたくないと思っているんです。お子様連れの方はまわりに気を使ってなかなか外食しにくいかもしれませんが、うちの店には気軽にお越しいただきたいと思っています。
——オープンにあたって、どんなお店にしたいと考えましたか?
貴仁さん:自分の親と子どもが食べて「美味しい」と言ってくれるピザを目指しています。日本ではピザをみんなでシェアして食べることが多いですよね。そのときに、子どもからお年寄りまでみんなが「美味しい」と思ってくれるピザを提供したいんです。
——そのために心掛けていることがあったら教えてください。
貴仁さん:常に少しずつ改良しています。ただ、そのときのコンディションによって、味はもちろん食感や香りは変わってきますので、やり方を変えたらしばらくはそのまま様子を見て、慎重に改良を重ねるように気をつけていますね。
美夢さん:味が変わらないように、すべて夫がひとりで作っているんです。
——ピザに対するこだわりの強さを感じますね。
貴仁さん:ピザが好きで好きで、どうしてもやりたくてはじめた仕事ですから、熱量やこだわりは誰にも負けません。僕は余裕を持って仕事をするのが好きじゃないんです。余裕があるのならもっと一生懸命できると思っちゃう。ピザを1枚だけ焼くにしても、おしゃべりしながら焼くのと目を離さず真剣に焼くのとでは、焼き上がりが変わってくるんですよ。
——なるほど。ところでお店をオープンしてみて反響はいかがですか?
美夢さん:「ベントエマーレ新潟」のときに来てくれていたお客様が足を運んでくださったり、地元の方々が立ち寄ったりしてくださいます。その期待には応えられる店でありたいですね。
貴仁さん:そのためにも営業が終わった後には毎日反省会をして、オペレーションをより良く改善しています。売上が良くてもオペレーションが悪かったときなんかは、後悔の気持ちが大きいんです。
——それはまたストイックですね。
貴仁さん:お客様のために美味しいピザやいいサービスを提供して喜んでもらえれば、結果はあとからついてくると思っているんです。
美夢さん:どうしたらお客様に喜んでもらえるのかを、常にふたりで考えています。サービスのことでは意見がぶつかってしまって、しょっちゅう喧嘩しているんです(笑)
——傍から見ていると、とっても仲良く見えますよ(笑)。それだけおふたりともお客さんのことを考えているんですね。
貴仁さん:私たちからすれば100ある作業の内のひとつでも、お客様にとっては大切なひとときだと思うんです。もしかしたら大事な記念日かもしれないし、遠くからわざわざ足を運んでくださっているかもしれませんからね。
美夢さん:そういうことを後から知って「もっとこうすればよかった」と後悔しないように営業していきたいと思っています。
PIZZERIA NARDI
新潟市東区船江町1-26-15
025-385-6237
11:30-15:00(土曜は11:00オープン)
日曜休