無添加、自家製…やさしい食事とゆるやかな時間「燦燦カフェ」。
カフェ
2019.07.17
角田山の麓。目の前には日本海。自然豊かなカフェを見つけた。
遠浅の広い砂浜、佐渡に沈む夕日、夜には幻想的な光を放つ角田崎灯台、山を登れば沢があり、時期になれば山菜も採れる。そんな豊かな自然に囲まれた角田山の麓に、「燦燦カフェ(サンサンカフェ)」はあります。自家製調味料や無添加食品にこだわった料理で、いま注目のお店です。ロケーションのこと、メニューのこと、店主の髙橋さんにお店のアレコレをお聞きしてきました。

燦燦CAFE
髙橋英一 Eiichi Takahashi
1973年生まれ。20歳で飲食店(Bar)と建築デザイン事務所を設立。プロ総合格闘家、パンクバンドのメンバーとしての経歴があり、書道や華道も嗜む。2017年11月「燦燦CAFÉ」をオープン。店名ロゴは、直筆。
ここからの景色に一目惚れ。やっと巡り会えた場所。
――角田山と角田浜に挟まれて、抜群の立地ですね。この場所で「燦燦CAFÉ」をはじめた理由は、やっぱりロケーションですか?
髙橋さん:そうですね。はじめに自分でお店を持ったのは20歳の時でした。その時から「45歳になったら、自然がたくさんの環境でゆっくりとコーヒーを淹れながらお店をやりたいな…」って思っていて。海も山もあるロケーションをずっと探して、やっと巡りあったお気に入りの場所です。
――アクセスはどうですか?やっぱり不便なこともありますか?
髙橋さん:そうでもないですよ。市街地までは車で30分もあれば行けますし。それに佐渡に沈む色鮮やかな夕日が見れて、泳ぎたければ1分で海、真裏には山があるので山菜を採ったりもできますし。どちらかというと「駅まで徒歩3分」より、「海や山まで1分」のアクセスが重要ですね(笑)。あ、お店の前にバス停があるんですよ。見ました?

――え?バス停ですか?気が付かなかったです。
髙橋さん:西蒲区エリアのお店に声をかけて、新潟市と試験的にはじめるプロジェクト「にしかん観光周遊ぐる~んバス」専用のバス停なんです。JR巻駅から「カーブドッチ」「だいろの湯」「レガーロ」など、西蒲区のお店や施設を巡るバスが走るんですよ。郊外だとお酒が飲めないし、ちょっとしたツアーみたいに楽しんでもらえると思います。
――飲んだ後の運転を気にしなくていいのは、かなりうれしいです。髙橋さんはこの場所に来た時、どんな感動がありましたか?
髙橋さん:村上エリアも行きましたし、いろいろな場所を巡っていたんです。この場所を見つけた時、ちょっとだけ山に登って景色を見てみたんです。ここからの景色こそが思い描いていた景色だなって、一目惚れしました。日本海が見えて、山があるといっても、どこでも同じ景色じゃないですからね。1年を通して、さまざまな自然の顔を見せてくれますよ。

100%無添加、地産地消、自家製。こだわった身体においしいごはん。
――店名にある“燦燦”とは、どのような意味が込められているのですか?
髙橋さん:この漢字には、優しく降りそそぐ太陽の様子や気持ちといった意味があります。とてもいいコトバだと思い、古町でやっていた軍鶏料理の店でも「燦燦」という店名を使っていました。
――古町でも、お店をやられていたんですね。
髙橋さん:はじめはバーをやって、パンクバンドもしてたし…総合格闘技、書家などなど。経歴でいったらたくさんあるかな。お坊さんでもあるしね(笑)。
――えぇ??経歴の振り幅がすごいですね(笑)
髙橋さん:柔と剛じゃないけど、激しいものと繊細なものを両立することで、いろいろなバランスを保っていたんだよね。まぁ、その経験もあって、今の料理があるともいえるかな、って思います。すべて未経験ではじめて、興味に対しての探求心でやり続けてきたから。料理だってどこかで修業したわけじゃないし、自分で学んで。まぁ、モテると思ってはじめたサーフィンはやめちゃったけどね(笑)。

――探求心が凄いんですね。だからこそ、「燦燦CAFÉ」のメニューにもこだわりが?
髙橋さん:繋がっていることは、とても多いですね。「燦燦CAFÉ」では100%無添加、地産地消、自家製の3つを特にこだわっています。“身体においしいごはん”を心掛けて、四季の移り変わりも感じてもらえるように考えていますね。
――3つのこだわりは、どれもとても大変だと思いますが。
髙橋さん:100%無添加なんかは、すぐにできたわけじゃなくて。今までやってきた店を経て段々と100%に近付いてきたんです。無添加なら何でもいい。そんな考えではなく、やっぱり食べるならおいしい方がいいじゃないですか?全国から醤油や酢を買ってきて舐めてみたり、はじめは知識も浅かったからたくさん教えてもらったし。調味料だって、すべて手作り。さすがに醤油とかは無理だけど。自家菜園で採れたハーブも、いちから引いています。

――確かに、身体にやさしいだけでなく、おいしさも重要ですよね。
髙橋さん:だから食材は、とことんこだわり抜いています。地元の農家さん、漁師さんはもちろん、必ず顔の見える方から仕入れているんです。肉だって、生産者から。そうするとおいしい時期がわかるし、直接話をさせてもらうことで、相手も本当においしいものを提供してくれるんです。そして、手間を惜しまないこと。
――手間というと?
髙橋さん:昔のヒトって、昆布を干したりするのが当たり前だったんです。おばあちゃん子で、そんな姿を見ていて。それに、「手間をかけるのはタダだから」と教えられていたんです。手間をかければおいしくなるなら、喜んでもらえるなら、「燦燦CAFÉ」の料理は、おいしくなるよう手間を惜しみません。家族の食事を作るように。

「燦燦カフェ」で食べる、やさしくて、ほっこり美味な料理たち。
今回ご紹介する「村上牛のローストビーフ定食」はご覧の通り。メインとなる村上牛のローストビーフと、地元の農家さんから届く新鮮な野菜をたっぷりつかった小鉢が6種類。さらに自家製スープにたっぷり盛られたサラダ。丁寧に下処理されたローストビーフを差し置いて、小鉢を目的に来店される方も多いとか。この日は「いぶりがっこのポテトサラダ」「ニシンの山椒漬け」「インゲンと越の鶏の白和え」など、季節が感じられる品々がそっと添えられていました。


そして無添加を貫いた「燦燦のフレンチトースト」。しっかりと漬け込まれたブリオッシュを、じっくりゆっくりオーブンで焼き上げています。サクッとした表面にナイフを入れると、トロッとしたパンプディングのよう。素材の味わいがストレートに伝わり、食後のデザートにも、コーヒータイムの相方にも。

これから先は何をする?どんな存在になりたい?
最後にこれからのこともちょっと聞いてみました。「あとは引退かな(笑)。パンクバンドを解散した時に、50歳まではバンドをしない!って言い切ったから、50歳になったらバンド活動を再開しないとでさ」と、髙橋さん。ちょっと冗談交じりで答えてくれた後には、「自分のためじゃなくて、ひとに喜んでもらうためのコトをしたい」と真面目に話してくれました。海があり、山も川もあり、市内まで車で30分。こんな素晴らしい環境を、田舎という一言でまとめてしまっているひともいます。でも本当はそうじゃない。この場所の素敵なところ、そして“身体においしいごはん”をこれからも伝え続けてもらいたいと、夕日が沈む海岸線を眺めながら帰路に就いたのでした。
燦燦CAFÉ
新潟県新潟市西蒲区角田浜157-4
0256-70-2233
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