新潟を拠点に活動し、今年の5月にリリースしたファーストEP「終活新布教盤」でメジャーデビューした「終活クラブ」というロックバンドをご存知でしょうか。メディアで紹介される際にはメンバー全員がお面をつけて「仮装」している、とっても気になるバンドです。今回は「終活クラブ」を代表して、ボーカルとギターを担当している「少年あああああ」さんに、新発田市の「やすけカレー」さんでカレーを食べながらお話を聞いてきました。
終活クラブ
少年あああああ ShounenAAAAA
新潟県生まれ。サラリーマン生活を経て音楽の道へ。「少年あああああ」として楽曲制作や配信を開始。2020年に5人組ロックバンド「終活クラブ」を結成。2024年にはファーストEP「終活新布教盤」をリリースしメジャーデビューを果たす。新潟を拠点に全国で活動している。
——この度はメジャーデビューおめでとうございます。「終活クラブ」っていうのは、どんなバンドなんでしょうか?
少年あああああ:キャッチーなバンド名やポップなキャラクターを武器にしつつ、歌詞にこだわった5人組の日本語ロックバンドです。
——確かに「終活クラブ」というネーミングにはインパクトがありますね。
少年あああああ:バンド名を考えているときに「終活」と「日本語大好きクラブ」のふたつで迷ったんです。メンバーにどっちがいいか聞いてみたら「どっちもダメだろ」って言われてしまいました(笑)。そこでふたつを合体させてみたら、なんか座りが良くなったんです。
——「日本語大好きクラブ」はともかく、「終活」はどこから出てきた言葉なんですか?
少年あああああ:僕はサラリーマンをやっていたんですけど、ふと「自分の人生はこのままでいいのか」と思ったんです。自分のやりたいこともやらずに歳を重ねていって、悔いを残したまま死にたくなかったんですよ。それが「終活」の意味なんです。
——その「終活」にあたるものが「音楽」だったんですね。
少年あああああ:そうなんです。そう思った次の日には、会社を退職して無職になりました(笑)
——潔いというか、なんというか……(笑)。ちなみに、音楽に目覚めたきっかけはあったんですか?
少年あああああ:小学生のとき、スーパーで売られていた逆輸入盤CDを買ったんです。当時流行っていたポップスのCDを買うつもりが、なぜか間違えてロックのCDを買ってしまって。それを聴いているうちに、歌詞の持つ魅力にハマってしまいました。
——間違って買ったCDがきっかけというところに、なにか運命を感じますね。
少年あああああ:僕も歌詞を作ってみたくなって、ノートに歌詞を綴っていました。今でも歌詞を作り続けているので、もうライフワークみたいなものですね。先日、自分の作った歌詞を掲載したホームページがまだ残っているのを発見してしまい、恥ずかしくてすっごく嫌でした(笑)
——大昔に作ったものって、そう感じますよね(笑)。ギターはいつからはじめたんですか?
少年あああああ:高校生くらいになると、ギターを弾きはじめる奴が増えるじゃないですか。僕も弾いてみたくてギターを買ったんです。そしたら、今度はひとりで弾くだけじゃなくバンドで演奏してみたくなってきて、大学で軽音楽部に入りました。自分の作った曲をライブで演奏することができて、とても楽しかったですね。
——音楽をやりたくて無職になったわけですけど、それからはどんな活動を?
少年あああああ:DTM(デジタル・トップ・ミュージック)で音楽を作って、サブスクで配信をはじめました。その頃から「少年あああああ」として活動をはじめたんです。
——「少年あああああ」ってネーミングも強烈ですね。
少年あああああ:無職になってしまって、この先どうしていいかわからずに、寝転がって目をつぶっていたんです。そのときに「目を開けたら少年に戻っていないかな。このままの中身で少年になりたいな」って考えたんですよ。だから少年のお面で顔を隠して「少年」と名乗っているんです(笑)
——なるほど(笑)。でも「あああああ」っていうのは……?
少年あああああ:名前は適当でよかったんです。ゲームで名前を入力するときに、面倒だと最初にある「あ」の字を連打するじゃないですか。そんな感じですね。
——バンドを結成したのはどうしてなんですか?
少年あああああ:コロナウイルスの影響で、バーと化していたライブハウスへよく遊びに行っていました。そのときに僕の作った曲を聴いてもらったら、ライブハウスの専務に「この曲はバンドでやった方がいい」とアドバイスをいただいたんです。それで大学やバイト先の友人を誘って「終活クラブ」を結成しました。
——そういういきさつだったんですね。
少年あああああ:でも困ったことに担当する楽器がかぶっちゃったんです(笑)。ギターが3名、ドラムが2名、ベースやキーボードはいませんでした。だからドラムとギターからひとりずつベースとキーボードに振り分けたんです。
——それぞれベースとキーボードの経験はあったんですか?
少年あああああ:それが未経験だったんですよ(笑)。それぞれ上手い人を紹介してもらえるという話もあったんですけど、以前から「いつか一緒にバンドをやろう」と約束していたメンバーでやりたかったんです。「終活」としてのバンド活動ですから、後悔しないことが大前提だったんですよね。
——でも、最初は大変だったんじゃないですか?
少年あああああ:結成してひと月でレコーディングしました(笑)。そんな状況でしたから、めちゃめちゃ時間がかかりましたね。しかも、5か月後には初ライブがあったんです(笑)。死ぬほど練習しました。
——新潟に住んだまま、メジャーデビューしたのはすごいですね。
少年あああああ:「VAP(バップ)」からメジャーデビューさせてもらったんですけど、担当の方は僕らの活動を尊重してくれるんです。今までのスタイルのまま、今までのファンを大切にしてほしいと言ってくれています。本当にありがたいです。
——メジャーデビューして変わったことはありますか?
少年あああああ:メジャーデビューしてからというよりも、バンドを続けてきたなかで変わってきたことはあります。はじめた当初は自分に向けた歌詞しか作れなかったんですけど、だんだんと聴く人に伝えるための歌詞を作るようになりました。レコーディングでも聴いている方を意識して歌うように変わりましたね。
——歌詞を書くときは、どんなことにこだわっているんでしょうか?
少年あああああ:時間をかけないようにしていますね。
——えっ? 時間をかけるんじゃなく?
少年あああああ:寝て起きたら気持ちが変わっていることってあるじゃないですか。だから、自分のなかにまだ気持ちが残っているうちに書くようにしているんです。
——そういうことなんですね。どんなことを歌詞にすることが多いんでしょうか?
少年あああああ:ふだん口に出せるようなことを歌詞にしても仕方ないので、自分の心にあっても口には出せないことを歌詞にしています。話すと許されないようなことも、音楽に乗せることで許されることってありますよね。僕は音楽をやっていなかったらSNSで裏アカウントを作って、ドロドロした気持ちを投稿しまくっていると思います(笑)
——音楽をやっていて良かったです(笑)。他にも歌詞を作るときに心掛けていることはありますか?
少年あああああ:語感としての耳ざわりの良さは、聴いてもらう上で絶対に必要だと思っています。ただ、特に聴いてもらいたい部分をわざと外して、引っかかるように作ることもありますね。
——ところで、現在は全国ツアー中なんでしたっけ?
少年あああああ:「全国終活化計画」というツアーで全国を回っています。でも、新潟ではそれ以外に月1回はライブをやっていますので、気になった方はぜひ来ていただきたいです。ライブをやっているときがいちばん楽しいですね。
——メジャーデビューして活動の幅も広がっていくと思うんですけど、これからやってみたいことはありますか?
少年あああああ:アニソンです! これはVAPに向けて言っています(笑)
終活クラブ