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三条「サン・フォーレット」の石山さんに聞く、パン作りのお話。

三条市にある「サン・フォーレット」は土日になると行列ができるほどの人気ベーカリーです。このお店でパン作りを学び、そこから巣立って自分のお店を始めた人もいるそうです。その「サン・フォーレット」で現在、工場長としてパン作りの中心的な役割を担っているのが、石山さん。石山さんは最近、店の商品の見直しを始めたのだとか。今回のThingsでは、その理由や見直しの内容についてご本人から直接お話を聞いてきました。

 

 

手づくりパンの店 サン・フォーレット

石山 範康 Noriyasu Ishiyama

1971年新潟市西蒲区(旧西川町)生まれ。地元コンプレッサーメーカーの工場で働きながら、奥さんのお父さんがやっていたベーカリー「サンジェルマン」の手伝いをしていたのがパン作りに関わるきっかけ。その店が三条に移転し「サン・フォーレット」としてリニューアルオープンしたタイミングで、工場を退社して「サン・フォーレット」に就職。社長が代替わりしたタイミングで工場長に就任する。

 

厳しい先代社長に怒られながら叩き込まれた、パン作り。

——石山さんは「サン・フォーレット」の工場長なんですよね。パン職人としての経験は長いんですか?

石山さん:高校を出てすぐ、地元にあるコンプレッサーのメーカー工場で製造の仕事をしていたんです。その頃から付き合っていた妻の実家が旧吉田町の「サンジェルマン」というパン屋だったんですよ。それで当時からときどき店の手伝いをしていました。ちょうどバブル景気が終わって製造の仕事が暇になってきたので、仕事終わりや週末に「サンジェルマン」の応援に行くようなかたちで。

 

——その頃からパン作りをしていたんですか?

石山さん:いえ、当時はまだトレイを拭いたり、材料の下準備をしたりといった雑用ばかりでした。本格的にパン作りを始めたのは「サンジェルマン」が三条に移転して「サン・フォーレット」としてリニューアルオープンしたときに入社してからなんです。

 

 

——パン職人としての仕事はいかがでしたか?

石山さん:パン作りをまったくやったことがなかったので、最初の頃は大変でしたね。とくに先代社長はとても厳しい人だったから、私なんて怒られてばっかりいました。ほんのちょっとイスが曲がっていたり、床が汚れていたりする細かいところに気がつくんですよ。仕事でミスしたときに言い訳したりすると「口答えすんな!」なんて言われてね。

 

——仕事のミスで覚えていることはありますか?

石山さん:私は一番最初に窯を担当していたんですよ。でも実はパン作りの工程で窯が一番苦手なポジションなんです(笑)。私はよくタイマーをかけ忘れてしまって、焼いているパンを焦がしてしまったんです。焦がしてしまったらもう修正はできないので、責任重大なポジションなんですよね。

 

時代に合わせて商品を見直し、ブラッシュアップ。

——「サン・フォーレット」のパンは、先代の頃から変わらない味なんでしょうか?

石山さん:実は昨年から商品の見直しをしているんです。時代に合わせた作り方や味にしていくことで、よりお客様に喜んでもらえるような商品にブラッシュアップしたいんですよ。

 

——たとえば、どんな見直しを?

石山さん:大きく変わったのは食パンですね。今までマーガリンを使っていたんですが、フレッシュバターと生クリームを使うように変更しました。小麦粉も北海道産の「はるゆたか」を使い始めたんです。この「はるゆたか」という小麦は病気に弱いので生産農家が少なかったんですけど、数年前から生産が安定してきたのでようやく使えるようになったんです。でも、一般的な小麦の倍くらいの価格なんですけどね(笑)

 

 

——おっと、そんなに高い小麦を……。

石山さん:私はこの小麦の風味が大好きなんです。素材を引き立てるために、塩と砂糖しか使わずに天然酵母で仕込んでいるんですよ。多めに給水しているので3日間くらいはもちもちした柔らかさが持続します。レーズン食パンも最近レーズンを増量したんです。こっちも増やし過ぎて採算が合わないんですけどね(笑)

 

 

——じゃあ、かなり思い切った見直しをしているんですね。他にも見直した商品はあるんですか?

石山さん:うちは10年前から6月〜8月の夏期限定で「アイスパン」というのを作っているんです。アイスを挟んだパンを丸ごと凍らせた商品なんですが、今年は流行しているマリトッツォを同じように凍らせた「アイスマリトッツォ」を作っています。それと毎年9月からはシュトーレンの販売も始めていたんですけど、今年は「アイスシュトーレン」にもチャレンジしてみようと思っています。

 

——いろんな新しいパンに挑戦しているんですね。新商品の開発って簡単にできるもんなんですか?

石山さん:いや〜、なかなか難しいですね。新しいレシピを組むときはあらかじめ味や食感のイメージをするんですけど、イメージ通りにいかないことの方が多いんです。試行錯誤を重ねて、最終的にはスタッフのみんなに食べてもらって、意見を参考にして作り上げています。でも苦労して作ったパンをお客様がどんどん買っていってくれるのを見ると、苦労も報われる思いがします。買ってくれるっていうことは、喜んで食べてくれているってことですからね。

 

先代への恩返しのためにも、店を守り続けていきたい。

——工場長としてパンを作ってきて、大変なことってありますか?

石山さん:パン作りって機械を使うよりも手作りの作業が多いんです。だから、どうしても人の力が必要なんですよ。だけどパン職人が不足しているんですよね。今はうちの店も以前とは違って、パン職人の労働時間を短くしてスタッフに負担をかけないようにしているんですが、それでも求人が集まりにくいのが悩みの種です。

 

——それは難しい問題ですね。石山さんはパン職人をやってきてよかったと思っていますか?

石山さん:もちろんです。最初は全然楽しいと思いませんでしたけど、今ではパン作りが楽しいし大好きになりました。それも厳しく鍛えてくれた先代社長のおかげだと思っています。私はパン職人になっていなかったらダメな人間になっていたと思うんです。先代に仕事の厳しさ、楽しさを教えてもらったおかげで、今の自分があると思っています。怒られてばっかりだったけど、先代の奥さんが言うには陰では私のことを認めてくれていたようです。褒められたことなんて一回もなかったんですけどね(笑)

 

——その恩を今も強く感じられているわけですね。

石山さん:はい。恩返しのためにも「サン・フォーレット」をこれからも守っていきたいと思っています。

 

 

パン職人として厳しく鍛えられた恩を感じ、工場長として「サンフォーレット」の味を守り続けている石山さん。未来へと店を続けていくためにも、しっかり商品の見直しをして、よりお客さんに喜んでもらえるようにブラッシュアップしているそうです。まだまだ暑い季節が続きますので「サン・フォーレット」の「アイスパン」や「アイスマリトッツォ」でクールダウンしたいですね。

 

 

手づくりパンの店 サン・フォーレット

新潟県三条市北入蔵2-18-25

0256-38-4100

7:00-18:00

火曜休

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