遠いからこそ敷居を低く。村上のカントリーサイドに佇む「和楽寿司」。
食べる
2022.07.09
山あいにのどかな田園風景が広がる村上市朝日地区。そのロードサイドにポツンと佇む一軒のお寿司屋さんが、今回紹介する「和楽寿司」さんです。海や観光地、商業地から離れ、公共交通機関も限られているという飲食店としても寿司店としても決して恵まれた立地条件ではないにもかかわらず、お店は今年でオープンから14年を迎えたとのこと。地元住民から観光客まで幅広く愛される理由を探ろうと、店主の佐藤さんに直撃しました。


和楽寿司
佐藤 利秋 Toshiaki Sato
1965年旧朝日村(現村上市)生まれ。「和楽寿司」店主。村上市街の寿司店勤務を経て2008年に独立し、自宅を一部改装して同店をオープン。2018年には自宅敷地内に店舗を新設し拡張した。3人の子どもがみな大学を卒業して就職しひと安心した半面、3人とも進学先の他県にそのまま就職したため少し寂しい。趣味はメダカなど小動物の飼育。
できるだけリーズナブルに美味しく。地元住民からドライブ客まで。
――本日はよろしくお願いします。なかなかない場所にあるので入る前は正直、すごく高いお寿司屋さんだったらどうしよう、と少し緊張しました。
佐藤さん:いやいや(笑)。うちはどなたでも気軽に利用できる価格とサービスでやっていますからご安心を。
――では改めて、和楽寿司さんはどんなお店なんですか?
佐藤さん:うちは店名の通り、「和」やかに「楽」しくお寿司を味わってもらうのがモットーです。そのために、できるだけリーズナブルな価格で、かつ美味しいお寿司を提供しているつもりです。場所が場所なので、できるだけ敷居を高くせず、お子様から高齢の方までどなたでも楽しんでもらえるお店にしています。
――失礼ながら、確かにお寿司屋さん、飲食店さんがあるとは思えない場所にありますよね。どんなお客さんが多いんですか?
佐藤さん:地元の方が中心ですが、最近はドライブがてら遠方から足を運んでくれる方も増えてきました。この間なんかは、三条のお客様に包丁をもらっちゃいましたよ(笑)。私も妻もインターネットには不得手でホームページやSNSの類は全然やっていないのですが、いらした方が発信してくれたりしているようで、いろんなところからおいでいただいてありがたい限りです。また地元のイベント「村上どんぶり合戦」にも毎回、ちらし寿司で参加させてもらっているのですが、そちらもおかげさまで好評で、当店を知ってもらうきっかけにもなっています。

お客さんのより近くへ、との思いから現在の場所に。
――では、味へのこだわりを教えてください。
佐藤さん:地元の岩船港や魚市場から仕入れてくるネタはもちろん、やっぱり米どころとしてシャリにもかなりこだわっています。地元・朝日地区の農家さんと契約して岩船産コシヒカリを100%使用し、できるだけ精米から炊くまでの時間を短くするように心掛けたり。岩船米にはほんのりと甘みがあり、最近は「日本一おかずに合うお米」とも言われているんですよ。シャリとしてもその特徴を活かしています。
――メニューを拝見すると、これがこんな値段でいいの? ってくらいリーズナブルですよね。何か秘密があるんですか?
佐藤さん:ないですよ(笑)。もともと回転寿司の出身なんでね。お客様に喜んでもらうためにはできるだけ安く美味しく、というのが刷り込まれているんです。
――余計なお世話かもしれませんが、これだけリーズナブルだと最近の物価高騰の影響が心配です。
佐藤さん:いや本当にそうです。仕入れ方を工夫したりいろいろと試行錯誤していますが、調味料から原材料、光熱費まであらゆるものが上がっていますからね……(苦笑)。それでも何とか値上げしないよう、がんばっていきたいと思っています。
――では、開店までの経緯を教えてください。
佐藤さん:高校時代から村上市中心街の寿司店でアルバイトをしていまして、卒業後そのまま入社してこの道に入りました。それから同じ市内の別のお店に移ったんですが、お客さんでこちらの方、朝日や山北からいらっしゃる方がけっこう多くて。ならばお客さんにとってはもっと近い方がいいんじゃないか、ってことで朝日地区の自宅を改装してカウンターのみの小さなお店を出して独立したのが2008年ですね。
――ということは、むしろ来客の期待を込めてこの場所にした、と。
佐藤さん:そこまで明確に狙ったわけではありませんが、私としては、商圏から離れたというよりはお客さんに近づいていったという感覚なんですよね。朝日や山北の方にとっては、わざわざ市街まで足を伸ばさなくとも食べてもらえるように、という。目の前の国道7号は通勤で使う方もたくさんいらっしゃいますし。
――なるほど。とはいえ、観光地や商圏から離れているご苦労もあるのでは?
佐藤さん:うーん、さすがにもう慣れたというかあまり気にならなくなりました(笑)。むしろ離れていることでお客さんにとってはより寛いで食事を楽しんでもらえるところもあるでしょうしね。

コロナ禍もインフレも乗り越え、今後も地道に、着実に。
――現在は自宅敷地内に個別に店舗を構えて営業されていますね。
佐藤さん:おかげさまでたくさんの方にご愛顧いただき、自宅のお店の方が手狭になってきたこともあって、4年ほど前に建てました。カウンターやテーブル席のほか、宴会にも対応できるよう座敷も設えたんですが、すぐにコロナ禍が来ちゃって……。

――……あぁ。コロナ禍の影響はいかがだったんでしょうか。
佐藤さん:もちろん打撃は受けましたよ。でも、うちは開店以来ずっとテイクアウトもやっていたんで、それに助けられた面は大きいです。今では来店とテイクアウトがちょうど半々くらいですね。ただ最近は少しずつですが団体さんの問合せもいただくようになり、光が見えてきたと思います。
――それは嬉しいですね。最後に、今後の展望を教えてください。
佐藤さん:あまり突飛なことをやってもしょうがないので、今後もみなさまに愛されるお店となるよう、地道に着実にやっていくだけだと思っています。妻やスタッフにも恵まれていますし。
――ちなみに、跡継ぎやお弟子さんは?
佐藤さん:実は以前、弟子はいたんですけどね。今回のコロナを受けて考えることがあったのか、別の道に行っちゃいました。うちの3人の子どもも、大学を出て県外で飲食業とは全然別の道に進んでいるし……。まぁ、なるようになりますよ。
――本日はありがとうございました。ランチ、とっても美味しかったです!


ランチ880yen(写真)
にぎりセット各種 1,300-4,000yen
ちらし寿司 1,300yen(写真)
まぐろセット 1,400yen
地魚セット 1,400yen
精進セット 900yen
お子様セットA ・B 各660yen
ほか

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