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自分好みのワインに出会える場所「ワイン屋えいち」。

100人いれば100通り、人それぞれ好みは様々だと思います。たまたま好みではない味と出会ってしまったために、その料理や飲み物が苦手になってしまうこと、あるのではないでしょうか。今回ご紹介する「ワイン屋えいち」は、お客さんが好みのワインに出会えるまでとことん付き合ってくれるお店です。清潔感あるお洒落な店内で、オーナーの坂井さんにお店のことやワインのこだわりについてお話を聞いてきました。

 

 

ワイン屋えいち

坂井 寛 Hiroshi Sakai

1975年新潟市西区生まれ。新潟市内の専門学校を卒業後、2003年より「ワインショップ ENOTECA(エノテカ)新潟店」に20年間勤務し、JSA認定ソムリエの資格を取得。2022年に独立し、2023年に「ワイン屋えいち」をオープン。美味しいものを食べることが好きで、新しくオープンしたお店にはとりあえず足を運ぶ。

 

ワインの味を覚え伝える難しさを経験。

——坂井さんは昔からワインがお好きだったんですか?

坂井さん:お酒はなんでも好きでしたけど、特にワインが好きということはありませんでした。ワインに興味を持つようになったのは、お酒に関わる仕事がしたくて入社した「ワインショップ ENOTECA」で働きはじめてからですね。

 

——ワインショップで働きはじめて、苦労したことはありました?

坂井さん:ワインの知識っていうのは本を読むだけでは身につかないので、いろんなワインをたくさんテイスティングしました。ワインの味を言葉で伝えるのは難しくて、そこが苦労した点ですね。

 

——どのようにワインの味を伝えるよう気をつけているんですか?

坂井さん:専門用語や抽象的な表現を使わず、噛み砕いて分かりやすく伝えるように気をつけています。「酸っぱい」「甘い」「渋い」といった、誰にでも馴染みのある言葉でワインの味を表現するようにしているんです。それは独立した今も気をつけているところですね。

 

 

——坂井さんはソムリエの資格をお持ちなんですよね。

坂井さん:僕がワインショップで働きはじめて10年ほど経った頃に、新入社員はソムリエの資格取得が必須になったんです。後輩がソムリエの資格を持っているのに先輩の僕が資格を持っていないのはまずいと思って、慌てて試験を受けたら不合格だったんですよ(笑)

 

——あらら……かなり難しいんですね。

坂井さん:ろくに勉強しないで挑戦した僕が悪いんです(笑)。働きながら勉強する時間を作るのは大変だったんですよね。でも2回目に挑戦したときは分厚い教本を暗記して臨んで、なんとか合格することができました。

 

——ソムリエの試験というのは、どんなことをするんですか?

坂井さん:筆記試験の他、ブラインドテストやサービステストがありました。ブラインドテストでは5〜6種類のワインをテイスティングして、産地や年代、どんな個性かを制限時間内に答えるんです。サービステストでは、籠に乗せたままワインの栓を抜く「パニエ抜栓」が試されます。

 

——いろいろな試験があるんですね。独立して「ワイン屋えいち」を開業されたのはどうしてなんですか?

坂井さん:より多くのワインをお客様にお届けしたいという気持ちがあったんです。人生は一回きりだし、自分のやりたいことをやってみようと思って独立を決心しました。

 

ロゴや内装に込められた、お店の思い。

——ワインショップだけじゃなくて、ワインバーもやろうと思ったのは?

坂井さん:最初は自宅でワインショップをはじめたんですけど、ワインを置けるスペースに限界があったので店舗を構えることにしたんです。今まではワインを販売するだけでしたけど、僕の勧めたワインを買ったお客様が、はたして本当に満足してくれているのかという心配があったんですよ。

 

——なるほど。それでワインバーを?

坂井さん:人それぞれ好みは違いますから、僕の好みを押し付けるのではなく、いろいろなワインを試していただくなかで自分に合ったワインを見つけてほしいと思ったんです。僕はお客様のストライクゾーン目掛けて球を投げて、そのうちのどれかがヒットにつながってくれたらいいと思っています。

 

——店名の「えいち」というのは坂井さんのイニシャルですか?

坂井さん:そうです。敷居を低くしたかったのであえてひらがなを使って、ゆるめのフォントで表現しました。ロゴはアルファベットの「H」をモチーフにしていて、だまし絵みたいにワインボトルにもワイングラスにも見えるデザインなんです。僕自身とっても気に入っています。

 

 

——いろんなイメージが重なったデザインになっているんですね。店舗デザインはどんなところにこだわったんでしょうか?

坂井さん:お金を払ってワインを楽しんでいただくからには、家庭とは違った非日常的空間を楽しんでほしいと思ったんです。そこで生活感のない、シンプルなデザインにするよう心掛けました。ところが建築事務所から上がってきた見積もりを見たら、思いっきり予算をオーバーしていたんです(笑)

 

——それはヤバいですね。

坂井さん:仕方ないので、自分でできる部分はすべて自作したんですよ。ワインセラーやカウンターの棚は、東京の家具店からパーツだけを買ってきて自分たちで作りました。そのおかげで、だいぶ内装費を抑えることができたんです。

 

——お疲れ様でした(笑)。他にもこだわりがあったら教えてください。

坂井さん:お客様には快適に過ごしていただきたいので、予算的に厳しいなかでもカウンターだけは無理してでもこだわりを通して、上質な木材の一枚板で作りました。他にも随所に細かいこだわりがあるので、お客様に気づいていただけたときは嬉しいですね。

 

アットホームなフードメニューやワインへのこだわり。

——フードメニューには、どんなこだわりがあるんでしょうか?

坂井さん:できるだけ旬の食材を使って、ワインを美味しく飲めるようなお料理を提供するようにしています。フードメニューを担当しているスタッフは長年主婦をやってきた女性なので、作れるのは家庭料理なんです。それを僕が試食した上で指示しながら、ワインに合う味に調整しています。

 

——へえ、アットホームな料理なんですね。

坂井さん:ワインに親しみを持ってほしいという気持ちもあるし、家庭でも作ろうと思えば作れる料理ですので、ご自宅でワインを飲むとき、おつまみの参考にしていただけたらいいなと思っているんです。

 

——それでは、ワイン選びの基準があったら教えてください。

坂井さん:いろいろなお客様の好みに合うよう、自分の好みだけに偏らないように気をつけています。必ず自分で試飲をして、香りが良くないオフフレーバーなワインは入れません。試飲会が開催されないときは、自分で購入してでも試飲しています。自分の言葉で勧めることができないワインを売らないのが、お店を信頼してくれるお客様への礼儀だと思うんですよね。

 

——保管するのも大変なんじゃないですか?

坂井さん:ワインはコンディションを保つのが難しいので、とても気を使っていますね。湿度が足りなければコルクが乾燥してしまうし、湿度が多過ぎるとカビが生えてしまうんです。ワインセラー内の温度や湿度を管理するために砂利を敷き詰めて、水を撒いたり湿気を吸わせたりして調節しています。

 

 

——やっぱり、なかなか大変なんですね。

坂井さん:ワインを販売するからには、ベストなコンディションをキープするのは当たり前のことだと思っています。でも劣化してしまったワインを知らずに飲んで「ワインは苦手」と思ってしまう方もいるので、ぜひベストな状態のワインを飲んでほしいですね。

 

——最後に、今後の目標はありますか?

坂井さん:ワインの数を増やして、もっと充実させていきたいですね。今は300種類のワインがあるんですけど、お客様のことを考えると600種類は置きたいと思っています。ワインとの出会いは一期一会ですから、ぜひ自分好みのワインと出会っていただきたいですね。

 

 

 

ワイン屋えいち

新潟市中央区東堀前通8番町1372 葵マンション1F

050-8888-1900

年内は16:00-23:00(金土曜は17:00-24:00)

日月曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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