新潟駅前にある「生ラムジンギスカン 吉祐栄門(よしえもん)」は、5年前に脱サラした吉村さんとパートナーの池野さんが二人三脚で切り盛りしているお店です。一度も冷凍せずに提供される自慢の生ラムは、臭みがなくてしっとり柔らか。ラムが苦手な人にもぜひ食べてみてほしい、そんなお肉です。今回はお肉のこだわりや開業に至るまでの経緯、出会いなど、店主の吉村さんにいろいろとお話をうかがってきました。
生ラムジンギスカン 吉祐栄門
吉村 祐一郎 Yuichiro Yoshimura
1975年東京都生まれ。青山学院大学卒業後、プラント保全の企業に就職。その後大手保険会社へ転職。熊本、新潟、北海道と拠点を移し、北海道帯広に赴任中、生ラムの美味しさに魅了され、自身で飲食店を開業することを決意。2016年、新潟市中央区の楽天地に「吉祐栄門」をオープン。2020年8月に新潟駅前へ移転。最近は、開幕から絶好調のアルビレックス新潟に夢中。
——こんにちは、今日はよろしくお願いします。まずは、おすすめメニューなどお店について教えてください。
吉村さん:「吉祐栄門」はラムやマトン、エゾ鹿のジンギスカン専門店です。きっと新潟で今も営業している飲食店の中では、最初に生ラムを扱った店じゃないかな。新潟では「現存する最古の生ラムの店」だと思います(笑)。おすすめメニューは、もちろん生ラム。北海道の業者から仕入れていて、とっても美味しいんですよ。
——生ラムって初めて聞きました。どんなお肉なんですか?
吉村さん:一度も冷凍しないラム肉のことです。たまに勘違いされるけど、牛刺しみたいな生肉ではないです(笑)。新鮮だから臭みもないし、とっても柔らいんですよ。
——臭みがないってことは、ラム肉が苦手な人でも食べられそうですね。
吉村さん:ラム肉は苦手だけど、うちの生ラムは食べられるって人も多くいますよ。ジンギスカンの本場、北海道から来たお客さんが「道内でもなかなか食べられないくらい旨い」って褒めてくれたこともありました。
——おお、それは嬉しい言葉ですね。でも、冷凍しないと保存が大変なのでは?
吉村さん:そうなんです。なかなか厄介な問題なんですよ。当然だけど、店でも冷凍しないから、仕入れの調整が難しくて……。在庫が多いと無駄になるし、少ないと来店されたお客さんに提供できないし……バランスの見極めが重要なんです。
——そんな苦労があっても、生ラムにはこだわっているんですね。
吉村さん:僕は飲食業の経験が長いわけじゃないから、「仕入れが命」と思って勝負しています。信頼できる北海道の業者からの買い付けで、新潟ではうちでしか味わえない生ラムを自信を持って提供させてもらっていますからね。
——そこまで聞くと、ぜひ食べてみたいです。でも……実はわたし、ジンギスカンがあまり得意ではないんですよ……。ラムチョップは好きなんですけどね。
吉村さん:あはは(笑)。もしかして、それぞれ別のお店で食べたんじゃないですか?
——あ、はい、確かにそうです!
吉村さん:ということは、仕入れている肉が違う可能性がありますね。美味しいラム肉だったらラムチョップでもジンギスカンでも美味しいですよ。試しに、うちのジンギスカンを食べてみてください。どうぞ。
——え? いいんですか? じゃ。お言葉に甘えて、いただきますね。…………ん〜……おいしい!臭みがないし、食感がたまりません!
吉村さん:ありがとうございます! これが本当の生ラムの味わいですよ。
——吉村さんって、以前は大手企業に勤めていたんですよね? どうして飲食業に転身されたんですか?
吉村さん: 40歳手前まではサラリーマンをしていましたね。当時、仕事で北海道の帯広にいて、生ラムの味わいを知ったんです。あまりの美味しさに感動して「もっと生ラムを広めたい」って思って、脱サラして飲食店をはじめようと考えました。いい仕入れ業者さんに出会うこともできて、運命が導いているような気がしたんです。
——仕入れ業者さんとの出会いもターニングポイントだったんですね。
吉村さん:そうですね。業者さんとは、5年程前に北海道のキャンプイベントで知り合ったんです。近くに座っていたおじさんが、ゆったりとラム肉を焼いていて……。確か、ラムチョップだったかな。すごく美味しそうだったから、お裾分けしてもらったことから始まったご縁なんです。とても義理堅い人で、店を始めてからも支えてもらいました。この出会いがなかったら、開業していなかったかもしれないですね。
——おおー、そんな素敵な出会いがあったんですね。ちなみに、業者さんとの思い出深いエピソードはありますか?
吉村さん:悪天候で、仕入れた荷物が届かないことがあったんです。途方に暮れていたら、札幌から新潟まで飛行機で持てる限りのお肉を抱えて駆けつけてくれたことがありました。僕にとっては正真正銘のヒーローですよ。出会いに感謝しています。
——オープンしたのは2016年だから……もうすぐ5周年ですね。おめでとうございます。
吉村さん:ありがとうございます。何もなく平穏だった年はなかった気がするけど、無事に5周年を迎えられそうです。コロナ禍を経験して、お客さんからの「美味しい」の言葉が、今まで以上に心に響くようになりました。「あぁ、この言葉のために商売をしているんだ。」って改めて感じますね。
——楽天地から新潟駅前に移転したのは、どんな経緯だったんですか?
吉村さん:新潟駅前の物件が空いたのを知って、2020年の8月に移転しました。以前の店舗は、狭くて席数も限られていたし、2階まで七輪を運ばなくちゃいけない間取りだったから、移転したことは良い方向に転じています。コロナ禍で良かった唯一のことかな(笑)
——タイミングが良かったんですね。さて、最後になりますが、これからの「吉祐栄門」の展望や吉村さんの夢について教えてください。
吉村さん:目標は「新潟で一番の羊マイスターになる」ことかな。そのために美味しい生ラムが食べられるのであれば全国どこでも足を運びたいし、羊肉文化が盛んなシルクロードにも行ってみたいです。将来は、自分たちで羊を育てるところからチャレンジするのもいいかも……。とにかく頭の中は羊のことばっかりです(笑)
生ラムジンギスカン 吉祐栄門
新潟市中央区花園1-3-10
TEL:025-384-4639
営業時間 17:30~23:30
最終入店 22:00、ラストオーダー 22:30
水曜日定休