小皿料理がずらり。家にゲストを招くように楽しむ「LA BOCCA」。
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2021.03.06
新潟市東区にある「LA BOCCA(ラ ボッカ)」は、市内の人気店で腕を磨いたシェフの近藤さんが2016年にオープンしたイタリアンレストラン。こちらのお店では、「自宅にゲストを招いて食事会をする」というコンセプトに従って、「家には看板なんかない」という理由から、定休日やメニューが見られる看板は置いていないのだそうです。イタリア料理に対する考え方など、いろいろなお話を近藤さんにうかがってきました。

LA BOCCA
近藤 竜也 Tatsuya Kondo
1976年村上市生まれ。「LA BOCCA」オーナーシェフ。両親は旧岩船郡でドライブインを営み、親戚も割烹店という料理人一家で育つ。新潟調理師専門学校を卒業後、新潟市内の飲食店で料理を学び、2016年に独立。イタリアの料理や歴史、文化、スポーツが大好き。
雇われ料理人が独立を決めたきっかけ。
——落ち着いた雰囲気のレストランですね。こちらのお店は、何年くらいやっているんですか?
近藤さん:2016年にオープンしたので、今年でちょうど5年目です。店舗自体はもっと前からあって、以前のオーナーは洋食レストランをやっていたそうです。
——開業前はどこかのお店で修業をされていたんですか?
近藤さん:専門学校を卒業してから20年くらい、イタリアンを中心に新潟市内のいろんなお店で働いていたんです。割烹料理店をしている親戚もいたから和食も経験したし、あとはフレンチも少々。でもこのお店を始めるまでは、ずっと「雇われ料理人」でしたね。
——20年も。ようやく独立したって感じですか?
近藤さん:経営には興味がなくて。料理だけ作っていたかったから、独立することはあまり考えていなかったんですよ。同級生にも「いつまで修行してるんだ?」なんて言われたこともあったけど、自分の店をやらなくても「プロの料理人」として一人前になることはできるし、料理に集中できる「雇われ料理人」もいいと思っていたんですよね。

——そう思っていたのに、どうして独立したんです?
近藤さん:安定した給料をもらって、定年まで勤め上げるのもいいけど、やっぱり思うままに自分の料理をやりたくなったんですよね。それで、「このまま終わりたくない」と思って独立したんです。
——実際に独立してみて、どうでしたか?
近藤さん:経営はやったことがないから、自分で店をやるって大変だけど、料理の楽しさを改めて感じました。今まで以上にイキイキ料理がやれている実感があります。

その土地を生かした料理。それがイタリア料理の本質。
——近藤さんって、いつ頃からイタリア料理に興味を持ちはじめたんですか?
近藤さん:中学時代の友人がイタリアの歴史や文化、スポーツなどが好きで。その影響で自分もイタリア好きになったんですよ。
——イタリアへ行ったことはあるんですか?
近藤さん:自分の人生観と向き合いたかったのと本場の料理を探求したいと思って、3ヶ月ほど滞在しました。
――3ヵ月も? 羨ましい……。実際に行ってみてどうでしたか?
近藤さん:リアルなイタリアは、想像のイタリアとは少し違いましたね。歴史を感じる美しい街並みはとても印象的だったけど、トイレのドアノブが壊れていて閉じ込められたり、ちょっと怖い体験もしました(笑)。現地で感じた食文化は、料理を根本的に考え直すきっかけにもなりましたね。

——料理の根本を考え直すきっかけって、いったいどんなことが?
近藤さん:田舎にあるワイナリーを見学したとき、そこのおじさんが、砂糖をかけただけのシンプルなパンと自家製ワインを出してくれたんです。「これが本場のイタリア料理です」って(笑)。僕が日本で作ってきたイタリア料理とは真逆だったから、すごく心に刺さりました。
——パンとワインだけ。確かに、普段食べるイタリア料理のイメージとは違いますね。
近藤さん:おじさんの言葉から、「その土地の味を生かすことが本場イタリアの料理」なんだろうなって感じたんです。トマトソースにしたって、イタリアの北部と南部では採れるトマトの種類が異なるから作り方も変わるし。きっとイタリア料理に正解はないんですよ。日本のおせちみたいに、たくさん正解があっていいし、大切なことは「郷土の素材を生かす」ことなんでしょうね。

ヴェネツィアの酒場のように、ワインと小皿料理を楽しんで。
——イタリアで体験したことで、お店作りに生かされたことはありますか?
近藤さん:イタリアは、水よりワインが安いし、うまいんです。ヴェネツィア地方の酒場にはチッケッティという小皿料理が店先にずらっと並んでいて、好きなものをツマミにワインを飲むんです。最高でしょ。このスタイルを再現したくて、「LA BOCCA」には立ち飲みスペースを作っちゃいました。


——気軽に楽しめそうないい席ですね。
近藤さん:ピザやパスタなどの定番メニューだけじゃなくて、肝臓料理やマリネもオススメです。将来は、カウンターにずらっとチッケッティを並べたいんですよね。
——おばんざいが並んでいる日本のお店みたいですね。
近藤さん:僕が作るイタリア料理は庶民の味だから、「おふくろの味」みたいな存在になれたら嬉しいです。お店の営業スタイルもそれに合わせている部分があって、「自宅にゲストを招く気持ち」で営業しているから、メニューや営業時間が分かる看板を掲げてないんですよ。でも、美味しい料理を用意しているから、ぜひ我が家(LA BOCCA)に遊びに来てくださいね。

LA BOCCA(ラ ボッカ)
新潟県新潟市東区石山4-2-6
TEL 025-287-7163
営業時間:11:30~15:00、18:00~21:00
定休日:水曜日
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