自家培養発酵種と国産小麦で作る、パン屋さん「sedon」。
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2021.03.07
マルシェや朝市などイベント出店をメインに、季節の果物や野菜からおこした酵母と国産小麦を使用して作ったパンを販売する「おでかけぱん屋 sedon」。今回は「おでかけぱん屋 sedon」を運営している吉原さんに、おでかけパン屋さんになるまでの経緯やパン作りのこだわりなど、いろいろお話を聞いてきました。

おでかけぱん屋 sedon
吉原 幸子 Yoshihara Sachiko
1977年新潟市東区生まれ。最近は各地のクラフトビールを取り寄せておうち時間を楽しむのにはまっている。
はじまりは、規格外のぶどうを使った自家製天然酵母づくり。
――吉原さんがパン屋さんを始めたきっかけは何だったんですか?
吉原さん:私はもともとずっと飲食関係で働いていて、結婚を機に専業主婦になったんです。嫁いだ先が白根で、果樹農家さんがいっぱいあるところなんですね。そこで知り合った友達がぶどう屋さんをやっていて、「販売できない規格外のぶどうを何かに使えないかな」って相談されたんです。そこで、果物からパンの酵母をおこしたりし始めたんですよ。
――へ~、果物から酵母ってできるんですね。知らなかったです。パン作りは独学になるんですか?
吉原さん:子どもが小さいので、家でパン作りとかは趣味でやってたんですよ。当時、レーズンから酵母をおこすみたいなのが流行っていたので。それで、生のブドウをいっぱいもらったから試しにやってみたら、すごいフレッシュで元気な酵母ができたんです。
――これでお店をやってみようって思ったんですね。
吉原さん:自宅に使ってない作業場の台所もあったので、自分で改装して始めてみました。

直売所での販売から、沼垂の朝市へ。
――販売するところはどうやって見つけたんですか?
吉原さん:友達の農家さんが「産直に出してみたら?」って言ってくれて。「ピカリ産直市場お富さん」というところで2~3年販売していました。
――最初は産地直売所で販売していたんですね。
吉原さん:でも、だんだんもっと若い世代の人にも知ってもらいたいなって気持ちが出てきて。それで沼垂の朝市に出るようになったんです。出店を始めたらそっちの方が売れるようになってきて、それで産直売所はやめて出店メインにしようって切り替えた感じです。
――出店はレギュラーで?
吉原さん:最初は朝市にだけ出店してたんですけど、沼垂テラスの店舗に週に1回使わない場所があるからそこでやってみないかって声かけてもらったんです。それで今も木曜日だけ行ってるんです。
――最初はお客さんの反応はどうでしたか?
吉原さん:最初は全然売れなかったです。それでもだんだん食べてくれる人が増えていって、わざわざうちのパンを目当てに買い物に来てくれる人もできたりして。

果物から作られる「自家培養発酵種」。
――パンの種類は、当時は今ほど多くなかったんですか?
吉原さん:最初は5種類くらいかな。最初に作ったのは「チョコハリネズミパン」と「葡萄パン」ですね。むっちりもちもちした感じのパンを作ってました。ハード系とかふわふわしたのもありますけどね。最初はほんと、ぎゅっともちもちした生地しか作れなくて(笑)。家族にも「もっとふわふわしたパンが食べたい」って言われてました。それでいろいろ試行錯誤しながらやってましたね。
――SNSに「自家培養発酵種」とありますが、これはどういった作り方なんですか?
吉原さん:果物と水を瓶に入れて置いておくとシューっと発酵して泡がでるんです。その蓋を開けて酸素をあげながら何日間かやってると炭酸水みたいな液体ができるんです。それに小麦粉を入れて煉ると膨らんでパンの種ができるので、そこに粉や牛乳を入れたりしてパンをこねて、発酵させて作っていきます。
――果物はなんでもいいんですか?
吉原さん:リンゴ、みかん、レモン、柿、桃、なんでもできますよ。今は巨峰をセミドライにしたものを使っています。
――果物によって違いはありますか?
吉原さん:香りが強い果物だと、若干香りが残りますね。レモンとか、ル・レクチェは特に残ります。巨峰だとワインみたいな香りがかすかに残ったり。
――へ~、面白いですね。
吉原さん:柑橘系の果物はハード系のパンに向いていたりとか、そういう特徴もあるんですよ。ブドウとかレーズンはふんわりする生地に向いてますし。でも自分でやってきた感触としてなので、正しいかどうかはわからないですけど(笑)。果物からパンができるなんて面白いですよね。
――そういったところに興味を持ってくれるお客さんもいそうですね。
吉原さん:そうですね。産地直売所では「今の時期は何を使って酵母おこしてるの?」って聞いてくれたりするお客さんもいました。食べ物に関心の高い方が多くて、その時期の旬の果物を使って酵母を作っているので、そういうところに興味を持ってくれる人は多いですね。
――今はかなり種類も増えていますよね。
吉原さん:沼垂の週1回の出店では、15~20種類は必ず用意するようにしています。

出店先のお店とコラボした、新しいパン作り。
――商品のアイデアはどうやって思いつくんですか?
吉原さん:そのとき旬の野菜や果物を使ったりとか、季節のイベント、例えばチョコを使ってバレンタインに合わせたものだったります。5~6種類は定番メニューとしていつも置いています。
――ちなみに今はどれが一番人気ですか?
吉原さん:「ちぎり葡萄パン」が一番人気ですかね。ブドウの房の形をしているパンなんですけど。あと厚焼きのイングリッシュマフィンも人気ですね。季節の酵母のカンパーニュを作ると、それを目当てで来てくださる方もいらっしゃいますね。ちょっと前はレモン酵母とホワイトチョコのパンを作ったりしました。

――種類が多いので見ているだけでも楽しいです。
吉原さん:知り合いの方の食材を入れるようにもしているんです。今日であれば、「お魚屋秋ちゃん」さんで買った牡蠣、赤ひげっていう小さい赤えび、鯖の味噌漬け、サーモンフライを使わせてもらって、全部パンにしたんですよ。あとは出店させてもらう場所がカフェとかだと、そのお店の珈琲に合わせたパンを作ったりもしてます。そういうことをやるのがすごく面白いですね。
――それはコラボしてもらった方も嬉しいですね。
吉原さん:ちっちゃい店だからできることだと思っています。大きい店だったら効率悪くてやらないと思うんですけど、そこをあえてやろうかなと。
――商品についてはお店の方と打ち合わせもするんですか?
吉原さん:どういうのがいいですかって聞いたりすることもありますね。雑貨屋さんが猫をテーマで販売しているようなときは、肉球のかたちのパンを作ったり、店主さんの飼っている猫の名前にちなんだパンを作ったり。ブドウパンが大好きなカフェの店長さんのときは、「全部ブドウの入ったパンにしてくれ」ってお題をいただいたりとか(笑)
――それは面白い。ちなみにパン以外も何か作られるんですか?
吉原さん:「ときどき洋菓子店」っていって、沼垂のお店を借りてる日にケーキを出したりもしてます。自由なのでなんでもやってますよ(笑)。お客さんが喜んでくれるのが楽しくて。あとは飽き性なのでいろいろやりたくなっちゃうんです。

――今後もやりたことがいっぱいある感じですか?
吉原さん:今後は、この車にサンドイッチケースも入れる予定です。移動しながらサンドイッチもあるパン屋として、公園をまわりながら販売できたらなって思ってます。特別なイベントがなくても外で食べてもらえるようなふうになればいいなと思って。今、お弁当も販売できるようにいろいろ許可を取ったりもしています。
――どんどんアイディアが出てきますね(笑)
吉原さん:この車がポンコツになるまでは、このおでかけスタイルで続けていくつもりです。その先はまたそのときになったら考えようかなと思っています。
おでかけぱん屋 sedon
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