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心からの「ごゆっくりどうぞ」を味わいたい、亀田の「麺家 鶏処」。

新潟市江南区にある「麺家 鶏処(めんやとりこ)」は、広いスペースでゆったりと過ごせるお店です。小上がりには子ども用のおもちゃが豊富に揃っていて、そこには店主・渡辺さんの「ゆっくりとラーメンを味わってほしい」という思いがありました。今回は渡辺さんの意外な過去からお店やラーメンへの思いまで、いろいろお話を聞いてきました。

 

 

麺家 鶏処

渡辺 健太郎 Kentaro Watanabe

1981年新潟市中央区生まれ。新潟ビューティーモード専門学校卒業後、東京の美容室で働く。新潟に帰ってからは結婚相談所、パチンコ店、居酒屋、警備会社、道路工事など様々な仕事を経験し、その後ラーメン店で働き始める。「極一 女池店」「あおきや スーパーセンタームサシ店」などで修行。2017年1月に「麺家 鶏処」オープン。趣味はドライブで、行き先を決めず道に迷うことを楽しんでいる。

 

料理がまったくできない美容師が、ラーメン屋さんになるまで。

——渡辺さんは今までいろいろなラーメン屋さんで修行してきたんですよね。若いときからラーメンで生きていこうと?

渡辺さん:じつは俺、最初は美容師を目指していたんですよね……。ネイル検定3級を持ってるんですよ。

 

——おっと、それはちょっと意外でした(笑)

渡辺さん:俺が高校生の頃って、カリスマ美容師が世間で持てはやされていた時代なんです。そういう時代だったから美容師を目指すことにして、新潟市にできたばかりの「国際ビューティーモード専門学校」に入学したんです。もちろんネイル専攻の学生は女子ばかりで、男は俺ひとりでした。

 

——それは……うらやましいですね(笑)。じゃあ卒業後は美容師になったんですか?

渡辺さん:東京の美容室で美容師をやっていたんですが、営業中に店から逃亡してしまったんですよ。

 

——え……それはなぜ?

渡辺さん:当時は料理もできないのにひとり暮らしをしていたので、毎日ご飯に納豆をかけたような食事ばかりだったんです。外食しようにも給料が少なかったし……。美容室の営業の後にはフランス語の講習を受けさせられて辛かったのもあって、とうとう限界に達して、心の中で何かが弾けたんでしょうね。竹下通りを猛スピードで駆け抜けて新潟に帰ってきたんです。

 

——よっぽど追い詰められていたんですね……。

渡辺さん:新潟に帰ってからは、いろいろな仕事に就いて自分の進む道を探しました。最終的にはラーメンを食べるのが好きだったこともあって、ラーメン屋で働くことに決めたんです。最初に勤めたお店で俺にラーメン作りを教えてくれた師匠が、今の「ぐぁらん洞」の店主なんです。俺はそれまで料理がまったく作れなかったんですけど、ラーメン作りはどんどん覚えることができて、師匠から「覚えるのが早い」と褒められました。でも「包丁の使い方は素人以下」って言われてましたね(笑)

 

 

——料理ができないのに、よくラーメン屋さんの仕事に進みましたね(笑)。その後はどうしたんですか?

渡辺さん:師匠が途中で抜けた後も店で働いていたんですが、突然閉店してしまったんです。そのとき、「極一」というラーメン屋で働いていた師匠が独立することになって、自分の後釜に俺を薦めてくれたんですよ。それで「極一」で働き始めたんです。その後、結婚したタイミングで「あおきや スーパーセンタームサシ店」に移りました。

 

——けっこういろいろなラーメン店で働いてますよね。

渡辺さん:そうですね。それぞれの店で修行したことが、「麺家 鶏処」ですべて生かされていると思います。最初に働いていた店では鶏ガラの使い方を覚えましたし、「極一」では担々麺、味噌担々麺の作り方を覚えました。「あおきや」では長岡系の生姜醤油ラーメンの作り方を学んだんです。

 

飲めない酒を飲んでは大号泣していた、オープン当初。

——独立して自分のお店を始めようと思ったきっかけは何だったんですか?

渡辺さん:ある日突然「俺、独立しよう」って思い立ったんです。それで物件を探して、なんとか今の場所を見つけました。

 

——オープンしてみてどうでしたか?

渡辺さん:いやぁ……最初の半年はお客様が来なくて本当にひまでしたねぇ……。お酒が飲めないのに、毎晩飲んでは号泣してました(笑)。でもクチコミで少しずつお客様が増えてくれて、最近はようやく安定してきたって感じですね。

 

 

——おお、それはよかったですね。

渡辺さん:本当にありがたいことですね。ラーメン屋って回転率を気にする所も多いですけど、俺はあまり気にしてないんです。むしろゆっくり過ごして食べていってほしいと思っています。だからスタッフ全員が本当の意味で心から「ごゆっくりどうぞ」って言えるんですよ。うちの店には広い小上がりがあって子どものおもちゃも充実していんですけど、それは子どもが夢中で遊んでくれれば大人がゆっくりと食事できるからなんです。店名に「麺家」ってついているんだけど「屋」じゃなくて「家」になっているのは、自分の家みたいにゆっくり寛いでほしいという思いからなんですよ。

 

他の店のラーメンは食べない!

——渡辺さんがラーメンを作る上でこだわっているのはどんなことですか?

渡辺さん:他の店にはないオリジナリティの強いラーメンを目指しています。だから他の店のラーメンを食べないようにしているんですよ。食べたラーメンがすごくうまかったりしたら、知らず知らずに自分の作るラーメンが引っ張られちゃうから。

 

——なるほど。影響を受けないようにしているわけですね。他にもこだわりはありますか?

渡辺さん:どこのお店でもそうだと思うんですけど、そのときにできる100%のラーメンしか出さないんですよ。だから90%で妥協することはしません。例えばバタバタしていて麺を10秒だけ茹で過ぎてしまったとしてもやり直します。そこを許してしまって、他の部分もなあなあになってしまうのがイヤなんですよ。店のスタッフが「これでいいや」っていう気持ちで作ったラーメンをお客様に出そうとしたら、俺はものすごく怒ります。「もしも自分の大事な人が食べにきてくれたのに、適当に作ったラーメンを出せるか? ここに来るお客様すべてが自分の大切な人だと思え」って教えているんです。

 

 

——妥協を許さない姿勢でラーメンを作っているんですね。どんなラーメンがおすすめですか?

渡辺さん:「鶏処しょうゆ」は今まで修行してきたことが全て生かされたラーメンですね。長岡系生姜醤油ラーメンに似ているんですけど、うちは豚のげんこつじゃなくて丸鶏や鶏の洞ガラを使っているんです。そういう意味では他にないラーメンなんじゃないかな。あと「担々麺」「味噌担々麺」「チャーハン」も人気があるんですよ。チャーハンは鍋を振り過ぎたおかげでヒジがやられてしまって整体に通っていたんです。でも鍋を振り始めると痛みを忘れるんだから、夢中になるって恐ろしいですね(笑)。個人的におすすめしたいのは「野菜しょうゆ」なんですよ。スープは「鶏処しょうゆ」と一緒なんですけど、上に乗せた炒め野菜との相性がすごく良くって美味しいんですよ。

 

——お店をやっていて、嬉しいのはどんなときですか?

渡辺さん:基本的には毎日が嬉しいことばかりですよ。お客様から「美味しかった」って言ってもらえるのはもちろん嬉しいんですけど、言葉がなくても笑顔が見れるだけで嬉しいんです。あと常連さんの顔を見ることができると、これがまた嬉しいんですよね。これからもゆっくりラーメンを楽しんでいただけるような店を続けていきたいと思っています。

 

 

「自分たちの大切な人」としてお客さんと向き合い、心から「ごゆっくりどうぞ」と声をかけている渡辺さんやスタッフさん達。そんな渡辺さんの作るラーメンは、今までの修行経験を生かしつつもこれまでにない新しさを追求しています。皆さんも新潟市江南区の「麺家 鶏処」でゆったりとラーメンを味わってみてください。お店の「とりこ」になっちゃうかもしれませんよ。

 

 

麺家 鶏処

新潟県新潟市江南区元町3-2-29

025-383-1133

11:00-15:00/17:00-21:00(月曜は昼営業のみ)、日曜11:00-15:00/17:00-20:00

木曜休

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