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西区の「お魚屋秋ちゃん」で、季節の魚の本当の美味しさに出会おう。

新潟市西区の五十嵐にこの冬オープンしたばかりの「お魚屋秋ちゃん」。新鮮な旬の魚介類をはじめ、お酒のつまみになりそうなあれこれも販売している、町のお魚屋さんです。今回はオーナーの秋間さんとお母様・山崎さんに、オープンのきっかけやお店への思いなど、いろいろ聞いてきました。

 

お魚屋秋ちゃん

山崎 千代子 Chiyoko Yamazaki

1947年新潟市中央区生まれ。17歳の頃から実家の「わしお鮮魚店」で働く。「お魚屋秋ちゃん」のオーナーで娘である愛さんの手伝いとしてお店に入っている。

 

秋間 愛 Ai Akima

1977年新潟市中央区生まれ。祖母の運営する「わしお鮮魚店」で20歳の頃から手伝いを始める。2020年12月に「お魚屋秋ちゃん」をオープン。YouTubeでお寿司屋さんのさばき方を閲覧するのが好きなほど魚が大好き。

 

季節ごとに、旬の魚の味を知ってもらいたい。

――今日はよろしくお願いします。

山崎さん: 娘(秋間さん)がね、今出てるので私がお話しますよ。

 

――ありがとうございます。お母様もお店に立たれているんですね。

山崎さん: 私の実家が魚屋で、そこをずっと手伝ってましたのでね。実家は下本町にある「わしお鮮魚店」というところで、娘も小さい頃はよく連れていったりしてたんですよ。

 

――「わしお鮮魚店」はだいぶ前からやってらっしゃいますよね。

山崎さん:私が15歳頃の話だから……創業は47年前ですかね。最初は八百屋の仲卸をしていたんですけど、途中から急に魚屋になったんですよ。今は私の弟がオーナーで営業しています。

 

――じゃあ、娘さんも小さい頃から魚屋さんを身近に感じて成長されたんですね。

山崎さん:魚屋の魚を食べて育ったので、結婚してから他で魚買っても口に合わなかったみたいで。魚屋さんもどんどん少なくなっていってるけど、美味しい魚を自分の手でつないでいければっていう気持ちがずっとあったみたいなんです。今は養殖や冷凍の魚も多いから、そうじゃない季節ごとの旬の魚の味を知ってもらいたいみたいですね。

 

幼い頃から味覚の鋭かった娘。

――美味しい魚を食べて育ってきたからこそ、思えることですね。

山崎さん:娘にはもう10年以上も前から「お母さん、私お店出すから手伝ってくれる?」って言われていたんです。孫はまだ小さいし朝も早いから、主婦ができるような仕事じゃないってずっと反対だったんですけどね、でもどうしてもきかないから(笑)

 

――それで押し切られたわけですね(笑)

山崎さん:娘は小さい頃からやっぱり味に厳しかったです。味覚が鋭いっていうのか。今でも毎日魚が入ると必ず全部味見するの。私がうっかり味見用に取り忘れると叱られるんです(笑)

 

――徹底しているんですね。

山崎さん:自分が納得できるものを出したいって気持ちでしょうね。お客さんにも味見して買ってもらったりしていますね。今はコロナだからひとり分ずつちゃんと用意して。私ではとってもそこまでできない(笑)

 

47年継ぎ足しのタレを使った蒲焼。

――「わしお鮮魚店」さんのやり方とか、作っているものをこちらでも、という感じではないんですか?

山崎さん:昔は良い時期があって、本町でうなぎっていえば「わしお鮮魚店」だったんですよ。行列ができて、整理券配って並んで待ってもらったくらい。娘はその「わしお鮮魚店」のタレでうなぎを焼きたいって。だからわしおのタレ分けてもらってこちらで使わせてもらってます。47年間継ぎ足しのタレなんですよ。

 

――へ~、美味しそう。「わしお鮮魚店」さんはうなぎで有名だったんですね。

山崎さん:昔は、7月とか8月の夏場は船が出なくて漁がお休みになるんです。そうすると魚屋には生魚が入らないんですよ。今みたいに高速道路があって冷凍車が走る時代じゃなかったから、魚屋が食べていくにはうなぎの蒲焼しかなかったんです。私たちは元々八百屋だったのでそういうことも分からなかったんですけど、市場の人が「夏はね、うなぎやるといんだがね」って教えてくれたんです。東京出身の板前さんが新潟で働いていたので、その人のところでタレの作り方とか蒲焼のことについて修行させてもらったんですよ。

 

――じゃあ娘さんもその蒲焼の焼き方を再現して?

山崎さん:私たちは昔、遠赤外線のガスグリルで焼いてたんですけど、ここでちょっと違うやり方を試してみたらうまくいかなくて。やっぱ昔ながらのやり方がいいねって。今もいろいろ試しながらやっています。

 

秋間さん:(登場)すみません遅くなりました。

 

――お忙しいところすみません。お母様に先にいろいろお話を聞かせていただいてました。

秋間さん:じゃあここから私に代わりますね。

 

どんどん魚屋さんが減っていくので、私がやるしかないと思った。

――オープンのきっかけは、秋間さんの口に合う魚がなくてご自分で始めたとお聞きしました。

秋間さん:私が実家を出て、自分で夕飯を作るようになったときに、納得して食べられるお魚がなかったんです。「みんな毎日こんなの食べてるのかな……」と思ったんです。たまたまママ友にお魚が嫌いな人がいて、自分が嫌いだから夕飯に出さないって言うんですよね。そうすると子どもも食べたことなくて嫌いになっちゃう。彼女が「生ものは食べさせたことないし、ほぼ365日肉」って言ってたのに衝撃を受けました。もう、これは自分が魚屋やらなきゃだめだなと思ったんですよね。

 

――たしかに最近は魚屋さんあまり見かけなくなりました。

秋間さん:年配の方たちどんどん辞めていってるし、このままじゃなくなっちゃうと思ったんですよ。主婦目線で小さい子から年配の方まで美味しく食べてもらえるものをお店に並べたかったんです。

 

――なるほど。

秋間さん:あとは祖母が亡くなったのも大きいです。私おばあちゃん子で、「わしお鮮魚店」でうなぎを焼いたりとか手伝いをずっとしてたんです。亡くなった3日後くらいにおばあちゃんが夢に出てきて、「わしお鮮魚店をお願いな」って言われて。それでパッと目が覚めたんです。私はおばあちゃんの手伝いとしてやってたから、亡くなったらもうお店の手伝いも行かなくていいやって思ってたんですけど、「あぁ、お願いされちゃったなぁ……」と思って(笑)

 

――それでお店をやろうという気持ちが固まっていったわけですね。

秋間さん:おばあちゃんが亡くなるまでは、うなぎ焼きとかの仕事がメインだったんですけど、亡くなってから初めて魚をさばく手伝いをさせてもらったとき、全身に鳥肌が立つくらいすごく楽しくて。黙々とずっとやり続けられるくらい。そんなこともあって、魚の話をママ友とかに話を聞くようになったんですよ。

 

子どもが食べて美味しいと感じれば、親になったとき魚が食卓に並ぶ。

秋間さん:石川県とか富山県の市場を見に行ったときに、若い子たちがいっぱい働いていて活気がすごくあったんです。すぐ近くの県なのに、なんで新潟とはこんな違うんだろうって思いました。それってきっと、住んでいる人たちが魚をあまり食べないからなんですよね。だから魚が売れないし、漁師さんも数が減っていって市場も潤いがなくなっていっちゃう。

 

――普段の食卓で、美味しい魚に出会える機会が少ないんですかね。

秋間さん:新潟はこんな海に囲われているのに、魚に対する興味もすっかりなくなっちゃっていますし。でもやっぱり、季節の魚の美味しさを知ってもらいたいんです。今だと、新潟でとれるフナベタって魚があるんですけど、知らない方が多いし。こういう魚なんですけど。

 

 

――すいません、見ただけじゃ全然わかんないです……(笑)

秋間さん:新潟でとれる魚の種類ってほんといっぱいあるんですよ。イカひとつとっても、コウイカ、ヤリイカ、アオリイカとかいろいろ種類とれるんです。

 

――毎日どのくらい仕入れているんですか?

秋間さん:毎日なるべく5~6種類は仕入れるように、高くて利益につながらなくても買うようにしています。お店に来るお客さんにいろいろな種類の魚を見て楽しんでもらいたいっていうか。

 

――食べて美味しければ魚の名前も覚えるし、食べる種類も増えますよね。

秋間さん:この前、20代前半の子がお刺身を買っていったり、10代くらいのカップルがイカの塩辛を買っていってくれて(笑)。その子たちが美味しいのを食べて味を知ってくれれば、母親になったときに食卓にお魚を並べるんだろうなって想像したら嬉しいですね。そういう意味で、ロゴもお皿と箸にしているんです。

 

 

――若い子が魚を好きになれば、その子どもたちも魚を食べるわけですもんね。これからのことで、秋間さんが考えていることってありますか?

秋間さん:私がこの店を始めることで、新潟の水産業界を盛り上げていきたいと思っています。漁師さんとか市場がもっと活気づいていったらいいなって。そのためには、まずは今の若い世代の子だったり、母親世代に、本当に美味しい魚に出会ってもらうことが大切ですよね。そして次の世代につないでいってもらいたいんです。魚は生臭いとか、料理してもグリル洗うのが大変とか、マイナスなイメージがついちゃってますけど、魚って毎日食べるとお肌つるつるになるんですよ(笑)

 

お魚屋秋ちゃん

〒950-2045 新潟県新潟市西区五十嵐東3丁目13-1

Tel 025-378-1677

営業時間 9:00~19:00(仕込みの状況により変動)

定休日 水・日・祝日

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