皆さん、台湾スイーツの「豆花(トウファ)」ってご存じですか?名前からはどんな食べものか想像できませんよね。実は三条にその「豆花」が食べられる雑貨店があるのだとか。今回はそのお店「コティクッカ」にお邪魔して、店主の高野さんに豆花をはじめ雑貨のあれこれや、喫茶をやっている理由について、いろいろとお話を聞いてきました。
コティクッカ
高野 亜希子 Takano Akiko
1975年新発田市生まれ。服飾系の専門学校を卒業し、アパレルショップに就職。結婚・出産を機に燕市に移住しクリニックの看護助手に転職。その後、2015年に雑貨店「コティクッカ」をオープン。趣味は喫茶店巡り。
――まず、このお店をはじめたきっかけを教えてください。
高野さん:知り合いの方から期限付きで、ここではない場所を貸してもらえることになったのがきっかけです。DIYをして店舗として使わせていただきました。そのときどんなお店をやるかは考えていなかったのですが、それまで勤めていた仕事を辞めて1年間アルバイトをしながら計画を立て、はじめは燕市で雑貨店としてオープンしました。その2年後に今の場所に移転しました。
――以前から機会があったら雑貨のお店をやろうと思っていたんですか?
高野さん:お店を持つことは憧れていましたが、具体的に準備をしてきたわけではなかったので不安もありました。でも面白そうだなと思う気持ちが勝って、チャレンジショップのような気持ちではじめました。
――そうなんですね。「コティクッカ」という名前は?
高野さん:「コティクッカ」はフィンランド語なのです。フィンランドが舞台の「かもめ食堂」という映画があるのですが、その映画の影響でフィンランドに興味を持ちました。フィンランド語の響きが面白かったので、家=koti、花=kukkaと好きな単語をつなげ店名にしました。「かもめ食堂」という映画は、ちょっと個性的な登場人物たちが思い切って行動した先で出会い、自分たちらしく生きているというストーリーで大好きな映画です。
――お店の移転には、なにか理由があったんですか?
高野さん:ここは元々紙もの専門の雑貨店でした。私がお店の準備をしている頃に知人から「好きそうなお店があるよ」と教えてもらい、実際に心が躍るようなお店でしたので、よく通うようになりました。店主さんにはお店のオープンのことも相談にのってもらったり、オープンしてからも一緒にイベント出店したりと仲良くしてもらっていました。しばらくしてその方がお店を辞めることになり「こっちに移って来ませんか?」と声をかけてもらいました。大好きなお店があったその場所を私が受け継げるのはとても嬉しいことでしたので、思い切って三条へ引越して来ました。
――そうだったんですね。
高野さん:そのお店では喫茶もやっていて、私もそれを残したいなと思ったので、喫茶もやることにしました。最初、メニューにはクリームソーダしかなかったんですが、いつも来てくれるお客さんに他のも飲みたいと言われて、少しずつ増えてきましたね。
――お店のメニューにある豆花(トウファ)って何ですか?
高野さん:豆花は豆乳プリンに黒糖シロップをかけたスイーツです。当店はトッピングに緑豆、さつまいも、タピオカ、白玉などをのせています。あっさりした甘さで食感が良くスルスルと食べられます。身体にもやさしいスイーツです。
――初めて食べました! 高野さんは何がきっかけで豆花を知ったんですか?
高野さん:友人が台湾に行ってきておすすめしてくれたガイドブックに載っていた豆花の写真に釘付けになってしまいました。私はすぐに台湾に行けなかったので新潟で食べることが出来るお店を探したのですが見つからず、東京の専門店へ行って食べました。その味が忘れられなくて自分でレシピを再現したりお店で食べた味を思い出しながらアレンジを加えたりしていました。
――じゃあそのあと、お店でも出すようになったんですね。
高野さん:初めてお店で出したのは、ワークショップでお客さんに振る舞ったときだったと思います。その前から、自分で作れる軽食をイベントのときだけ提供していたんですけど、「美味しいから喫茶でも出したら?」と言われて、メニューに入れました。豆花が好きで来てくださるお客さんの中には、「三条で食べられると思ってなかった!」と言ってくださる方もいて、同じこと考えてる人いたんだって思って嬉しかったです。
――雑貨店と喫茶、どっちもやっていると大変じゃないですか?
高野さん:そうですね。1人でやっていますので、どうしてもお客さんを待たせてしまうときがあることです。来てくださる方が皆さん良い方ばかりで、ありがたいことになんとかなってきました。それ以外は多少のことがあっても好きなことなので続けていけるのだと思います。
――雑貨はどうやって選んでいるんですか?
高野さん:日常の暮らしを豊かにしてくれるもので、「好きだな」と思うものをセレクトしています。オープンの頃からお取り扱いしている信楽焼の動物の置物は、滋賀県の工房を訪ねて作家さんに直接お願いしました。
――その方に出会ったきっかけは?
高野さん:お店をはじめる前にネットで知りファンになりました。東京へ展示会を観に行って、作品を手にしたときは感動でした。愛嬌のあるかたちや表情、土の素朴な質感を眺めていると、とても幸せな気持ちになります。
――他に思い入れのある商品は?
高野さん:毎年秋から春までお取り扱いしている富樫由紀子さんのホームスパンマフラーです。手紡ぎ、手染め、手織りと丁寧な手仕事により作られたマフラーです。刈り取った羊毛を洗うところから富樫さんが一人で行っています。空気を含んだ綿のように柔らかな手触りなので、是非触れてみていただきたいです。
――本当だ。ふわふわですね。最後に、高野さんがお店をやっていて幸せに感じることは何でしょう?
高野さん:クリエイティブな人たちに出会えること、好きなことを通してお客さんと楽しさや嬉しさを共有出来ることが幸せだなと思います。
コティクッカ
三条市荒町2-11-16
0526-64-7088
14:00-17:00
火・水曜休み