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新潟出身の内山拓也監督「佐々木、イン、マイマイン」が上映スタート。

公開記念トークイベントにやってきた映画監督にインタビュー。

今年11月27日に公開された映画「佐々木、イン、マイマイン」。本作はKing Gnuや平井堅などのミュージックビデオを手掛けた新潟出身の内山拓也監督による作品です。今回は、映画公開を記念して開催されたトークイベントがこの地元・新潟でも開催されるとの噂を聞きつけ、ここぞとばかりにインタビューしてきました。

 

内山 拓也 Takuya Uchiyama

1992年新潟市生まれ。演出・映像作家。高校卒業後、文化服装学院に入学。23歳で初監督作品「ヴァニタス」を制作。初の長編にして「PFFアワード2016観客賞」を受賞。King Gnu「The hole」、平井堅「#302」などのミュージックビデオを手掛ける。

 

スタイリストからの転身。映画という世界へ。

――文化服装学院を卒業されていますが、どうして映画の世界へ?

内山監督:昔からファッションが好きだったから、スタイリストになるつもりで文化服装学院に入学しました。卒業してからアシスタントの仕事やアルバイトをしていて、たまたま仕事先が映画の撮影現場だったんです。そこで映画の世界に感銘を受けて……「映画の現場にいたい」って思ったんですよね。

 

――じゃあスタイリストの仕事は……。

内山監督:21歳のときにスタイリストの仕事を辞めて、フリーターをしながら映画の世界を目指すことにしました。それからは助監督をしたり、雑用をしたり、少しずつ映画の世界に足を踏み入れていきましたね。

 

 

――映画を監督するための知識や技術などは、どうやって学んでいったんですか?

内山監督:『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督のそばに1年ぐらいいさせてもらって、脚本の作り方や映画に向き合う姿勢を学びました……いや、学ばせてもらったというより、どちらかといえば見させてもらっていました。中野監督の下につくまでは「映画の現場にいたい」という自分の気持ちの意味が分かっていなかったけれど、それからだんだんと「映画監督にならなければならない」という思いに気づけた、そんな時間でしたね。

 

――「映画の現場にいたい」という目標から、「映画監督になりたい」に変化したんですね。

内山監督:はい。だから、助監督の話があっても断るようにして、とにかくアルバイトをしてお金を貯めました。その後に撮影したのが、「PFFアワード2016観客賞」を受賞した「ヴァニタス」。2016年でしたね。この作品を機に、自分は映画の世界にいてもいいんだと、今振り返ると少しだけ肯定してもらえたような気がします。

 

自分も誰かにとっての佐々木かもしれない。

――それでは11月27日に公開されたばかりの「佐々木、イン、マイマイン」について教えてください。どんな物語ですか? ネタバレしない範囲で教えてください(笑)

内山監督:この映画は、地方から俳優になるために上京した27歳の青年・悠二が主人公です。俳優を目指す気持ちはあるけれど、どこか前に進めない現実にぶち当たっているとき、ある友人と10年ぶりに再会します。そのときに思い出したのが、高校時代の友人である「佐々木」です。佐々木をキッカケに思い出す18歳の高校生の記憶と、27歳の青年の葛藤が入り混じる、青春の終わりを感じられる物語です。

 

――予告で流れていた「佐々木! 佐々木! 佐々木!……」のコールが印象的だったから、佐々木が主人公だと思っていました。ちなみに佐々木は、どんな人物なんですか?

内山監督:佐々木は、簡単に表現すると嵐のような人物で、台風の目です。でも、本人は台風の目という自覚がなくて。映画を観て「佐々木みたいな人がいたな」と、自分の中の記憶に残っている人物に気づかせてくれるような男ですね。

 

 

――撮影での印象的なエピソードがあったら教えてください。

内山監督:「佐々木、イン、マイマイン」のスタッフやキャストのほとんどは、自分と同世代なんです。特に僕と同じ1992年生まれが多くて、そんな同世代とひとつの作品を作り上げられたのは貴重な時間でした。印象に残っているのは、主人公の悠二の高校時代の友人である多田役を演じた遊屋慎太郎の一言ですね。

 

――どんな一言だったんですか?

内山監督:「現場でちゃんと友達ができた」と言ってくれたんです。なんだか救われたように感じたし、オールアップの瞬間には、僕もやっと同世代のみんなと「友達」になれた気がしましたね。

 

テーマをどう届けるかは考えるけど、メッセージは持たないように。

――「佐々木、イン、マイマイン」を通して、お客さんに何か感じ取ってもらいたいことはありますか?

内山監督:作品を作るときには、テーマをどう届けるかをたくさん考えます。でも、受け取り方に余白を持たせたいから、メッセージは持たないようにしています。「こう感じてもらいたい」と強要してしまったら、それ以外の感じ方に蓋をしてしまうことになる。その人なりの感覚に、ちょっとだけ後押しが出来たらいいと思っています。でも、この作品を観て、自分にとっての佐々木を探してもらえたら嬉しいですね。

 

――自分にとっての佐々木というと?

内山監督:この作品で伝えたい「佐々木」は、突拍子もないことをする人物のことではなくて、「佐々木」という人物や名前を何かに置き換えることなんです。それは先生であったり、教室の端っこで本を読んでいる人であったり、その人を学生時代に限らず、今を生きる自身にとって、その人を記憶と結びついて呼び覚ます事が出来れば、その人は「佐々木」に置き換えられます。自分にとって大切な時間を思い出して、自分の中の佐々木を探すと、自ずと自分も誰かの「佐々木」かもしれないんですよね。

 

 

――なるほど。最後にお聞きしたいんですけど、「佐々木、イン、マイマイン」にはKing Gnuの井口理が出演されていますよね。ミュージックビデオがキッカケだったんですか?

内山監督:彼とは「The hole」のミュージックビデオを撮る前からの友人で、それこそ10人ぐらいしかライブに集まっていなかった頃から関係がありました。だからといって友人出演とかではなくて、他の人たちと同じようにオーディションからの出演なんです。個人的に応募してきてくれました。

 

――そうだったんですね。個人的に応募してきてくれたのは嬉しいですね。オーディションに応募することは知っていたんですか?

内山監督:まったく知らなくて、応募者リストに「井口理」の文字を見付けて「あれ?」って思いました。Gmailで履歴書を書いて、自宅前で撮影した写真を添付してきてくれたのは、「友達だから出演させてよ」じゃない、お互いの関係性の尊重と感じましたね。

 

 

 

『佐々木、イン、マイマイン』

藤原季節、細川岳、萩原みのり、遊屋慎太郎、森優作、小西桜子、三河悠冴、河合優実、井口理(KingGnu)、鈴木 卓爾、村上虹郎

監督:内山拓也

脚本:内山拓也、細川岳

撮影:四宮秀俊

照明:秋山恵二郎

音楽:小野川浩幸

録音:紫藤佑弥

美術:福島奈央花

衣裳:松田稜平

ヘアメイク:藤原玲子

編集:今井大介

スチール:木村和平

助監督:中村幸貴

制作担当:槇原啓右

「佐々木、イン、マイマイン」公式サイト

 

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