意外と好評な銭湯特集。今回はその第二弾です。その昔、昭和の時代はお風呂のない家が多く、夕方になると家族そろって銭湯へ歩いて行ったもの。今となってはお風呂のない家などほとんどなく、自宅で疲れを癒すのが当たり前の時代。でも、たまには銭湯に行ってみませんか? 広い湯船にゆっくりと浸かって、見ず知らずの人たちと裸のコミュニケーション。意外と知られていない新潟の銭湯をThings編集部が巡ってみました。
新潟市西区
新潟市西区で唯一の銭湯「旭湯」。創業はまだ新潟市と合併前の「内野村」だった時代。家庭にお風呂のない当時、銭湯は人々の暮らしにとって欠かせない存在でした。「旭湯」は近年稀に見るレトロな空間の銭湯で、ちょっとしたフォトスポットでもあります。自慢のお風呂はトルマリン天然石で作られた「超音波気泡風呂」。市役所にクレームが届くほどに熱々の湯船は、なんと45~46℃。熱い湯を好む常連さんのために、温度は絶対に下げないそうです。
タフマンをグビグビと飲みながら「おめさんも、何か飲むか?」と、声をかけてくれるファンキーな看板娘・朝妻キヨさんは86歳。「昔は大食いで、早食いだったんだて」と銭湯の話だけでなく、自身の昔ばなしを気さくに語ってくれます。営業時間は深夜12時までと、なかなかハードですが、死ぬまで続けてやるんだと、毎日頑張っているそうです。ちなみにキヨさんが大好きなタフマン、しっかり販売しています。
銭湯の備品たち
りゅーとぴあ、陸上競技場、県民会館などアクセスの良い場所に位置している「有馬湯」。新潟市役所に真ん前にあり、その存在は知っているという方も多いのではないでしょうか。明治後半に創業し、5代目のご主人いわく「たぶん、創業142年ぐらいかな」。浴室に入ると目に飛び込んでくる細かなタイルで描かれた風景画は、ヨーロッパの山と川をモチーフとしたモダンなデザイン。定番の日本風景でなく、ちょっと違った雰囲気を楽しめます。
お風呂は「深風呂」「浅風呂」「薬湯風呂」の3種類。浴槽には超音波、ミクロン気泡、遠赤外線があり、疲れを癒してくれます。ちなみに笑顔で出迎えてくれる番台の山田さんは、有馬湯に勤め始めて20年の大ベテラン。なんとご主人よりも先輩なんだとか。洗濯機や乾燥機なんかもあって設備も万全。昭和初期に建て替えしたとは思えないほどきれいな銭湯でした。
銭湯の備品たち
平成24年に改築し、白を基調とした清潔感のある浴場として生まれ変わった「いいでの湯」は、改築のタイミングで名物「アヒル風呂」をスタート。「アヒル風呂」とは、誰もが見たことのある黄色いアヒルの玩具を浴槽を囲むようにこれでもかと整列した、アヒルと一緒に楽しむ入浴スタイル。子どもだけでなく、大人も懐かしくアヒルをお風呂で泳がせてあそんだり、ガーガー鳴らして楽しんでいるそうです。
月替わりの「変わり湯」は、毎週日曜日。でもそのうち第1,3日曜日は「アヒル風呂」の日となっています(7、8月は毎週実施)。家族で営むこちらの銭湯は、大竹章江さんが番台を務めます。嫁いでからかれこれ50年。毎日お客さんを出迎えているそうです。番台の前は休憩所となり、章江さんも混じって風呂上がりのお客さんとの井戸端会議の場所なんだとか。
銭湯の備品たち