キャンプやイベントも楽しめる、越前浜にある海の家「BOWWOW」。
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2022.07.01
今年もまもなく海水浴シーズンがやってきます。新潟市西蒲区にある越前浜も、砂浜が広くて人気のある海水浴場のひとつです。でもオーナーの高齢化や建物の老朽化などで、現在はほとんどの海の家がクローズ状態。そんななか、夏の海水浴シーズンだけではなく冬のオフシーズンも営業している、たった1軒の海の家があるとか。「トロピカルリゾートBOWWOW」。オーナーの渡邊さんを訪ねて、海の家を営業する思いを聞いてきました。


有限会社 猫の手工房
渡邊 三代 Miyo Watanabe
1968年新潟市中央区生まれ。美容師から内装業に転職。クロス貼りなどの内装技術やログハウス建築の経験を積み「有限会社 猫の手工房」として独立。2008年より越前浜で「トロピカルリゾート BOWWOW」をオープンする。音楽鑑賞が趣味で、好きなアーティストはSia(シーア)。以前はハードロックバンドで自らもヴォーカルを務めていた。
「トロピカルリゾートBOWWOW」って、どんなところ?
——「トロピカルリゾートBOWWOW」さんは、1年中利用することができる海の家なんですよね?
渡邊さん:そうなんです。海水浴はもちろん、食事や宿泊、バーベキュー、キャンプ、パーティー、ライブに年中ご利用いただける海の家なんですよ。

——キャンプもできるんですか?
渡邊さん:はい。キャンプサイトは4つのエリアに分かれています。自動車の乗り入れができる「プレミアムサイト」や「オートキャンプサイト」、バーベキュー用の「巨大コンロ付サイト」、区画のない「フリーサイト」があって、お客様のニーズに合わせたキャンプをお楽しみいただけます。コンロのレンタルや食材セットの販売もおこなっていますので、手ぶらで来てもバーベキューをお楽しみいただけるんですよ。

——じゃあ、これからは忙しいシーズンですね。でも冬は利用者が減るんじゃないですか?
渡邊さん:そうですね。だから冬は本業に専念して、「トロピカルリゾート BOWWOW」は予約制に近い形で営業しています。
——他にもお仕事をされているんですね。
渡邊さん:はい。「猫の手工房」という内装業者をやっているんです。ハウスクリーニングやミニリフォームの仕事が多くて、どちらかといえば便利屋さんみたいな業者ですね。だから「猫の手工房」という名前なんですよ。
——海の家の名前が「BOWWOW」で、内装業の名前が「猫の手工房」なんですね(笑)。犬や猫がお好きなんですか?
渡邊さん:どちらも好きです(笑)。じつは海の家をはじめて間もなく取材を受けることになったんですけど、まだ名前が決まっていなかったんです(笑)。そのとき店名を聞かれて頭に浮かんだのが「BOWWOW」だったんですよ。私の好きなハードロックバンドの名前なんですけど、犬の鳴き声を表す言葉でもあるので、音楽好きな人たちが集まってワイワイ騒げる場所という意味もあるんです。でも、この名前のおかげで犬好きな人がたくさん来てくれるようになりましたね(笑)
——そんな由来があるんですね(笑)。よかったら内装業をはじめたいきさつも教えてください。
渡邊さん:知り合いから就職先を紹介してもらったものの、どんな仕事なのかまったく知らないまま働くことになったんですよ(笑)。そこはクロス貼りが主な仕事の内装業者だったんです。やってみたら、クロスを貼った所が魔法みたいに綺麗になっていくのが面白くて、すっかり内装業にハマってしまったんですよね。「トロピカルリゾートBOWWOW」のリノベーションはほとんど自分たちでやっているんですけど、内装業の知識や技術が役に立っています。
——ええっ、これを自分でやっちゃったんですか? どのくらいの時間がかかったんでしょうか。
渡邊さん:じつはまだ途中なんですよ(笑)。営業の合間に進めているので、なかなか終わらないんです。いつまでも未完のままで、ガウディの「サグラダ・ファミリア」みたいなものです(笑)

「トロピカルリゾートBOWWOW」をはじめてみて。
——そもそも、どうして「トロピカルリゾートBOWWOW」をはじめることになったんですか?
渡邊さん:ここは地元のおばあさんが経営していた海の家で、私のお義母さんがアルバイトしていたんです。そのおばあさんが海の家を閉めることになったんだけど、取り壊すには多額の費用がかかるし、どうしたらいいかとお義母さんを通して相談を受けたんですね。私はずっと海の見える場所で働くことが夢だったので、思い切ってこの海の家を引き受けることにしたんです。
——なんか縁を感じさせるお話ですね。最初から海の家だけじゃなくて、音楽イベントもやっていたんでしょうか?
渡邊さん:いや〜、最初は何をしたらいいのかまったくわからなかったので、そのまま海の家としてスタートしました。そこに昔のバンド仲間が集まってミニライブを開きはじめて、それが人づてに広がって音楽スペースとして利用されるようになっていったんです。そのうち知り合いの音響業者さんから大きなアンプを譲ってもらったりして、どんどんステージが充実していきました(笑)

——自然とそういう営業スタイルになっていったんですね。
渡邊さん:まわりに流されるままやってきたような感じですね(笑)。でも、協力してくれる人が多勢いることって、本当にありがたいなって思っています。
——渡邊さんが魅力的だから人も集まるんでしょうね。「トロピカルリゾートBOWWOW」をやっていて、大変なことってありますか?
渡邊さん:冬の海風は凄まじいですね。強風で屋根が飛んじゃったことがあって、そのとき宿泊していたお客様からの電話で被害を知りました(笑)。大急ぎで戻ってきて、お客様にも手伝ってもらって屋根を補修したんです(笑)
——そのお客さんも大変でしたね(笑)。遮るものがないから、吹き付ける風はすごいんでしょうね。
渡邊さん:そうなんですよ。あとは砂の被害ですね。冬場は砂が窓の半分まで埋めることがあるんですよ。そんなときはお店を開けるだけでもひと苦労なんですけど、砂掘りを手伝いに来てくれる仲間に助けられています。砂は海岸にも溜まっていくので、海水浴シーズンの前には行政が重機を使って海岸の砂を掘っているんです。

——砂と闘う日々なんですね。
渡邊さん:でもその反面、広い砂浜を利用したビーチテニス、バギー、パラグライダーといったスポーツを楽しむことができるんです。
——砂が多いことはデメリットだけじゃない、と。ところで、海水浴に来る人って多いんですか?
渡邊さん:シーズン中はそれなりに多くの人が遊びに来ますよ。「トロピカルリゾートBOWWOW」にも毎年滞在してくれる常連のお客様がいて、もはや親戚みたいな感覚です(笑)

——渡邊さんが思う、越前浜の魅力を教えてください。
渡邊さん:夕日が沈むひとときも綺麗なんですけど、月が沈むときも海に月の影が映って綺麗なんですよ。これは是非みんなに見てほしいです。あと夜空の星がすごくて、条件が良ければ天の川まで見えます。隠れた絶景スポットだと思いますね。
——へ〜、山のなかじゃないのに天の川まで見えるんですね。そんなに素敵な場所なのに、人があまり来ないというのはもったいないような……。
渡邊さん:そうなんですよ。今までは「トロピカルリゾート BOWWOW」だけでこじんまり営業してきましたけど、これからはもっと人が集まる場所にしていきたいんですよね。そのためにも、いろいろな人に関わってもらって、越前浜を盛り上げていこうと思っています。今後は浜焼き、ピザ、メキシコ料理のお店や、サウナができたりする予定です。いずれは西蒲区の観光拠点になってくれたら嬉しいですね。

トロピカルリゾート BOWWOW
新潟市西蒲区越前浜6838-1
0256-70-2700
11:00-23:00
水曜休
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