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イルカショーを盛り上げる「マリンピア日本海」の新人飼育員奮闘記。

県内外からの多くのお客さんたちで賑わう「新潟市水族館 マリンピア日本海」。日本海側有数の規模を誇り、迫力満点なマリントンネルや神秘的なクラゲの水槽など、見所もたくさんあります。そのなかでも特に人気なのが、毎日開催されているイルカショー。ショーを終えたばかりの新人飼育員の小林さんに、日々感じていることを聞いてみました。

 

 

新潟市水族館 マリンピア日本海

小林 泉美 Izumi Kobayashi

2001年柏崎市生まれ。「国際ペットワールド専門学校」卒業後、「新潟市水族館 マリンピア日本海」に就職しイルカの飼育を担当。昨年よりイルカショーのMCも担当。プロ野球観戦が好きで日ハムファン。

 

台本通りに進まないことも多いイルカショー。

——イルカショー、お疲れ様でした。とっても盛り上がっていましたね。小林さんはいつから水族館で働きたいと思っていたんですか?

小林さん:もともと生物が好きだったんですけど、そのなかでも自分とかけ離れた姿をしている魚介類や海の生物に興味があったんです。小さい頃から金魚を飼ったり、水族館へ連れて行ってもらって魚を眺めたりするのが好きでした。

 

 

——その頃から働いてみたいという気持ちはあったんでしょうか?

小林さん:まさか自分が働くことになるとは思ってもいませんでした(笑)。水族館の飼育員になるための勉強ができる専門学校があることを知って、水族館で働いてみたいと思うようになったんです。

 

——卒業してすぐに「マリンピア日本海」へ就職したんですか?

小林さん:はい、入ってすぐイルカを担当することになりました。最初は何をしたらいいのかわからなくて、周りの人の動きを見ながら自分のやるべきことを探していました。

 

 

——イルカショーのMCが素晴らしかったです。

小林さん:1年くらい前からMCを担当させていただいています。最初はお客さんのいないステージを使って、イルカの動きに合わせて話す訓練を何度もやりました。

 

——人前で話すことって緊張しませんか?

小林さん:学生時代は野球部のマネージャーをやっていて、球場のウグイス嬢をやった経験もあったので、人前で話すことに抵抗はなかったんです。でもお客様にとっては1回1回が特別なステージですので、失敗して台無しにしてはいけないというプレッシャーは感じていましたね。

 

 

——実際にステージをやってみて、どんなところが大変だと感じますか?

小林さん:イルカには人間の言葉が通じませんから、台本通りに動いてくれないときもあるんです。イルカがサインを見ていなくて動かないこととか、1頭が大暴れして、他のイルカたちが奥のプールへ逃げてしまったこともありました。繁殖期のオスが興奮してショーの間に交尾をはじめちゃったこともあったんですよ。そのときは真面目に勘弁してほしいと思いましたね(笑)。そのつど何とかアドリブでフォローしてきました。

 

——人間以外の生物が相手だと想定外のことも起こりますよね。MCの際に心掛けていることはありますか?

小林さん:イルカショーの最中には解説が多いので、しっかりと伝えたい部分はゆっくり話すようにして、メリハリをつけたMCを心掛けています。ショーの後に行う質問タイムで、子どもたちから「楽しかった」とか「勉強になった」とかの感想が聞けると大変励みになりますね。

 

イルカをトレーニングすることの難しさ。

——イルカのトレーニングにも関わっていらっしゃるんですよね。

小林さん:もちろんです。といっても今年に入ってからなので、まだ1年も経たないんですけど……。トレーニングはショーのためにやっているんじゃなくて、イルカの健康管理をはじめ、運動の機会を与えることで単調になりがちな日々に刺激を与えるといった、様々な目的のために実施しているんです。

 

 

——あ、そうだったんですね。イルカのトレーニングって、最初は大変なんじゃないですか?

小林さん:いつもトレーニングを見てきたつもりだったのに、やってみるとイルカが思ったように動いてくれなくて大変でしたね(笑)。サインの出し方が少し違っただけでも動いてはくれないんです。

 

——イルカにもわかるように伝えるのって大変そうですよね。

小林さん:何が正しくて何が間違っているのか、何をしてほしいのかを明確にして伝えなければならないんです。私が少しでも迷ってしまうとイルカも迷ってしまうんですよ。イルカによってそれぞれ視野も違いますし性格やペースも違うので、一頭一頭に合わせたトレーニングをしています。

 

 

——人間と同じで個性があるんですね。どうすれば指示に従って動いてくれるようになるんでしょうか。

小林さん:正しく動けたときは餌をあげて、やってくれる行動を増やしていくんです。ただ、指示通り動いてくれないときに、どうやって正しい動きに導けばいいのかが難しいんですよ。昨年生まれたばかりのイルカは、まだうつ伏せと仰向けの区別がつかないので、優しくひっくり返しながら誘導するようにしています。あとは根気よく繰り返すことが大切ですね。

 

——根気のいる大変な仕事だということがよくわかりましたが、やりがいを感じるのはどんなときですか?

小林さん:今までできなかったことを、イルカができるようになったときは嬉しいですね。あと毎日違った動きを見せてくれるので、見ていて飽きないんですよ。ポンプの泡で遊んでいるときもあるし、プールサイドにいるカラスをじーっと見ていることもあります(笑)

 

——愛嬌があって可愛いですね(笑)

小林さん:確かにそうなんですけど、どれだけ慣れてきても危ない生き物だということを十分に意識して接するように心掛けています。体が大きくて力も強い上に、動きも素早い生き物ですからね。

 

 

——ペットとは違う意識で接しているわけですね。これからの目標があったら教えてください。

小林さん:ショーのなかで声のトーンを上げなければいけないところで上げることができなかったりして、お客様を盛り上げきれないところがあるので、そこは今後の課題だと思っています。あと水族館業務のなかで、自分にできることを見つけて実現していけたらいいなと思っています。

 

——ありがとうございます。最後にお客さんに対して、イルカを観察する際のおすすめポイントがあったら教えてください。

小林さん:イルカがどんなふうに体を動かしているのかを観察してほしいです。特にイルカがジャンプするときって、水上を見ている人が多いと思うんですけど、水中を見ていただくと、ジャンプの前に深く潜ってダイナミックに助走をつけるイルカの姿を見ることができておすすめですよ。

 

 

 

新潟市水族館 マリンピア日本海

新潟市中央区西船見町5932-445

025-222-7500

9:00-17:00

12月29日-1月1日、3月の第1木曜とその翌日休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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