長年おにぎりを握り続けてきたお母さんがはじめた「わっちのおにぎり」。
食べる
2023.02.13
昨年11月、新潟市中央区の米山にオープンした「わっちのおにぎり」。ふたりのお子さんを持つお母さんでもある田下さんが握る、優しい味わいのおにぎりを楽しめるお店です。今回は田下さんにお店をはじめたきっかけや、おにぎりへのこだわりについてお話を聞いてきました。


わっちのおにぎり
田下 廣美 Hiromi Tashimo
1960年加茂市生まれ。商業高校を卒業後、経理やアパレル販売の仕事を経験。三条市の鉄加工会社で経理担当として長年勤めた後、定年を機に退職。昨年11月に新潟市中央区米山で「わっちのおにぎり」をオープン。熱心なアルビサポーター。
お店をはじめたきっかけは、あるものとの衝撃的な出会い。
——田下さんはこれまでも飲食のお仕事をされてきたんですか?
田下さん:飲食業の経験はないんです。一昨年まで鉄の加工販売の会社に勤めていて、そこで26年ほど経理や総務の仕事をしていました。
——じゃあ、どういった経緯でお店を開くことに?
田下さん:「自分で何かをやりたいな」っていうのは若い頃から漠然と考えていました。以前いた会社は60歳が定年だったので、「別のことをしたい」と思って60になったときに「辞めたい」って希望を出したんです。会社からは「65歳までいて欲しい」って言われたんですけど、60で辞めて感じることと、65で辞めて感じることって違うだろうなって思ったんですよ。やれるうちにやっておきたいっていう考え方だったんです。

——それほどやってみたいことが何かあったんでしょうか。
田下さん:14年くらい前に、自分が大好きだと思えるあるものと出会って「何かをやりたい」っていう気持ちがまたふつふつと湧いてきました。「すごく好きだからこれを身近に置きたい」「これをまだ知らない人に広める役回りができないかな」って思ったんです。
——その大好きなものというのは?
田下さん:ヨーグルトです(笑)。もともと好きでよく食べていたんですけど、あるとき出張先で紹介してもらって食べたヨーグルトに衝撃を受けて。1個で普通のヨーグルトの2個分くらいの量があるんですけど、あまりにも美味しくって、そのとき私は3つも食べちゃったんですよ。
——ヨーグルトとはまさかの答えでした(笑)。そんなに美味しかったんですね。
田下さん:でもそのヨーグルト、新潟では販売していなかったんですよね。そこで作っている会社の方に「フランチャイズで販売させてくれないか」って相談したんですけど、「コストがすごくかかるから厳しい」っていう結論になってしまって……。
——あらら……。
田下さん:それで仕方なく諦めることにしたんですけど、「もし私が別のお店をやったら、イベントなどでご協力をお願いすることはできますか」っていう話をしたんです。そしたら「そういうことであればいつでも協力しますよ」って言っていただけて。これで縁は切れないなって思いました(笑)

——それでご自分のお店をはじめることになるわけですが、おにぎり屋さんにしたのはどうしてですか?
田下さん:飲食業に携わったことがなかったので「何ができるかな」って考えたときに、「今まで子どもたちにどれだけおにぎりを握ってきたんだ」って思ったんですよ。子どもたちが小さい頃、お弁当箱にお米を詰めるよりもおにぎりにした方が喜んだので、よく握っていたんです。下の子は特に白いご飯が好きで、「具入りじゃなくて、塩むすびがいい」って言うんですよ。
——へ~、本当にお米が好きなんですね。
田下さん:あの子に聞くと「お米変えた?」とか「このお米美味しいね」とか、よく気がつくんです。今は20歳になってひとり暮らしをしているんですけど、魚沼のお米を買って食べているらしいですよ。

注文が入ってから握る、お米にも具にもこだわったおにぎり。
——「わっちのおにぎり」さんではどちらのお米を使っているんですか?
田下さん:お店をはじめるとき、どこのお米を使うといいのかなってすごく悩んだんですよ。ただ他のおにぎり屋さんは魚沼産を使っているところが多いので、私は地元のお米を使いたいなと思って、加茂の七谷産のお米を使っています。
——どんな特徴のあるお米なんですか?
田下さん:香りがいいし、粒もちょっと大きめなんです。私はおにぎりをぎゅって握らずに、空気を入れるようにふんわりと握るんですけど、その握り方なら七谷産のお米が合うんじゃないかなって思ったんです。

——おにぎりの具は何種類くらいあるんでしょうか。
田下さん:12種類です。まだメニューには書いていないんですけど、お客さんに「焼きたらこがあるなら明太子も焼いてよ」って言われて焼き明太子を出したことがあるので、それを入れたら13種類ですね。
——焼きたての明太子、最高ですね。特に人気なのはどれですか?
田下さん:一番人気は鮭です。出汁と調味料を入れた中に鮭の切身を半日漬けて、店内で焼いているんです。それから骨を取り除きながら身を崩して、おにぎりに入れています。鮭って年齢関係なく食べられますしね。あとうち独自の具なんですけど、かつおわさびも人気です。わさびの産地でよく食べられている「わさび飯」っていうものがあるんですよ。
——どんな食べものなんですか?
田下さん:温かいごはんにかつお節をかけて、その上にすりおろした本わさび、お醤油をかけて食べるんです。それがテレビで紹介されていて、真似してみたらすごく美味しくって。それをどうにかおにぎりにできないかなと思って、子どもたちにも相談しながら試行錯誤してできたものなんです。
——想像しただけで美味しそうです……。
田下さん:わさびのツンとした感じが癖になるみたいですね。食べた人が辛さでちょっと「うっ」ってなっているのを見ると嬉しくって(笑)

——まだオープンされて3カ月ですが、お客さんはどんな方が多いですか?
田下さん:ご近所に住んでいる方も結構いらっしゃいますけど、この辺りって会社が多いので、お昼におにぎりを買いに来られたり、イートインもあるのでここに食べに来られたりする方もいますね。あとはひとり暮らしの男の子で、おにぎりを必ず4つか5つ買ってくれる子もいて。さまざまですよ。毎日来てくださる方もいますね。
——おにぎりって毎日でも食べられますもんね。
田下さん:近所に住む若いご夫婦が夕方6時半くらいに来て、「飲んだ後の〆はわっちのおにぎりに決めていたの」って言ってくれたこともありましたね。「飲みはじめるの早くない?」って感じですけど(笑)。少しずついろんな方に認知してもらって、リピーターになっていってくれたら嬉しいですね。

——先ほどおっしゃっていた、「大好きなヨーグルトを扱いたい」っていう気持ちは今も?
田下さん:たぶんその気持ちはずっと消えないです(笑)。一周年記念とか、他のお店とのコラボイベントとか、何か機会があれば扱いたいなって思っています。
——それは楽しみです。今後はどんなふうにお店を続けていきたいですか?
田下さん:今、注文を受けてからおにぎりを握っているんです。握りたての温かいおにぎりをお渡しして、お客さんがお家に持ち帰ってもまだほんのり温かい、っていう提供の仕方をこれからも継続していきたいですね。あと2号店じゃないんですけど、今度は路面店を開いてお店のことをもっと広めたいなって。そんなことも視野に入れて、まずはここで頑張りたいですね。

わっちのおにぎり
新潟市中央区米山4丁目19-11 ホワイトハウス2F
025-250-5665
営業時間 10:00-19:00
定休日 日・月
Advertisement
関連記事
食べる
常連客から愛され続ける、新発田市の住宅街にある老舗「鍋定」。
2024.05.02
食べる
白根で愛される、フランス仕込みのお菓子屋さん「ル・ポワロン・ビス」。
2021.10.12
食べる
「フィッシュベジ」を使い、発酵熟成にこだわる「NAGAOKA SASATEI」のイタリアン。
2023.07.07
食べる
選りすぐりの素材を手頃な値段で味わえる「和らぎ亭 しまや」。
2023.09.03
食べる
20種類もの貝を楽しめる!貝料理専門店「貝楽酒場たらふくうなり」。
2020.07.08
食べる
こだわりの玄米パンやシフォンケーキの店頭直売「パン工房 Dream House」。
2025.06.17
新しい記事
食べる
作品とともに、味わうひとさじ。
美術館の中にある「ひとさじ喫茶室」
2026.01.07
食べる
幅広い人気を集めるラーメン店。
アットホームな「中華そば ふじの」。
2026.01.06
買う
毛糸で人や土地、時間をつなぐ。
東湊町通の「Tres Yarn」。
2026.01.05
Things写真館
[Things写真館]滝沢写真館 photographerタキザワフミオ #03
PR | 2026.01.05
カルチャー
穏やかさの中にある情熱よ、届け。
ピアニストの碧木莉歩さん
2026.01.04
その他
小さな「できた」が地域を元気に。
「学研中条教室」の神田さん。
PR | 2026.01.03


