Things

小さいからこそできる「小さな床屋と小さなカフェ Lokki」のサービス。

新潟市北区に先月オープンした「小さな床屋と小さなカフェ Lokki」にお邪魔してきました。スッキリしたネイビーの建物は、理容室とカフェを一緒に営業するには少し小さ過ぎるように感じましたが、扉を開けるととても居心地のいいミニマムな空間で、仲のいい近さんご夫妻がお迎えしてくれました。

 

 

小さな床屋と小さなカフェ Lokki

近 達也 Tatsuya Kon

1980年新潟市北区生まれ。新潟理美容専門学校卒業後、秋田県や村上市の理容室で修業を重ね、2008年より両親の営む理容室「cuthouse SEAGULL(カットハウス シーガル)」で働く。2023年8月に新潟市北区で妻の千絵さんと「小さな床屋と小さなカフェ Lokki」をオープン。趣味は3年前から続けているレザークラフト。

 

小さな床屋と小さなカフェ Lokki

近 千絵 Chie Kon

1983年新潟市北区生まれ。駅内の土産店で販売スタッフとして働いた後、結婚してからは子育てをしながらパート勤務を続けてきた。2020年から北区のカフェでコーヒーについて学び、2023年に夫の達也さんと「小さな床屋と小さなカフェ Lokki」をオープン。

 

ご主人は4代にわたって理容師を続けてきた家系。

——達也さんは新潟理美容専門学校のご出身ということですけど、いつから理容師になろうと思っていたんでしょうか。

達也さん:僕の家はひいおじいさんから4代にわたって、理容師をやってきたんですよ。

 

——じゃあ代々続いてきた老舗の理容室だったんですか?

達也さん:みんなバラバラに違った看板で理容室をやってきたので、代々続いてきた老舗というわけではないんですよ。

 

——それぞれが自分の店をオープンして理容師をやってこられたんですね。その影響で達也さんも理容師に?

達也さん:まあ、ぼんやりと……(笑)。でも最初に秋田の理容室で働いてみて、理容師を諦めようと思ったんです。

 

——それはどうしてですか?

達也さん:そこはスタッフが30名もいるような大きなサロンだったので、すべてが流れ作業だったんです。僕はひとりのお客様に最初から最後まで責任を持って関わりたかったので、理容師って自分には向かない仕事なんじゃないかと思ったんですよね。

 

——あらら……そうだったんですね。

達也さん:そのことを先輩に相談したら、どんな仕事がやりたいのか聞かれたんです。「人を笑顔にできる仕事」と答えたら、「それなら理容師を続けるべきだ」と言われました。それで村上市で夫婦がやっている小さなサロンで働くことにしたんです。そこではじめて理容師の仕事を楽しく感じられるようになったんですよ。

 

 

——大きなお店で仕事を分担するよりも、小さなお店で最後までお客さんに接したいタイプなんですね。

達也さん:そうなんですよ。その後は両親の営んでいる「cuthouse SEAGULL」で15年間働いて、先月「小さな床屋と小さなカフェ Lokki」をオープンしました。

 

——ご両親のお店から独立されたのはどうしてなんですか?

達也さん:ひとりのお客様により深くご満足いただけるようなサービスを提供できるサロンをやりたかったんです。

 

奥さんがコーヒーにハマったきっかけはプレゼント。

——達也さんと千絵さんは、どんなふうに知り合ったんですか?

達也:実は人違いがきっかけだったんです。

 

——えっ、どういうことですか?

千絵さん:私が友達とボーリング場へ遊びに行ったとき、かっこいい男性を見つけたんです。一緒にいた友達がその男性を見て「あれは友達のお兄さんだ」と言ったので、紹介してくれるように頼んだんですよ。ところが紹介されたのはボーリング場にいた男性とはまったくの別人だったんです。でも結局付き合いはじめたんですけどね(笑)

 

——なんだか変な運命を感じますね(笑)。ところで、千絵さんは以前からコーヒーに詳しかったんですか?

千絵さん:夫からコーヒーセット一式をプレゼントされてから、どんどんハマっていきましたね。それまでは自分でコーヒーを淹れたことなんてなかったんです。

 

——達也さんはどうしてコーヒーセットをプレゼントしたんですか?

達也さん:長く付き合っていると、だんだん何をプレゼントしたらいいのかわからなくなっていくんです。そこで「新しくはじめてみたら?」という気持ちを込めてコーヒーセットを贈ってみました(笑)

 

 

——それで千絵さんはまんまとコーヒーにハマっていったんですね。

千絵さん:いろいろなコーヒー豆を知りたくて、コーヒーショップやカフェを飲み歩きました。そのひとつに地元の「cafe yadorigi(カフェヤドリギ)」があって、オーナーの人柄やコーヒーの味に惹かれたので、お願いしてスタッフとして働かせていただくことになったんです。

 

——ついにコーヒーが仕事になったわけですね。理容室と一緒にカフェをはじめたのはどうしてなんですか?

達也さん:理容室って人がくつろぐために来る場所なので、美味しいコーヒーでもくつろいでもらいたいと思って、奥さんにカフェをやってもらうことにしました。

 

ミニマムな空間のメリットとデメリット。

——お店は新築のようですけど、どんなところにこだわってデザインしたんですか?

達也さん:シンプルで居心地のいい空間を意識しました。でもこの狭いスペースで理容室とカフェを作るのは、かなり設計士泣かせだったみたいです。理容室の店舗にはいろいろとルールがあるので、3回くらい保健所に足を運んでアドバイスをいただきました。そのおかげでカフェスペースがほとんどなくなって、カウンターのふた席になってしまったんです(笑)

 

千絵さん:私たちが好きな北欧インテリアのテイストもイメージしました。店名の「Lokki」もフィンランドの言葉なんですよ。

 

——「Lokki」にはどんな意味があるんでしょうか。

達也さん:フィンランド語で「かもめ」っていう意味なんです。僕の両親がやっているサロンの「SEAGULL」という店名も「かもめ」っていう意味なので、その志を受け継ぐという思いを込めました。あと僕の好きな「かもめ食堂」という映画があって、そこに登場するカフェのオーナーの人との距離感に対する憧れもあったんです。

 

 

——達也さんはこの理容室で、どんなサービスを心掛けたいと思っていますか?

達也さん:男性にとって頭皮や肌の悩みって、他人に相談しにくい部分だと思うんですよ。そうした悩みにしっかりと向き合って、解消できるようなサービスを心掛けたいですね。そのために頭皮や肌を活性化するマシンを導入しました。

 

——マンツーマンだと打ち明けにくい相談もしやすいですよね。

達也さん:実は僕……口下手なんですよ。

 

——え? 誰が口下手なんですか?(笑)

達也さん:僕です(笑)。お客様と話すことが苦手で悩んでいたんですけど、話すことが苦手だったら聞けばいいんだということに気づいたんです。不得意なことを頑張るより、得意なことを伸ばせばいいと思いました。それ以来、お客様に寄り添いながら悩みをお聞きして、今まで培った知識をもとに解決法をご提案するようにしています。

 

お客さんの日常生活の一部になりたい。

——豆の産地や煎り方で4種類のコーヒーがあるんですね。

千絵さん:はい。4種類のなかからお好みのコーヒーを見つけていただけたら嬉しいですね。私はお客様に豆の知識を押し付けるのは好きじゃないので、ただお客様が美味しいと思えるコーヒーと出会ってくれたら嬉しいんです。

 

——お菓子にはどんなこだわりがありますか?

千絵さん:コーヒーと相性のいいものをご提供しています。コーヒーとチョコの組み合わせは最強だと思っているので、テリーヌは必須メニューでしたね。あとスコーンもオススメなんですよ。

 

 

——「はちみつスコーン」ですね。「太夫浜産はちみつ使用」って書いてありますけど、どんなスコーンなんですか?

千絵さん:私が以前から大ファンな「近藤養蜂」さんの蜂蜜を使わせていただいています。全粒粉を使った素朴な味わいのスコーンと蜂蜜の味を生かしたかったので、他には何もつけないシンプルなメニューにしています。味そのものを楽しんでいただきたいので「映え」も気にしないし盛り付けにもこだわりません。

 

達也さん:最初の数口だけ美味しいお菓子じゃなくて、最後まで飽きずに食べられて、終わってからもまた食べたくなるようなものを提供していきたいよね。

 

 

——これからどんなお店として営業していきたいですか?

達也さん:お客様の日常の一部になりたいですね。日々の生活のなかでカフェに来てコーヒーを飲んでいただいたり、髪を切るときには何も考えずに来ていただけたりするお店になりたいと思っています。

 

千絵さん:「自分の家みたい」と言ってくつろいでいただけたり、ぼーっと外を眺めて過ごしていただけたりすると嬉しいです。

 

達也さん:家で旦那さんと喧嘩してイライラしながら入ってきたお客様が、コーヒーでスッキリして家に帰ってくれたり、奥さんと喧嘩したお客様が髪を切りに来て、愚痴を言ってスッキリと帰ってくれるようなお店もいいなと思います。

 

——最後に、お互いのいいところを教えてください。

達也さん:奥さんは僕と違って物事を俯瞰で見ることができるんです。そういう僕にないところを持っているので、尊敬していますね。

 

千絵さん:リズムやフィーリングが合うし、コーヒーやカフェ、レザークラフトなど、私を常に導いてくれる人ですね。

 

 

 

小さな床屋と小さなカフェ Lokki

新潟市北区白新町4-7-26

025-385-6077

8:30-19:00(カフェは10:00-16:30)

月曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP