先日、取材に伺った「農民カフェ 味方店」で偶然お会いした「MOKO」さん。子育てに奮闘するママたちのお悩みを解消したいと、コーチングを活用した取り組みをしています。以前は自己価値を見出せず、子どもを産んでからますます不安な気持ちが強くなったという「MOKO」さんが、どうして今はポジティブでいられるのか。その理由や活動をはじめたきっかけなど、いろいろとお話を聞いてきました。
MOKO
1985年新潟市生まれ。日本女子体育大学 舞踊学専攻を卒業後、東京都内の銀行に就職。パーソナルトレーナーへ転身し、しばらくしてから双子を妊娠、出産。子育てのため30歳で新潟に戻る。理学療法士の資格を取得するため専門学校で学び、卒業後は病院で働く。育児に悩みはじめた2016年にコーチングと出会い、2022年に起業。7歳の双子と1歳の赤ちゃんの子育て中。フリーダンサーとしても活動中で、ウィーンでの公演に出演したほどの腕前を持つ。
——まずは「MOKO」さんが行っているサポートについて、詳しく教えてください。
MOKOさん:子育ての悩みを解決するお手伝いをオンラインで行っています。相談ではなく根本的な解決を目指すことをコンセプトにしていて、「相談者さんがどんなお悩みを抱えているのか」「今までどうやって生きてきたのか」などをお聞きしながら、私がメンターのような立ち位置でコーチングをさせていただきます。
——きっと心の深いところまでお話を聞くんでしょうね。
MOKOさん:「潜在意識」を明らかにさせることも重要なんですよね。人の顕在意識は3%だとも言われていて、自分でも思いもしていない「その人のパターン」があるんですよ。いつも同じようなことでぐるぐると悩んじゃう癖みたいなものですね。そういう状況に陥ってしまう本当の理由が明らかになると、苦しい気持ちから抜け出せることが多いんです。そのためには自分だけの視点ではなく、多角的にものごとを見ることが大切です。私は、相談者さんの視野を広げるガイド役ですね。
——どんな方がサービスを利用されるんですか?
MOKOさん:ふたり以上のお子さんの育児をされている方が多いですかね。他には、ご主人が単身赴任でママがひとりで子育てに向き合っているという方、婚活中の方もいます。30代、40代の女性からの相談が多いです。
——受け止める「MOKO」さん側にもパワーがいるのでは。
MOKOさん:私にも同じような経験があるので、皆さんのお悩みがすごくよく分かるんですよ。私はもともと、不安を強く感じる性格なんです。まだ起こってもいないことを心配したりして。子どもを産んで、そういった気質がより強くなりました。
——自分がそういう性格だと自覚されていたんですか?
MOKOさん:めちゃくちゃ自覚していましたね。それで、そういう性格を隠してきました。不安な状態でいるのは悪いことだと思っていたんです。心の奥で自分に否定感があるとか、潜在的な自分と現状の自分とが乖離していると悩みにつながるんですけど、まさに以前の私はそうでした。でもコーチングを学んで実践してみたら、いろいろな悩みが解決できたんです。それが分かったから、今度は私が悩みを抱えている人をサポートしたいと思ったんです。
——でも、どうしてコーチングを学ぼうと思ったんですか? 他にもいろいろなアプローチがありますよね。
MOKOさん:大学の同期がSNSで発信している内容を見て、「どうしてこの人はこんなにポジティブでいられるんだろう」「自信にあふれているんだろう」と気になって。本人に聞いてみたら、「実は悩みの中にいたんだけど、あるコミュニティでコーチングを学んで今の自分になれた」と言うんですよ。それを聞いて、私もコーチングのコミュニティに参加したんです。
——いろいろ学ぶことで、自信につながったんですね。
MOKOさん:現代って不安を感じるのがスタンダードなのかなと思うんです。暗いニュースが多いじゃないですか。もちろんポジティブなできごともあるんだけど、日常的にマイナスの話題が目に入っちゃう。今の私はポジティブなものをキャッチできるようになって、マイナスの感情に引っ張られずにいられます。だから自然と笑顔でいられるんです。
——お子さんとの向き合い方も変わりましたか?
MOKOさん:以前は、子どもに「思い通りに動いて欲しい」って思いが強かったんですよね。でも何が子どもに大切なのかをじっくり考えると、言うことを聞かせることはゴールではないと気がつきました。子どもが自分で考えて動く力を身につけることが社会に出てからも大切なんだと思うんです。でもそういうサポートはできていなかった。実は「子どもの考える力」を親が奪っているケースって多いのかもしれませんよね。
——どうしても親の視点で考えてしまいがちですよね。
MOKOさん:私はコーチングや潜在意識について学んだことで自己承認欲求が満たされて、子どもに何かを求めようとする気持ちが薄れてきました。宿題をやるかやらないかは子どもの問題なのに、「学校で怒られたらかわいそうだからやらせなくちゃ」って親の問題にすり替わっているケースってありますよね。子どものサポートはもちろん大人の役割ですけど、どちらの課題なのか区別することもポイントなんです。私はそう考えられる力がついて、不安になることが少なくなりました。
——お子さんにも変化がありましたか?
MOKOさん:子どもたちは、わがままを言いやすくなったんじゃないかな。抑え込まれていたのが、のびのびできるようになって、今では家でもリラックスしているように感じます。
——そういえば、MOKOさんは大学で舞踊学を専攻していたんですよね。ダンスの実績も経験も豊富だったと思います。「以前は自信が持てなかった」というお話でしたけど、むしろ成功体験をたくさんされてきたのでは。
MOKOさん:幼少期からバレエを習っていて、「上手だね」ってずっと褒められてきました。高校では新体操部で成績を残しましたし、得意のダンスを生かそうと舞踊学を専攻しました。「大人っぽい」と言われることも多くて、自分が中心的な存在になるのが当たり前だと思っていたんですけど、大学に入学したら、私よりダンスが上手な子が大勢いて。今まで目立つことで自信を得ていたのに、自己価値がまったく見出せなくなったんですよね。そこからさまよいはじめました(苦笑)
——全国からダンスのツワモノが集まっているんですもんね。
MOKOさん:ずっと自分の評価を他者から与えられてきたんですね。本当の自信って、自分との信頼関係なんだと思うんです。「いいね」「頑張ってるね」の言葉が私の栄養で、それがなくなったときに「自分ってなんなんだろう」と分からなっちゃって。
——その苦い経験が、今の取り組みにつながっているんですね。
MOKOさん:そうなんです。大学時代にコテンパンに落ち込み、出産後は子どもに強く当たってしまう罪悪感とイライラの感情をコントロールできなくなって。それで、どうしたら「子育てを楽しめるんだろう」「理想のお母さんになれるんだろう」と自分を変えるためにコーチングを学びました。そこで自分自身に大きな変化を感じたんです。私も変われたんだから、子育てに悩んでいるお母さんに私の経験と学んだ知識を生かして何かしたいと思ったんです。
——さて、今後はどんな取り組みをしたいと考えていますか?
MOKOさん:「お母さんって強い存在」「家事、育児、仕事をして当たり前」って固定概念は今でもあるのかなって思うんです。だからお母さん自身も周りの人も、女性がライフステージに合わせて変化することに違和感がないんですよね。その分、悩みを自分で解決しようと思っている人が多いのかもしれません。でも土壇場まで追い詰められる前に心のモヤモヤを解消して欲しくって。悩みが深くなる前に解決できる、気づけることはたくさんあるはずなので。私が行っているようなサポートの存在を広く知ってもらいたいと思っています。
——頼もしく感じている方は、きっと多いと思います。
MOKOさん:それともうひとつはじめたいことがあって。心と身体は結びついているので、どちらかが良くてもどちらかに課題があるとうまくバランスが取れません。社会に出てからもずっと続けているダンスや、パーソナルトレーナーとして働いた経験、理学療法士としての知識を生かして、心だけじゃなく身体の面からもサポートできる力をつけたいと思っています。
【楽しい子育て】ママの為の悩み解消サポーター/MOKO