旧栄町にある「森の湯小屋 さぎの湯 しらさぎ荘」は、その昔、しらさぎが足の傷を癒したという言い伝えがあるほど「泉質が良い」と評判の温泉施設です。大自然の中でのんびりと「森の湯小屋のように過ごして欲しい」という思いから、来館者がくつろげるさまざまな工夫が館内に施されています。今回はマネージャーの丸山さんに、個性あふれる「さぎの湯」の取り組みについていろいろとお話を聞いてきました。
森の湯小屋 さぎの湯 しらさぎ荘
丸山 明子 Akiko Maruyama
1974年三条市生まれ。2010年にパート社員として「さぎの湯」で働きはじめ、その後正社員となる。2017年にマネージャー職に就き、館内で開催されるイベントの企画やスタッフのシフト管理などに携わる。趣味のドラマ鑑賞がイベント立案のヒントになっている。
——「さぎの湯」さんは、とても歴史がある温泉だそうですね。
丸山さん:江戸時代中期から260年以上愛されている温泉です。昔、足を傷つけたしらさぎがこの温泉に入り、そのあと元気に飛び立っていった姿を村の人が見て、「ここの湯は身体にいい」と湯治場になったそうですよ。
——その言い伝えからも泉質の良さが分かりますね。
丸山さん:「さぎの湯」には、露天風呂も流行りのサウナもありません。あるのはお風呂だけなんですけど「温泉がすごく良い」と喜んでもらっています。身体が温まるし、科学的な根拠はわかりませんが「動かなかった足が動くようになった」「荒れた肌が良くなった」なんてお声もいただくんですよ。
——それに入浴料金が大人400円?! めちゃくちゃリーズナブルですね。
丸山さん:これほど安いところは珍しいですよね。しかも入湯税込みです(笑)
——きっと毎日のようにいらっしゃる方も多いのでは。
丸山さん:回数券を使って利用される常連さんが多いですね。今、目の前を通られた方も常連さんです。1日ここで過ごしていただけますので、夏場は特に人気です。自宅でお風呂を沸かさなくていいし、エアコンも効いていますから。
——大広間の他にもソファ席が点在しているし、ブックコーナーもあってくつろげそうです。
丸山さん:それも「さぎの湯」のセールスポイントなんです。2016年に管理会社が「株式会社関越サービス」に変わって、「森の湯小屋のようにリラックスしてもらいたい」という社長の思いから、建物内の雰囲気がガラリと変わりました。殺風景だった研修室がブックコーナー「さぎの森文庫」になりましたし、のんびりできるソファースペースも設けました。長机に和風の座布団が敷かれていた大広間には、ちゃぶ台とアースカラーのシンプルな座布団が置かれるようになったんですよ。全体的に明るくて、モダンな感じになりました。
——お客さんの層も変わったんじゃないですか?
丸山さん:以前はご年配の方だけ、若い方だけって別々でお越しになる方が多い印象でしたけど、リニューアルしてからは3世代みんなでいらっしゃるお客さまが増えましたね。おばあちゃん、おじいちゃんが自慢できる施設になったのかもしれないですよね。「『さぎの湯』はなかなか良い場所だから、孫たちも一緒に連れてきてあげよう」って。
——「カフェわかば」さんから「さぎの湯」さんを教えてもらったんです。なんでもお風呂の女神さまがいるとか。
丸山さん:「女神さま」ですね(笑)。なぜ女神さまが誕生したかといいますと、いつかのスタッフミーティングで「女性にどう喜んでもらうか」を議論していたら、あるスタッフから「いっぱいコラーゲンシャワーを浴びたい」「それも女神さまみたいな美しい人にシャワーをかけて欲しい」というアイディアが出てきまして。それで美魔女スタッフにお願いして、女神さまに変身してもらうことになったんです。
——じゃあ、本当に女神さまはいるんですね(笑)
丸山さん:毎週日曜日に「塗るコラーゲン」「浴びるコラーゲン」というイベント(女性風呂限定)を開催していて、そこで女神さまが大きなジョウロからコラーゲンをかけてくれます。それからもう1組、当館自慢のトリオがいます。ピンコ大会(ビンゴ大会)を仕切る「ピンコトリオ」が大人気で、このトリオが登場しないとお客さまから不満の声が出るくらいなんです。当館のTikTokやInstagramにも登場していますので、ぜひご注目ください。
——他にもたくさんイベントを開催していますよね。
丸山さん:先ほどもお伝えした通り、サウナも露天風呂もないので、何かひとつでも「さぎの湯」の魅力になるものがあったらいいなと思いまして、いろいろな企画を用意しています。季節のイベントに定番のイベントにと、ちょっとずつ増えていきました。
——人気の企画をいくつか教えてください。
丸山さん:この施設が建て替わるタイミングで「富永草野病院」の元院長先生から、立派な望遠鏡を寄贈していただきました。それが3階の天体観測室にあるので、講師の方をお招きして「星空さんぽ」という観察会をしています。季節の星がはっきりと見えるんですよ。9月23日の観測会では土星の輪っかが見えたようで、皆さん感激されていました。
——そういえば、さっき「さぎの湯」さんのお庭を手入れされている方たちがいましたね。
丸山さん:ハーブ畑などのお手入れをしてくださる方を募って、「森守(もりもり)クラブ」を結成しています。お客さまにもご協力いただいて「さぎの湯」の森を守っていこうという企画です。元気に育ったハーブはハーブ風呂に使ったり、コラーゲンシャワーに入れたりしています。このクラブにはスタッフも参加するので、お客さまとコミュニケーションをとらせていただく時間でもあるんです。参加される方は入館料が無料になる、ポイントが加算される、ミニソフトクリームのプレゼント券がもらえるなどの特典があるので、畑のお手入れが終わったら、館内でゆっくり汗を流してもらうんです。
——これから開催予定の注目イベントはありますか?
丸山さん:10月28日(土)と12月に、DJをお呼びして「サタデーナイトフィーバー」を開催する予定です。天体観測室にホールが併設されていますので、そこがディスコ会場に変身します。お孫さんと一緒に3世代、裸足で踊って、思う存分楽しんでもらえたらと思っています。
——お話を聞いていると、スタッフの皆さんもお客さんもみんなで楽しんでいる様子が伝わってきます。
丸山さん:一緒に働く皆さんとは気心が知れていて、とても仲良くしてもらっています。すごくいい環境でお仕事をさせてもらっていることに感謝ですね。お客さまも良い方ばかりなんです。ノリがいいというか、写真を撮るのも「いいよ」と受け入れてくださるし、イベントを一緒になって盛り上げてくれます。愉快なキャラクターがたくさんいる「さぎの湯」ですので、これからも楽しみにしてもらえると嬉しいです。
森の湯小屋 さぎの湯 しらさぎ荘
三条市矢田888
tel/ 0256-45-0888
営業時間/10:00~21:00(受付終了20:30)
休館日/毎月第2木曜日(祝日の場合は翌日休館)、12月31日