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カフェと食堂のいいとこ取り。「花の湯館」にある「温泉カフェわかば」。

小須戸温泉健康センター「花の湯館」内にある「温泉カフェわかば」。温泉施設のお食事処とはちょっと違う、おしゃれな雰囲気のお店です。お昼どきは「花の湯館」に浸かってひと汗流した方で賑わっていました。今回は京都府ご出身の店長さんに、新潟に来たきっかけやお店のこだわりなどいろいろとお話を聞いてきました。

 

温泉カフェわかば

店長のKさん

1984年京都府生まれ。京都の短大で栄養士の資格を取得。栄養士として会社勤めをした後、いくつかのカフェで働く。28歳のとき、ワーキングホリデー制度を利用しフランスのケーキショップに勤務。32歳で独立し、自家製酵母パンと焼き菓子のお店を営む。2018年に新潟に移住。2019年より「温泉カフェわかば」で働きはじめ、2年前に店長に就任。新潟に来てから猫嫌いを克服し、今では2匹の愛猫と暮らしている。

 

フランス留学で心配性を克服。パートナーとの出会いで新潟へ。

——Kさんは、京都府のご出身なんですね。新潟に来るまでどんなことをされていたんですか?

Kさん:京都の短大を卒業後、栄養士として就職したんですけど、飲食や接客に興味があったので会社を辞めてカフェで働きました。3、4店舗にお世話になりましたかね。それからフランスに留学して、32歳のときに自分のお店を持ちました。新潟に来たのは5年ほど前です。

 

——おぉ。聞いてみたいことがたくさん浮かんできました。まずはフランス留学について教えてください。

Kさん:怖くて海外なんて行ったことがなかったんですけど、海外留学の経験を持つ友人がたくさんいて、「ワーキングホリデー制度を使って海外に行ったらどう?」「カフェで働いているんだからフランスでお菓子の勉強でもしたらいいよ」と後押しされたんです。その勢いで渡仏を決めて、フランスで名の知れているケーキショップで働かせてもらいました。

 

——フランスでの暮らしはどうでしたか?

Kさん:働いていたお店がけっこう厳しくて、職場では苦しい思いをしました。でもいいこともありました。留学がきっかけで、自分の性格が変わったんです。以前は周りに気を遣いすぎていたからか、毎日胃が痛くて。困っている人に何かしてあげなくちゃって思うんだけど、それが自分にとってはストレスだったんですね。知らない土地で暮らして強くなれたんだと思います。自分の意思をはっきり伝えられるようになりました。いい意味でも悪い意味でもドライになったのかな。留学は人生のターニングポイントですね。

 

 

——その強さが帰国後の独立につながったのかもしれませんね。

Kさん:きっとそうだと思います。フランスでの経験がなかったら、「いつか自分のお店を持ちたいな」って、だらだらと思い続けていただけだろうな。

 

——Kさんが京都ではじめたお店というのは?

Kさん:自家製酵母のパンと焼き菓子のお店です。フランスで本格的にケーキ作りを学んで、帰国してからも2年ほどケーキ屋さんで働きました。その経験を生かして、実家の一角でお店をはじめたんです。

 

——でもしばらくして新潟に来られたということは、お店は閉めてしまったんですよね。

Kさん:その頃出会ったパートナーが新潟の人なんですよ。自分のお店は1年半くらいでやめることになってしまいました。常連さんが増えてきた頃だったので申し訳なく思いましたけど、「いつかまたお店を持てたらいいな」って気持ちで新潟に移り住んだんです。

 

——新潟の暮らしはどうですか?

Kさん:お野菜もフルーツも充実しているし、お刺身も美味しい。何より水道水が飲めることにびっくりしました。京都では嵐山近くの川沿いで暮らしていて、今は信濃川沿いに住んでいます。そんなところもなんとなく京都暮らしに似ているんですよ。カエルの合唱を聞きながら眠るのも、実家で暮らしていた頃と同じです(笑)

 

温泉施設の2階にある、居心地のいいカフェ。

——「わかば」で働きはじめたきっかけはなんでしょう?

Kさん:新潟に来てからしばらくは、パートナーの実家の仕事を手伝っていました。でも家族以外のつながりも持ちたいし、外で働きたくなっちゃって。たまたま「温泉カフェわかば」の求人を見つけて応募したんです。最初はパート勤務で、店長になったのは2年前です。

 

——店内にはブランド家具が置いてあるし、よくある温泉施設の食事処とはちょっと違う雰囲気ですよね。

Kさん:ご年配のお客さまだけでなく、ファミリー層にも来てもらいたくて。「おしゃれなスペースにしたい」「カフェのようなお店にしたい」というのが運営母体の社長のこだわりで、家具や音響設備も上質なもので揃えています。扉を開けて「わ〜、おしゃれだ」と言ってくださるお客さまもいらっしゃるんですよ。

 

——温泉に入らなくても「わかば」さんを利用できるんですか?

Kさん:「わかば」だけのご利用も大歓迎ですよ。でもほとんどのお客さまが「花の湯館」を利用される方ですね。「わかば」だけでも利用できるって、まだまだ知られていないのかもしれません。

 

——メニューについても教えてください。

Kさん:定食、ラーメン、スイーツ、ドリンクといろいろご用意しています。券売機もありますし、品揃えも食堂みたいですよね。「わかば」は食堂とカフェのハイブリットというか、それぞれのいいとこ取りをしたようなお店なんですよ。

 

 

——地元の食材をたくさん取り入れているそうですね。

Kさん:小須戸に工場がある「マルタスギヨ」さんのお醤油、同じく小須戸の「渡辺商店」さんのお味噌と地元農家さんのお米を使っています。阿賀野市の「まめ工房いとう」さんのお豆腐は、定食にも、人気スイーツ「豆腐フロート」にも欠かせません。コーヒー豆は、旧与板町の「ナカムラコーヒーロースターs」さんのものです。ランチタイムには、ライスを白米かもち麦ご飯かを選んでいただけますよ。

 

——小須戸周辺にもいろいろな食材があるんですね。

Kさん:地元の素材にこだわっているので、「温泉施設の食堂にしてはちょっと値段が高い」というお声になかなか応えられなくて。手作りのものも多いので、どうしても今のような価格帯になってしまうんです。

 

——例えばどんなものが手作りなんですか?

Kさん:タレや肉味噌、「秋のクリームあんみつ」に使うさつまいも餡やかぼちゃ白玉、「かぼちゃケーキ」など、手作りしているものはたくさんあります。その味を楽しみに来てもらえると嬉しいです。

 

——もっと簡単に提供できるもので対応しているのかと思っていました。

Kさん:スタッフもみんな「レトルト品や冷凍食品をポンと出すようなお店にはしたくない」という思いでいます。提供する側はできあい品が楽なんでしょうけど、お客さまがどう思われるだろうと考えると、やっぱりそうはしたくないんです。

 

お客さんのためにも、みんなが楽しく働ける職場づくりを目指し中。

——カフェのベテランであるKさん、「わかば」さんの今後にはどんなお考えがあるんでしょう?

Kさん:定番メニューはなかなかテコ入れができないので、スタッフの思いを反映できる期間限定メニューをどんどん増やしていきたいと思っています。自分が考えたメニューの評判がいいって、すごく嬉しいことじゃないですか。

 

 

——そういう声は、働く皆さんの活力になりますよね。

Kさん:スタッフが楽しく働ける職場がいちばんですよね。少し前までは、「お客さまがいちばん」と思っていましたけど、最近少し考えが変わったんです。同世代の方が次のステップへ進むなどで退職してしまって、今は若いスタッフが増えました。私たちの世代とは経験もコミュニケーションの取り方も違います。今は、20代のメンバーにも「わかば」を好きになってもらえる職場づくりを頑張っているところです。スタッフが楽しめていれば、明るい雰囲気がお客さまにも伝わりますもんね。

 

 

 

温泉カフェわかば

新潟市秋葉区天ヶ沢498-1

tel/0250-38-5800(花の湯館直通)

open/11:00-21:00(お食事L.O.20:00/デザート・ドリンクL.O.20:30)

close/通常:毎月第2水曜、12月31日

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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