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鮮度と素材こだわった「自家焙煎珈琲ちぇりー」のコーヒーとケーキ。

閑静な趣のある南浜通。ここで40年近く続いている喫茶店が、今回ご紹介する「自家焙煎珈琲ちぇりー」です。暖かく居心地のいい店内には、常連のお客さんと優しい笑顔の奥さん、そして見た目はちょっといかついけれど話好きなマスターの姿がありました。そんなマスターからいろいろなお話を聞いてきました。

 

 

自家焙煎珈琲ちぇりー

桑野 真 Makoto Kuwano

1946年新潟市中央区生まれ。家業の食料品店を手伝った後、親戚が経営するスナックで働き、1984年に南浜通で「自家焙煎珈琲ちぇりー」をオープンする。中学生のときから社会人になるまでバスケットボール選手として活躍し、引退後も50年間にわたってコーチを続けてきた。

 

バスケットボールのコーチだった、喫茶店のマスター。

——ずっと前からあるお店ですけど、いつから営業しているんでしょう?

桑野さん:オープンしたのが昭和59年だから、もう40年近くこの場所で営業しています。それまでは親戚のやっているスナックで働いていたんだけど、昼間はバスケットボールのコーチをやっていたから、時間的にキツくてね(笑)。それで妻と一緒に「自家焙煎珈琲ちぇりー」をはじめたんです。私がコーチで学校に行っている間は、妻にお店を任せていました。

 

 

——中学校とか高校のバスケットボール部でコーチをされていたんですか?

桑野さん:小学校のミニバスケットから中学、高校、大学とひと通りコーチをやってきました。72歳で引退するまで50年間続けてきたんです。

 

——超ベテランコーチじゃないですか。コーチ時代はどんなことを心がけて指導されていたんでしょうか。

桑野さん:正直者が馬鹿をみてはいけないので、選手ひとりひとりと公平に接することがいちばん大切ですね。特に女子を教えるときには気をつけました。そうしたことも含めて、選手を教えているつもりなのにこちらが教わっていることも多いんですよ。

 

——なるほど。それにしてもお仕事と両立するのは大変そうですが、50年も続けてきたのはどうしてなんですか?

桑野さん:バスケットボールが好きだったし、子どもたちの成長を見ることにもやり甲斐を感じていたから、やめずに続けてこられたんだと思います。

 

自家製にこだわったコーヒーやケーキ。

——オープン当時からコーヒー豆の自家焙煎にこだわりがあったんでしょうか。

桑野さん:こだわっていたっていうほどでもないけど、お客様に少しでも美味しいコーヒーを飲んでもらおうと思ったら、自家焙煎するしかなかったんですよ。コーヒーって焙煎してから時間が経つほど味が落ちてしまうものなんです。市販の豆だと流通の関係で2週間から1ヶ月経ったものしか使うことができないんですよね。美味しいか美味しくないかは好みもあるし人それぞれで違ってくるけど、せめて鮮度の良いコーヒーを飲んでもらいたいという思いからはじめました。

 

——当時はまだ自家焙煎している喫茶店って少なかったんじゃないですか? 焙煎を覚えるのも大変だったんじゃ……。

桑野さん:ちらほら自家焙煎の店が出てきた頃でしたね。たまたまコーヒー屋に知り合いがいたので焙煎の基本だけ教わって、あとは独学で覚えました。

 

——焙煎ではどんなことにこだわっているんでしょう?

桑野さん:コーヒー豆はしっかり選ぶようにしています。新鮮さはもちろん、粒が揃っているものを使うようにしていますね。うちの焙煎機はメーターがついているようなものじゃないから、長年の経験や勘に頼りながら焙煎しているんです。酸味が少なくて苦みの強いコーヒーにしています。

 

 

——甘いお菓子とよく合いそうですね。

桑野さん:パンナコッタ、チョコレートケーキ、チーズケーキの3種類は常にご用意しています。その他、季節に合わせたケーキを期間限定で作っているんです。今の季節だったら、アップルパイや洋梨のタルト、モンブランですね。

 

——季節ごとに旬のフルーツを使ったケーキを提供されているんですね。

桑野さん:コーヒーと同じように、ケーキもしっかりした材料で手作りするよう心がけているんですよ。人工的な材料を使わないようにしているので手間はかかるんだけど、自分が食べても納得できるものをお客様にお出ししています。

 

——コーヒーだけじゃなくて、ケーキにも力を入れているんですね。

桑野さん:常連のお客様のなかには、30年もの間ずっとクリスマスケーキを注文してくれている方もいるんですよ。

 

——ケーキは奥さんが作られているんですか?

桑野さん:俺が作っているんだけど、あんまり言わないようにしているんですよ。こんないかつい親父が作ったと思われるとイメージが悪いから(笑)

 

コロナ禍を支えてくれた、お客さんとの絆。

——長い間お店を続けられていると大変なこともあったんじゃないですか?

桑野さん:う〜ん……。ここ数年のコロナ禍がいちばん大変だったかな。こればっかりは自分の努力とは関係ないところで起こっているわけだからねぇ……。それまではお昼休みに来てくれていた近所の女性銀行員さんたちがぱったり来なくなってしまったのは、精神的にもきつかったです。そんななかでもコーヒー豆やケーキを買いに来てくれる、常連のお客様やバスケットボールの教え子たちには本当に助けられましたね。

 

 

——人の絆ってありがたいですね。

桑野さん:本当にそうですね。だからお客様を裏切らないように、これからも誠意を持って接していきたいと思っています。うちが付加価値をつけられるとすれば、そういうところくらいだからね(笑)

 

——今日はどうもありがとうございました。最後にマスターの写真を撮らせてください。……あの、もう少し笑顔を作れます?

桑野さん:それができれば、もっとお客様が増えてるんだよなぁ……(笑)

 

 

自家焙煎珈琲ちぇりー

新潟市中央区南浜通1-372

025-229-2718

9:00-18:30

日曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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