五泉ニットの残糸を無駄なく使い、
手芸や衣類補修を広める「ku-mof」
その他
2026.05.05
ニット製品の製造現場では「残糸(ざんし)」と呼ばれる余った毛糸が出るのですが、そのほとんどは使われることがないまま、ストックされたり処分されたりするのだそうです。そんな残糸を使った手芸や衣類補修を広めているのが「ku-mof(クーモフ)」として活動している平山さん。手芸コミュニティ「さくさく倶楽部」終了後にお邪魔して、平山さんから取り組みについてのお話を聞いてきました。
平山 花梨
Karin Hirayama(ku-mof)
1993年新潟市西蒲区生まれ。結婚を機に五泉市へ移住し、育児中に趣味の編み物や裁縫を再開する。「五泉ニットフェス」をきっかけにニット会社で働くことになり、残糸や残布を活用したダーニング教室や手芸コミュニティを開催する「ku-mof」の活動をはじめる。aikoのファンで、最近お気に入りの曲は「メロンソーダ」。「ごせん子育て戦隊ハグレンジャー」のピンクでもある。
「ku-mof」が取り組みをしている
「ピースヤーン」とはいったい何のこと?
――平山さんが取り組んでいる「ku-mof」の活動について教えてください。
平山さん:「ピースヤーン」が、ハンドメイドによって「愛される何か」に生まれ変わるよう、多くの方々に広く知っていただいて、循環していく世の中になったらいいなと思って取り組んでいます。手芸好きな方々が集まって作品づくりを楽しむ「さくさく倶楽部」というコミュニティや、穴が開いたり擦り切れたりした衣類を補修する「ダーニング教室」を開催して、ピースヤーンの素晴らしさを伝えています。
――ピースヤーンというのは、あまり聞き覚えのない言葉ですが……。
平山さん:製品をつくった後に余る、五泉ニットの残糸や残布のことなんです。「残りもの」や「捨てるもの」といったマイナスのイメージにはしたくなかったので、素敵な素材であることを伝えたくてピースヤーンと名付けました。10年後に廃棄がゼロになることを目指しています。
――言葉の意味をもう少し詳しく教えてください。
平山さん:「ピース」には「大きな製品の一部」という意味に、「平和」「ピースサイン」といった意味も重ね合わせています。「ヤーン」には「紡いだ糸」「みんなとつながる糸」という意味があります。そのふたつの単語を組み合わせた造語なんです。
――なるほど。では「ku-mof」のほうは?
平山さん:「ku」は私と子どもの名前を合体させて言葉ですし、「mof」はニットのもふもふしたイメージなんです。糸を扱うことから「クモ」という言葉も隠れています。
――あ、それでマークがクモなんですね(笑)。ダーニングについても教えてください。
平山さん:ダーニングは、イギリスの伝統的な衣類お直し技法なんです。靴下や衣類の穴や擦り切れた部分を、糸と針を使って織るように補強や装飾をするリペア技術なんですよ。世界的なテキスタイルデザイナーの野口光先生のオンライン講座で学んだんですけど、たまたま同じ講座を一緒に受けていたsoramame(ソラマメ)さんと出会って、一緒に活動をはじめました。

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工場見学で訪れたニット工場に入社し
ニット製品で余った残糸と出会う。
――平山さんは、もともと手芸がお好きだったんですか?
平山さん:祖母が編み物、母が裁縫をしていた影響で、私も小学生の頃から手芸を趣味にしていました。学校の手芸クラブに入ったり、夏休みの課題にはビーズを使ったブタの貯金箱をつくったり、マフラーを編んで父にプレゼントしたりしていましたね。
――それでニット会社にお勤めに。
平山さん:でも学校を卒業してからは、新潟市で事務職をやっていたんです。ニット会社に勤めたのは、結婚を機に五泉市へ移り住んでからなんですよ。
――ニット会社で働くことになった、きっかけってあったんですか?
平山さん:子どもが生まれてから育児の合間に子ども服をつくるようになって、編み物や裁縫をする機会が増えたんです。そんなとき、燕市のスーパーで開催されたマルシェに参加して、編み物作品の販売をしてみました。
――ほう、売れ行きはいかがでした?
平山さん:それが全然売れなかったんですよ(笑)。それがあまりにもショックで、編み物をもっとしっかり学びたいと思いはじめて、その年の11月に開催された「五泉ニットフェス」でニット工場を見学させてもらったんです。
――それがきっかけに?
平山さん:ニット製品が製造される様子を見ているうちに、どうしてもそこで働きたくなったので「ここで働かせてください」とお願いしたら、「いいよ」というお返事をいただきました(笑)。それで翌春から働かせてもらえることになったんです。
――『千と千尋の神隠し』のワンシーンを思い出してしまいました(笑)。ニット会社ではどんな仕事を担当しているんですか?
平山さん:今は「縫製」を担当していますが、入社当初は最後に製品を整える「仕上げ」の工程を担当していたんです。そこでストックとして片付けられる残糸や残布と出会って、「もったいないな」と感じたんです。何か使い道があるんじゃないかと考えて、社長から許可をいただけたのでピースヤーンと名付けて販売をはじめたんです。

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手芸好きが集まる「さくさく倶楽部」
衣類補修が学べる「ダーニング教室」
――「さくさく倶楽部」はどのような活動なんですか?
平山さん:月に一度くらいのペースで「LOOP & LOOP(ループアンドループ)」という五泉の交流施設にある「ensui(エンスイ)」という喫茶室をお借りして開催しています。手芸好きな方々が集まっておしゃべりを楽しみながら、思い思いにそれぞれの手芸を楽しんでいるんですよ。ダーニング講習もおこなっています。
――クラブ活動っぽいノリですね。
平山さん:ひとりで作業していてもモチベーションが上がらないので、お互いにアドバイスしあいながら楽しんでいますね。五泉市外から足を運んでくれる方もいて、終わった後も飲食店に立ち寄ってお食事やお茶を楽しんでいます。そういったところでも、五泉市のお役に立てたらいいなと思っています。
――「さくさく倶楽部」のために五泉を訪れている方もいるんですね。ダーニング教室はどのように開催しているんでしょう?
平山さん:こちらも月に一度、五泉市内の「RiNaMu(リナム)」で開催しています。講習日によって内容が変わるので、詳しくはインスタグラムで確認していただきたいと思います。趣味として技術を身につけたいという方や、穴の開いた大切な衣服を直したいという方が受講してくださっているんです。
――今の世の中、買った方が早いと考える人も多いような気がします。
平山さん:確かにそうですが、直して大切に着ることで愛着もわきますし、自分好みのアレンジを施すことなんかもできるんです。手仕事の楽しみを知っていただくことで、五泉ニットのクオリティを知っていただくことに繋つながってくれたら嬉しいですね。


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