異世界に迷い込んだようなお店で出会う
「路地裏 革工房 505」の革製品。

その他

2026.04.14

text by Kazuaki Yamazaki

古町にはたくさんの路地があります。歩いてみると、ときとして思いがけないお店を発見するものです。白山公園前にある細い路地で、「路地裏 革工房 505(ろじうら かわこうぼう ごまるご)」という革製品の専門店を見つけました。一見、路地裏の普通の長屋ですが、営業時にのみ現れる青いドアを開くと、そこには思いがけない空間が広がっていました。

Interview

サイトウ リョウタ

Ryota Saito(路地裏 革工房 505)

1980年新潟市西蒲区生まれ。高校生の頃からレザークラフトをはじめ、オリジナルオーダーメイドブランド「gina leather works(ジーナ・レザー・ワークス)」を立ち上げる。2020年より工房を利用して「路地裏 革工房 505」をオープン。趣味はバイクと釣りだが、最近は仕事が忙しくなかなか楽しむことができない。

革製品に触れたきっかけは
アメリカンバイカーへの憧れ。

――お店に足を踏み入れた途端、異世界へ迷い込んだような気持ちになりますね。革製品にも独特の世界観を感じますが、どういったイメージでつくっているんですか?

サイトウさん:オーダーメイドの場合は別として、こちらに並んでいるのはスチームパンクやアメリカンバイカーのイメージでつくっている製品なんです。特にアメリカンバイカーの世界観は、僕が革製品をつくりはじめたきっかけになっています。

 

――そこのところを詳しく教えてください。

サイトウさん:僕は高校生の頃からバイクに乗っていて、アメリカンバイカーに憧れていたんですよ。ファッションも影響を受けて、バイトで貯めたお金で革製品のファッションアイテムを買っていました。

 

――アメリカンバイカーといえば、革ジャンをはじめとしたレザーアイテムのイメージが強いですよね。

サイトウさん:そうなんです。でもバイクに乗っていると壊れちゃうことが多くて。自分で補修しながら使っていたんですよ。綺麗に直すことができちゃっていたので、これならゼロからつくることもできるかもしれないと思って、18歳くらいからレザークラフトをはじめるようになりました。

 

――ものを大切に使う気持ちからはじまっているんですね。

サイトウさん:高校生には簡単に買い換えることなんてできませんからね。でも、その気持ちは今も持ち続けています。

 

――もしかして、独学で?

サイトウさん:革製品専門店でレザークラフトのスターターキットを購入したら、いろいろと教えていただけるようになったんです。つくったものを見てもらってはアドバイスしてもらっていました。ただ教わったのは基本までで、そこから先は自分の道を探してほしいといわれました。

 

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路地裏にある古民家のドアを開けると、
現れる国籍不明な異世界。

――それにしても、どうしてこんな目立たない路地裏で、隠れるようにお店をオープンしたんでしょうか?

サイトウさん:ここは2000年頃から工房として使っていた古民家なんですよ。だから路面にあるよりも、路地に引っ込んでいる静かな物件で探したんです。それで、外観や骨組み以外は好きなように改装してもいいということだったので、こちらを借りることにしたんです。

 

――そうだったんですね。でもショップとして営業をはじめたのは?

サイトウさん:「こんな路地裏で営業してみたらどうなるのかな」という、ちょっとした実験的好奇心があったんです。コロナ禍の間に閉業した店舗から譲り受けた什器があったので、それを使ってギャラリーも兼ねたショップをオープンしてみました。

 

――独特な雰囲気のお店ですけど、店舗として改装するにあたって意識したことがあったら教えてください。

サイトウさん:国籍不明な異世界にしたかったんですよ。『ハウルの動く城』というアニメ映画で登場するハウルの城のドアみたいに、出入りするたび世界が変わって「あれっ?」って思うような……。

 

――「異世界」の参考にした世界観ってあるんでしょうか?

サイトウさん:入って右側は僕がずっと好きだったアメリカンバイカーの世界観、左側は『ハウルの動く城』をはじめとした宮崎駿監督のアニメ作品でもよく見かける、スチームパンクの世界観をイメージしました。

 

――「スチームパンク」って?

サイトウさん:もともとはSF小説から生まれたもので、ヴィクトリア王朝や産業革命期の蒸気機関が発達した架空の未来をモチーフとしている世界観です。蒸気機関をはじめ、配管、歯車、圧力計がむき出しになったアナログな機械感が好まれて、映画やゲーム、アート、ファッションに取り入れられています。

 

――まさしく『ハウルの動く城』ですね(笑)。『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』でもそんなメカが出てきます。

サイトウさん:アメリカンバイカーはどちらかといえば男性好みのワイルドな世界観なので、女性にも好まれる世界観として、ファンタジー作品によく使われるスチームパンクを思いついたんです。まあ、どっちも僕の好きな世界観なんですけどね(笑)

 

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お客さんの希望するデザインや使い心地を
大切にした製品づくり。

――こちらに並んでいるのは、実際に販売している商品なんですよね。

サイトウさん:もちろんです。ただ、こちらに並んでいる商品をサンプルとして、オーダーメイドの注文をされるお客様が多いですね。

 

――では、製品づくりの上で心掛けていることを教えてください。

サイトウさん:お客様の希望する使用感やデザインを大切にしながら製作しています。例えば革財布をつくるとしたら、どんなシーンでどのように使うのかを考えて、素材選びから札入れ、小銭入れ、カード入れの位置や仕様といったスタイルを考えていきます。

 

――お客さんの好みや使いやすさを重視しているんですね。

サイトウさん:そうですね。あとは長く使っていただけるように、耐久性も重視しています。設計段階から強度が落ちるようなつくりは避けて、裁断や縫製もしっかりとやっています。僕は温かみのあるアナログなつくりが好きなので、極力ミシンは使わずに手縫いしているんですよ。

 

――お気に入りは長く使いたいですもんね。

サイトウさん:お客様にはデザインから一緒につくっていくことを、エンターテイメントとして楽しんでいただきたいんです。そうすることで愛着も生まれますよね。

 

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革製品の魅力を多くの人に届けるため
気軽に遊びに来てもらえる店を目指す。

――今までつくってきた製品で、印象に残っているものってありますか?

サイトウさん:みんな印象に残っているんですよねぇ……。以前使っていた財布が大切な人の形見なので、新しくつくる財布にその財布の革を使ってほしいというオーダーもあれば、愛用のナイフに合わせたケースをつくってほしいというオーダーもあります。そうした「人の思い」を大切にしながら製品づくりをしてきました。

 

――オーダーメイドならではですね。

サイトウさん:オーダーメイドブランド「gina leather works」のロゴは「グリフォン」という伝説上の生き物をモチーフにしています。「この世には存在しないものを創造したい」という思いから、実際には存在しない生き物をモチーフに選びました。「グリフォン」は守護神でもあるので、製品を持つ人を守ってほしいという願いも込めているんです。

 

――いろいろな思いが込められたロゴマークなんですね。それでは最後に、これからやってみたいことはありますか?

サイトウさん:表通りではなく路地裏で営業しているお店で「路地裏同盟」を結成してみたいです(笑)。それぞれのお店を巡る「路地裏スタンプラリー」のイベントをやってみたら楽しそうだなと思っています。

 

――路地裏で隠れ家っぽく営業しているお店って、敷居の高さを感じちゃうかもしれませんね。

サイトウさん:そんなことはまったくないんですよ。何も買わなくても製品を見に来てほしいし、おしゃべりを楽しみに来てくれるだけでも嬉しいんです。大学生なんかも、しょっちゅうおしゃべりに来てくれていますよ(笑)。もっと気軽に覗いていただける店になって、革製品の魅力をより多くの人たちへ届けていきたいですね。

 

路地裏 革工房 505

新潟市中央区一番堀通町505-2

080-9219-0896

info@roji-leather505.work

13:00-19:00

不定休(要予約)

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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