ビャンビャン麺をカジュアルに楽しむ
三条の「BIANG BIANG CALLING」
食べる
2026.06.03
三条市にある「BIANG BIANG CALLING」は、世界でも珍しい、100%プラントベースのビャンビャン麺が楽しめる専門店です。店主の山口さんは、バンドマンとして国内外で活動する中でヴィーガン文化に出会ったのをきっかけに、ヴィーガンに対応した料理を作りはじめました。三条でビャンビャン麺のお店を開くまでのこと、お店で楽しめるビャンビャン麺のことなど、お話を聞いてきました。
山口 博久
Hirohisa Yamaguchi(BIANG BIANG CALLING)
1978年東京都出身。10代からバンド活動を行い海外のヴィーガン文化に触れる。都内のヴィーガンレストランで働きながら知識と経験を積み、歌舞伎町でヴィーガンハンバーガー店の監修や、食品メーカーのヴィーガン向けミールキットの開発などに携わる。その後三条市に移住し、昨年の10月に「BIANG BIANG CALLING」をオープン。最近は5歳の子どもとスケボーを楽しんでいるんだとか。
海外を渡り歩く中で出会った、
ヴィーガンの文化。
――山口さんは東京都のご出身です。まずは、これまでどんなことをされてきたのか教えてください。
山口さん:10代のときからずっとバンド活動をやっていました。ジャンルでいうとハードコアやパンクになりますね。そのバンドが結構活動的なバンドだったので、ツアーで海外のいろんな場所に行く機会が多かったんです。その中で、ヴィーガンのカルチャーに出会いました。当時から海外では、音楽やスケートボードのカルチャーとヴィーガンは結構リンクしていたんですよ。
――へぇ〜、若いときから、ヴィーガンの文化が身近だったんですね。
山口さん:ツアーで海外に出ると、3週間くらい海外のバンドと一緒に生活をするんです。ヴィーガンの人も多かったので、食事をするときは必然的に彼らも食事ができるお店に行くことが多くて。それから、僕もそんなライフスタイルを送りたいと思うようになったんです。ただ、日本でヴィーガンの暮らしをするには、いろんな難しさがあって……。
――具体的には、どんな難しさが?
山口さん:ヴィーガン対応のお店が少ないことと、ヴィーガンへの理解が当時はあまりなかったということ、食材が手に入りにくいことですね。野菜を食べるだけなら問題はないんですけど、毎日飽きずに満足度のある食事をしようと思うと、野菜以外の食材も必要になって。日本でヴィーガンの暮らしをするのは、ちょっと厳しいかもって思ったんです。
――ヴィーガンへの浸透度が、日本と海外では大きく違うのが影響しているのかもしれませんね。
山口さん:そうですね。それからヴィーガンのことを勉強して、ヴィーガン対応のレストランで働くことになったんです。働いていくうちに、自分でもヴィーガンの食事を考えて提供していきたいって本格的に思うようになりました。そんなときにレストランのオーナーが、僕にヴィーガンのハンバーガー屋さんの監修を任せてくれる機会をくれたんです。
――おぉ、お店を監修してみて、いかがでした?
山口さん:お店をオープンした2015年あたりは、ちょうどインバウンド需要も増えてきていたタイミングだったので、ありがたいことに忙しくさせてもらっていました。その後は、レストランの仲間とベンチャーを立ち上げて、ヴィーガン対応の商品やお店のメニューの開発をしていました。そこでは航空会社のヴィーガンミールや、食品会社のヴィーガン対応のミートボールとか、「ヘルシオ」というスチームレンジを使ったヴィーガンミールのレシピを作ったこともありました。

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ファストフードみたいに、
ビャンビャン麺が食べられるお店を。
――日本のヴィーガン界の最前線を走っていた山口さんが、どうして三条に移住することに?
山口さん:東京にいたときは、クライアントありきでヴィーガンにまつわる困りごとを解決していました。それも楽しかったんですけど、やっぱりお店をやってみたいっていう思いがあったんです。以前から地方移住もしたいと思っていたので、ヴィーガン需要のありそうな観光地を探していました。でも、縁もゆかりもない土地で、移住してさらにお店をはじめるのはハードルが高いなと思っていたんです。
――ということは、三条には縁があったんですね。
山口さん:奥さんの地元だったんですよ。それもありましたし、三条市の地域おこし協力隊のプログラムの中に、1年間お店を作るための準備ができるものがあって。三条はヴィーガンの需要はほぼなかったんですけど、美味しい料理を提供できればきっと来てもらえるんじゃないかと思ったんです。
――どうして三条でビャンビャン麺のお店をしようと思ったのでしょう。
山口さん:三条でどんなお店をしようか考えたときに、ここは麺文化が根付いているから、麺を使ったお店にしたかったんです。実は、ずっと前からビャンビャン麺でお店を作りたいと思っていたんです。ラーメンでやっても、ヴィーガンじゃない人にはウケないかなと思って、ずっとやってみたかったビャンビャン麺のお店を作ることにしました。
――そもそも、ビャンビャン麺ってどんなものなんですか?
山口さん:中国発祥の手打ちで作る、幅の広い麺のことですね。手で打って麺を伸ばすとき「ビャンビャン」って音が出るからこの名前になったそうですよ。古典的なものは、刻んだニンニクと生姜、ネギ、唐辛子に熱した油をかけて醤油を黒酢で食べるんです。でも、ニューヨークではストリートフードとしてビャンビャン麺が流行っていて。
――ビャンビャン麺がストリートフード! 想像ができないです……。
山口さん:ニューヨークではカジュアルな感じで食べられているんですよ。もちろんヴィーガン対応のビャンビャン麺もあります。ニューヨークにあるお店みたいなものを僕も三条に作りたいって思って、お店の注文カウンターやメニューをデザインしました。
――確かに、ポップなカウンターはファストフード店みたいです。
山口さん:まさに、このお店はファストフード感が出るようにデザインしました。僕はビャンビャン麺をただの料理としてではなく、コンテンツとして捉えているんです。ビャンビャン麺を通して、僕の世界観を表現して、その世界観ごとお客さんに好きになってもらえたらいいなって。だから、お店のグッズもいろいろ販売しているんですよ。


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一度食べたら、止まらない。
やみつきになる、ビャンビャン麺。
――山口さんの作るビャンビャン麺について教えてください。どんなこだわりがあるのでしょう。
山口さん:100%プラントベースのビャンビャン麺をご用意しています。麺の小麦には県産の小麦を使用していて、ビャンビャン麺特有のもちもち食感を楽しんでもらえると思いますよ。味は、いちばんスタンダードなクミンソースを使ったものと、豆乳を使った担々風のもの、トマトベースの辛みのないものの3種類から選べます。
――その中でも、山口さんのおすすめは?
山口さん:スタンダードなものですね。黒酢と醤油をベースに自家製ラー油と花椒の効いた「シビ辛」な感じがたまらない一品になっています。麺の上には三条で採れた季節の野菜を乗せています。よかったらぜひ食べてみてください。
――ありがとうございます! 麺がもちもちで、ピリッとシビれる花椒がやみつきになります。これが全部プラントベースだなんて、信じられないです。
山口さん:そういってもらえて嬉しいです。ヴィーガンミールのいちばん難しいところは、ヴィーガンの人も、そうじゃない人も美味しいって思ってもらえるものを作ることなので。ヴィーガンではない方にも満足して食べていただけるように、パンチのある味付けを意識しています。ヴィーガンじゃない方からも「美味しい」って言っていただけていて、中には何度もリピートしてくださる方もいらっしゃいます。
――ヴィーガン関係なく、美味しいと思っている方がたくさんいらっしゃるんですね。
山口さん:それが僕にとっては理想のかたちなんです。カロリーが低くて健康的だから、というわけではなく、シンプルに美味しいから、うちのビャンビャン麺を食べるっていう流れになれば、いちばんベターかなって。僕自身、あんまり押し付けたいわけじゃないので、「美味しそう」って思って食べてもらった後、「これ、お肉を使っていなかったんだ」って知ってもらえるくらいがちょうどいいかな、と。


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ヴィーガンの人の食が豊かになるように。
山口さんが考える、食のこれから。
――「BIANG BIANG CALLING」のビャンビャン麺は、ヴィーガンのことを知るきっかけにもなりそうです。
山口さん:そうなってくれたら本当に嬉しいですね。僕自身はヴィーガンではないのですが、ヴィーガンの人たちの食事が豊かになるようなサポートをこの場所でしていきたいんです。新潟に来る海外の方は確実に増えていると思うんですが、食事の多様性という意味では、受け皿がまだまだ少ないんです。
――と言いますと?
山口さん:ヴィーガンの人たちは、旅行に行く前、ヴィーガン対応しているお店があるかを調べてから旅行先を決めるんです。調べている段階でヴィーガン対応のお店がないと、旅行先の選択肢から外されてしまうこともあって。本当は、もっと新潟に来てもらえる可能性があるのに、それを取りこぼしているんじゃないかって思っているんです。
――確かに、新潟県内でヴィーガンにも対応した食事を提供している場所は少ないかもしれません。
山口さん:実際に飲食店でヴィーガン対応の食事を出そうとしたとき、どんな食材を、どう調理したら良いか分からないってお店さんが多いんです。そういったお店さんの課題を解決できるように、ヴィーガンに対応した業務用の食材を飲食店に卸していきたいと考えています。ヴィーガン対応をしたいけど、忙しくてなかなか手がつけられない飲食店さんのお手伝いができればなって。
――素敵です。最後に、「BIANG BIANG CALLING」のこれからの目標を教えてください。
山口さん:地域の方に気軽に来てもらえるようなお店になる、というのは大前提として、県外や海外の方が、ここを目的地として三条に来てもらえるようにしていきたいな、と思っています。三条の人が、「地元にはこんなお店がある」って県外の人に自慢できるようなお店になれるよう、頑張りたいと思います。

BIANG BIANG CALLING
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