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気軽に入れる町のおそば屋さん「そば処 山よし」。

子どもからお年寄りまで、誰からも親しまれている「おそば」ですが、ときどき、おそば屋さんに入ろうとして敷居の高さを感じることはありませんか? 「もっと気軽におそばを楽しんでほしい」。そんな思いで営業しているのが、新潟市西区にある「そば処 山よし」です。今回は店主の古俣さんから、「町のおそば屋さん」としてのお話をいろいろ聞いてきました。

 

 

そば処 山よし

古俣 稔 Minoru Komata

1977年新潟市西区生まれ。高校時代に焼鳥店でアルバイトしたことをきっかけに、飲食業に興味を持つ。新潟市の老舗そば店で20年間修業した後、2012年に「そば処 山よし」を開業。今年で10周年を迎える。3年前にはじめたゴルフを楽しんでいる。

 

気温や湿度だけではなく、場所にも影響される麺生地。

——古俣さんはいつ頃から料理に興味を持っていたんですか?

古俣さん:父親がよく家で料理を作っていたんですよ。その影響で僕も料理をするようになって、玉子焼きやラーメンを作ったりするようになりました。本格的に飲食業に興味を持ったのは、高校生のときに焼鳥屋でアルバイトしてからですね。自分の作った料理を、お客様が喜んで食べてくれるのが嬉しかったんです。

 

——それで料理の道に進んだんですね。

古俣さん:はい。新潟市にある老舗そば屋で修業をはじめました。

 

 

——数ある料理のなかで、そばを選んだのはどうしてなんですか?

古俣さん:正直言って、最初は特にこだわりがなかったんです。なんでもいいので料理の仕事をやりたかったんですよ。そのときたまたま求人していたのが、修業したそば屋だったんです。でも、そばの仕事にすっかりハマってしまって、その店で20年間働きました。

 

——そば屋での修業はいかがでしたか?

古俣さん:初めて製麺を教わったときは、あまりの難しさに「自分にこんな仕事ができるのかな」って不安になりました。気温とか湿度とか、その日の状況で麺の出来が変わってくるわけですからね。特に生地の水分量調整が難しくて、多過ぎるとくっつくし少ないと切れてしまうんです。こればかりは勘が必要になるので、経験を積んで身体で覚えるしかなかったですね。自然とできるようになるまで3年くらいかかりました。

 

 

——長い年月をかけて覚えたわけですね。その後はすぐ独立したんですか?

古俣さん:そば屋の修業を20年続けるうちに、自分のお店をはじめてみたいと思うようになりました。居酒屋も考えたんですが、開業予定地の西区って居酒屋は多くてもそば屋が少なかったので、だったらそば屋をやってみようと思って2012年に開業したんです。

 

——開業してみて大変だったことはありました?

古俣さん:場所が変わっただけで、今までと同じように製麺しても麺の出来が変わってしまったんです。失敗や作り直しも多くて、数か月間は不安定な状態が続きましたね。以前は大堀幹線沿いで営業していたんですが、駐車場が少なかったのも悩みの種でした。

 

——以前は違う場所で営業していて、こちらへは移転してきたんですね。

古俣さん:そうなんです。この物件も以前はそば屋だったので、そっくりそのまま使うことができてありがたかったですね。お品書きの木札もほとんどそのまま使えましたから(笑)

 

気軽に入れて、ゆっくりと過ごせるそば屋さん。

——お客さんにはどんな人が多いですか?

古俣さん:若者からお年寄りまでいろんな人が来てくれますよ。おそばって、アレルギー体質の方を除けば、嫌いな人ってほとんどいないんじゃないでしょうか。場所柄もあって常連客の6割以上はお年寄りなので、しばらく顔を見ないと心配になっちゃいますね。

 

——やはりお年寄りのお客さんは多いんですね。いつもどんなことを心がけて営業しているんでしょうか。

古俣さん:そば屋って値段が高くて敷居の高いイメージがあったりするんですけど、誰もが気軽に入れる「町のおそば屋さん」を目指してきました。だから、できるだけ値段を抑える努力をしてきましたね。

 

——例えば、どんな努力をしているんですか?

古俣さん:小麦が7割、そばが3割の「七三そば」にすることで、低価格なおそばを提供しています。その代わり皮ごと挽いた「挽きぐるみ」を使うことで、そばの香りを強くする工夫をしているんです。あと海鮮丼に使っている魚介も、知り合いの漁師さんから仕入れています。

 

 

——いろいろな工夫をされているんですね。価格を抑える工夫の他、こだわっていることってあるんでしょうか。

古俣さん:そばつゆに使うかえしは、10日間寝かせてから使うようにしています。そうすることで醤油の角が取れて深みが増すんですよ。だしもかえしに負けないよう、ずっと昆布を入れっぱなしで火にかけ、あえて雑味も加えるようにしているんです。そのそばつゆを使って作る玉子焼きは人気があります。

 

——おそば屋さんの玉子焼きって、美味しそうですもんね。他にも人気メニューはありますか?

古俣さん:季節限定メニューは人気がありますね。なかでも9月の中旬以降にはじまる「きのこせいろ」は、炙った鶏肉ときのこの香りの相性が良くて一番人気です。冬に提供している「牡蠣の天ぷらそば」も人気メニューですね。

 

——年中食べられないメニューなだけに、人気が集中するのかも知れないですね。他にもおそば屋さんでは珍しい、コース料理も楽しめるんですよね。

古俣さん:おそばをメインに天ぷらや玉子焼きをお楽しみいただける、そば屋ならではのコース料理になっています。せっかくお座敷もあるわけだし、お客様にゆっくり過ごしてもらいたいと思ったんですよ。ただ新型コロナの影響で、宴会の利用はすっかり減ってしまいましたね。

 

 

——どこのお店もお酒の席が減って苦戦していますよね。これからは、どんなふうに営業していこうと思っていますか?

古俣さん:夜の宴会が減った分は、ランチ営業でカバーしていこうと思っています。開業10周年を記念して、11月からラーメンの提供をはじめようと考えているんですよ。ぜひ「そば屋のラーメン」を楽しみにしていただきたいです。

 

 

 

そば処 山よし

新潟市西区寺尾上1-6-26

025-269-5880

11:00-15:00/17:00-21:00

月曜休

 

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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