黄金色なのに、スタウト。
コーヒー豆を使った「MORE GRIND」

カルチャー

2026.05.30

text by Ayaka Honma

先日、アオーレ長岡で開催されたイベント『NIIGATA COFFEE FESTIVAL』。県内外のコーヒーやフードが出店する中に、クラフトビールを販売しているブースを発見しました。長岡市出身の中澤さんが手がけるアパレルブランド「ONE MORE BEER」が手掛けたそのビールの名前は、「MORE GRIND」。いったいどんなクラフトビールなのでしょう。開発・製造に関わった大西さんと宮本さん、発起人のNakaChanさんにお話を聞いてきました。

Interview

NakaChan

(ONE MORE BEER)

画像左/長岡市出身。2020年に自身のアパレルブランド「ONE MORE BEER」を立ち上げる。今回の「MORE GRIND」を作るきっかけとなった人。

宮本 正裕

Masahiro Miyamoto(GANGI BREWING)

画像中央/京都府出身。2023年に上越市に「GANGI BREWING」を立ち上げる。「MORE GRIND」の開発・製造を担当した。

大西 隼人

Hayato Onishi(GRANDLINE BREWING)

画像右/東京都出身。2023年に「GRANDLINE BREWING」を立ち上げ、「MORE GRIND」の企画協力・PRを担当。様々なカルチャーと融合したクラフトビールを作っている。

コーヒー×クラフトビール、
「MORE GRIND」ができるまで。

――今日はよろしくお願いします! まずはNakaChanさんの「ONE MORE BEER」について教えてください。

NakaChanさん:「ONE MORE BEER」は2020年からはじめたアパレルブランドで、「ビールを飲むことはかっこいいんだよ」っていうのをメインコンセプトにしています。実は僕、もともとビールが飲めなかったんですよ。でもクラフトビールが大好きな先輩が身近にいて、「一晩でお前をビールが飲める身体にしてやる」って、いろんなビアバーに連れて行ってもらったんです(笑)。そこから、ビールを飲めるようになって、クラフトビールにもハマっていったんです。

 

――本当に、ビールが飲める身体になれたんですね(笑)

NakaChanさん:そうなんです(笑)。当時、日本のクラフトビール業界って、ちょっとオタク文化っぽいカルチャーだったんですよ。でも、アメリカの方に目を向けてみたら、タトゥーとか、スケートボードとかとリンクするようなストリートっぽいカルチャーだなって感じて。それではじめたのがこのブランドです。

 

――そして「GRANDLINE BREWING」ですが、大西さん、こちらはどんなブリュワリーなんでしょう。

大西さん:「GRANDLINE BREWING」は2023年に立ち上げたブリュワリーです。全国にたくさんのブリュワリーがある中で、うちはまだ新参者になるのかな。“BEER OF WONDER”をコンセプトに、エンターテイメントとかけ合わせたビールを作っています。これまで、音楽やサウナ、ダーツみたいなカルチャーとコラボしてビールを作ったりしました。「ONE MORE BEER」さんとはブリュワリーの立ち上げ当初からコラボさせてもらっていたんです。

 

――今回、「MORE GRIND」が作られることになったのには、どんな経緯が?

NakaChanさん:中学時代の恩師が『NIIGATA COFFEE FESTIVAL』の運営をされていて、出店してみないかって声をかけてもらったんです。最初はアパレルだけで出店しようと考えていたんですけど、「ビールとか出せないの?」ってパスをもらって。恩師からのひとことだったので、「出せます」って言っちゃって(笑)。かなりタイトなスケジュールだったんですけど、プロフェッショナルな方々が力になってくださって、「MORE GRIND」を作ることができました。

 

大西さん:以前から、「GRANDLINE BREWING」の衣装とかをNakaChanさんにやってもらっていて、今回、「ビールを一緒に作りませんか」ってお声がけいただいたんです。ふたつ返事でOKしたものの、うちは横須賀にあるので、せっかくだったら、新潟の地場のブリュワリーさんとも組んだほうがいいんじゃないかと思って、それで「GANGI BREWING」さんにお声がけをしました。

 

――その3社がタッグを組んで作られたのが、「MORE GRIND」というクラフトビールなんですね。

NakaChanさん:コーヒー豆を挽くときに使うグラインダーと、その言葉自体の「粉砕」っていう意味をもたせた名前にしました。今の業界を紛失して、変えていきたい、っていう思いを込めています。このラベルについては、コーヒー豆を袋に入れて浸す製造工程に、プロレスとかで出てくるようなチェーンが使われていたんです。それがカッコよくて、鎖から、3社から感じる牙、有刺鉄線! みたいな連想ゲームをしてデザインに落とし込みました(笑)

 

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黄金色なのに、スタウト。
いい意味で、予想を裏切りたかった。

――さて「MORE GRIND」はいったい、どんなビールなのでしょう。

NakaChanさん:『NIIGATA COFFEE FESTIVAL』に出すビールなので、コーヒーにまつわるものを作りたくて。黒ビールとも呼ばれるスタウトがいいのかなって考えたんですけど、スタウトは香りも味も強くて、1本飲んだら飲み疲れすることも多いんです。今回は、野外のイベントになるから何杯も飲めるビールにしたくて。「飲み口が軽くて、サクサク飲めるけど、コーヒーの香りが最後にふわっと抜けてくるビール、作れないかな?」っていう僕の考えを、みなさんがカタチにしてくれました。

 

――NakaChanさんのリクエストから生まれたビールなんですね。

NakaChanさん:そうそう、僕のわがままを投げてみたら、たくさんの大人が集まって、一緒にやってくれたんです。今回使ったコーヒー豆は長岡の「Scene」さんのものを使っています。これも、このイベントの主催者である「GOODLUCK COFFEE」の青柳さんが紹介してくださったんです。

 

――宮本さん、開発する中で苦労したところは、具体的にどんなところでしょう。

宮本さん:醸造責任者の綿貫は、「『ゴールドという見た目は残したまま、スタウト感を出すには?』をレシピに落とし込むのに苦労しました。コーヒー豆やカカオハスクを使用することに辿り着いたのですが、設備上の都合や経験も含めて、使用する量やタイミングに気をつけました。」と言っていましたね。

 

大西さん:ゴールデンスタウトというビアスタイルの「MORE GRIND」は、実現する難易度が高かったと思うんです。「GANGI BREWING」さんはバランスの取り方がすごく上手だなってあらためて思いました。

 

――「黄金色なのにスタウト」というキャッチコピーがとても印象的でした。

NakaChanさん:「ビールといえばこれ」みたいな黄金色にすることは「MORE GRIND」で一番やりたかったことだったし、狙っていたところでもありました。『NIIGATA COFFEE FESTIVAL』はコーヒーが好きな人たちが集まるイベントじゃないですか。そこで、黒いビールを出すって結構ベタだと思うんです。だから、その予想をいい意味で裏切りたいな、みんなをびっくりさせたいなって。

 

――あえて、黄金色のビールを出したわけですね。

NakaChanさん:普通のビールの感覚で飲んでいたら、最後にコーヒーの香りがふわっと来る、みたいな。見た目も味も、実現できるかわからなかったけど、作りたいイメージははっきり持っていましたね。それをプロフェッショナルの方々が、丁寧にヒアリングしてくれて、思った通りのビールが出来上がったんです。

 

大西さん:クラフトビールは飲む人によっても感じ方は変わってきます。「軽やかさ」っていっても、感じ方には大きな差が出るわけで。でも、今回は発起人であるNakaChanが「こんなビール」っていう具体的なイメージをたくさん出してくれたから、ちゃんと落とし込めたんだと思います。

 

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「MORE GRIND」が作り出す、
新しいクラフトビールのかたち。

 

――お披露目の場での皆さんの反応はいかがでしょう。

NakaChan:狙い通り、色に驚いてくださっていて嬉しいですね。「これが本当にスタウトなんですか」って言ってくださる方もいて。この色から興味を持ってもらえて嬉しいです。

 

大西さん:皆さんの反応をもっと見たくなります。ゴールデンスタウトってあまり前例のないビールなんですよ。ひと口飲んでみたとき、どう感じてもらえるか、直接聞けるのが面白いですね。

 

――これから「MORE GRIND」はどんな存在になってほしいですか?

大西さん:このビールから新たな楽しみを作っていけたらいいなと思っています。今、いろんなブリュワリーさんが日々新しいクラフトビールを考えています。その中で、コラボからしか生まれない発想があるんだと、今回あらためて気づきました。そういう発想が新しい味につながって、より多くの人にクラフトビールを好きになってもらうきっかけになれば嬉しいなと思っています。

 

NakaChan:今回作った「MORE GRIND」は、コーヒーとビール、それぞれで今までとは違うアプローチができたんじゃないかと思っていて。コーヒーを好きな人と、クラフトビールが好きな人ってすごくリンクする部分が多いんです。同じ原料を使っているのに、淹れる人や作る人によって味や香りが全然違うところとか。「MORE GRIND」がコーヒー好きな人たちのどこかに引っかかって、次につながっていくものになってくれたら嬉しいですね。

 

――最後に、「MORE GRIND」に合わせたオススメのおつまみ、教えてください!

大西さん:スタウトはスイーツとの相性が良かったりするのですが、今回はゴールデンスタウトなので、ナッツと合わせたいですね、私自身、ナッツがすごく好きなので(笑)。スモーキーナッツや、キャラメルナッツとぜひ一緒に楽しんでほしいかなと思います。

 

NakaChan:僕は……空気ですかね(笑)。それくらい、軽く飲んでもらえるようなビールに仕上がっているので。晴れた土曜日のお昼どき、ベランダに出てグビグビっと飲んでもらえたら、最高なんじゃないでしょうか。

 

取材時はまさに、晴れた土曜日の午後。NakaChanさんおすすめのシチュエーションで飲む「MORE GRIND」は最高でした!

ONE MORE BEER

 

GRANDLINE BREWING

 

GANGI BREWING

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