当たり前のことにも手を抜かない。
五泉の理容室「Hitoiki EST.1955」
その他
2026.07.11
代々続いている理容室っていうのはちょっと珍しい気がします。五泉市の「HAIRCUTS & SHAVES Hitoiki EST.1955」は、店名にもあるように1955年創業の歴史ある理容室。ゆったりした店内で三代目店主の五十嵐さんからお話を聞いてきました。
五十嵐 祐哉
Yuya Ikarashi(HAIRCUTS & SHAVES Hitoiki EST.1955)
1987年五泉市生まれ。新潟理美容専門学校を卒業後、東京・銀座の老舗理容店で腕を磨き新店舗のマネージャーを務める。2023年に五泉市へ戻り、家業の理容室をリニューアルした「HAIRCUTS & SHAVES Hitoiki EST.1955」をオープン。趣味は温泉巡りで、昨年ゴルフデビューをした。
1955年から三代にわたって続く、
老舗理容室の歴史。
――店名を見ると、創業が1955年なんですね。
五十嵐さん:祖父は材木商をやっていたんですけど、理容室を営んでいた祖母との結婚を機に理容師へ転向したようです。
――それじゃあ当時は「五十嵐理容室」とか「五十嵐床屋」とか、そんな感じの店名だったんでしょうね。
五十嵐さん:それが「伊香蘭師」と書いて「いからし」と読む、いかつい店名だったんです(笑)。僕が新潟に帰ってきたタイミングで、店舗と一緒に店名もリニューアルしました。
――想像を超えた店名でした(笑)。「HAIRCUTS & SHAVES Hitoiki EST.1955」という新しい店名には、どのような思いが込められているんでしょう?
五十嵐さん:あんまり気取った店名よりも、幅広い年代に親しまれるような店名にしたかったんです。ひと息ついてリラックスしていただける場所にしたかったので。
――それは店内のデザインにも反映されているんですか?
五十嵐さん:男性のためのリラクゼーションサロンにしたくて、ちょっと高級感のあるリラックス空間を意識しました。壁にレンガを貼ったり観葉植物を置いたりして自然を取り入れ、照明も落ち着いた明るさに調節しています。
――壁に飾られたケースに入っているのは、ハサミやシェーバーですよね。
五十嵐さん:祖父の使っていたものが残っていたので、三代にわたって地元で親しまれてきた誇りを忘れないように飾りました。店名に入れた「EST.1955」も、そんな理由からなんです。

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病院訪問理容やドイツ研修を経験し、
高級理容室のマネージャーへ。
――五十嵐さんは、子どものときから家業の理容室を継ぐつもりだったんですか?
五十嵐さん:「将来は床屋を継ぐんだろうな」とぼんやり思っていましたね。だから当たり前のように理美容学校へ入学したんです。卒業後は東京・銀座にある老舗の理容店で修業しました。同級生に誘われるまま求人内容もよく確認しないで、ただ社員旅行で海外へ行けるということだけで応募したんです(笑)。理由はともあれ、上京してよかったとは思っています。人の多いところで修業した方が、たくさん経験を積むことができますからね。
――当時のことで、印象に残っていることがあったら教えてください。
五十嵐さん:銀座の店だけではなく、山口県やドイツのハンブルグでも研修をさせてもらったんです。山口県の研修先では病院での訪問理容を経験しました。車椅子や寝たきりの患者さんの散髪をするんですけど、どんなに重い障害を持っている方でも、散髪してスッキリすると笑顔で喜んでくれるのが印象的でした。
――それはいい経験をされましたね。ドイツでの研修はいかがでした?
五十嵐さん:日本人客が多かったんですけど、ときどき言葉の通じないドイツ人もいらっしゃるんです。そんなときは片言のドイツ語でジャスチャーまじりに話すんですが、真剣に伝えようとすれば伝わるもんなんですよ(笑)
――それもなかなかできない経験ですね。
五十嵐さん:最後は銀座にオープンした高級理容室のマネージャーを務めさせてもらったんです。高額な料金設定に見合うワンランク上のサービスが提供できるよう心掛けました。そのサービスは「HAIRCUTS & SHAVES Hitoiki EST.1955」でも生かされています。
――五泉に戻ってきたのは、その後でしょうか?
五十嵐さん:そうですね。東京で10年修業したら戻ってくるつもりだったんですけど、8年目で銀座の新店を任せていただくことになり、軌道にのるまで辞めるわけにはいかなくなってしまったんです。その後もなかなかタイミングが合わなくて、結局五泉へ戻ってくるのが7〜8年延びてしまいました。

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創業100周年まで店を続けるため、
胸に刻んでいるふたつの言葉。
――「HAIRCUTS & SHAVES Hitoiki EST.1955」では、どんなことを大切にしているんでしょうか?
五十嵐さん:胸に刻んでいる言葉に「微差大差」と「凡事徹底」があります。「わずかな差でも積み重なれば、やがて大きな差になる」「当たり前のことでも、手を抜かず徹底しておこなう」という意味です。お客様にクロスを掛けることひとつにしても、気を抜かずきちんと丁寧に掛けるようにしています。手を抜いて雑におこなえば、それは必ずお客様に伝わると思うんです。カットはもちろんですけど、シャンプーや顔そり、マッサージの際にも、手の動きや指の当たり方に気を使っています。
――五十嵐さんが目標にしていることがあったら教えてください。
五十嵐さん:東京で働いていた頃はネットの評価を重視していたんですが、五泉に戻ってきてから感じたのは人と人との強いつながりだったので、今はクチコミを重視しているんです。そのためにも、お客様に感動を与えられるような仕事をして、地元の方々からステイタスを感じていただけるようなお店でありたいと思っています。そして創業100周年まで続けることが目標です。

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