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60種類ものメダカを飼育販売している専門店「紫竹めだか」。

日本では金魚とともに観賞魚として親しまれてきたのが「メダカ」です。自然のなかでメダカを見かける機会はほとんどなくなってしまいましたが、愛好家の間では交配で生まれる「改良メダカ」が人気を呼んでいます。新潟市の東区にある「紫竹(しちく)めだか」という専門店では、夏期の週末限定で60種類ものメダカを販売しているんです。店主の渡辺さんを訪ねて、メダカについてのお話をいろいろ聞いてきました。

 

 

紫竹めだか

渡辺 敦史 Atsushi Watanabe

1995年新潟市東区生まれ。神奈川大学経営学部卒業。食品スーパーで働いた後に実家の農業を継ぎ、2021年より「紫竹めだか」をはじめる。趣味はサッカー観戦でアルビレックス新潟はもちろん、リヴァプールFCも応援している。

 

メダカの魅力にハマって専門店をオープン。

——「紫竹めだか」は週末だけの営業みたいですけど、普段は他のお仕事をされているんでしょうか?

渡辺さん:代々続いてきた実家の農業を継いで、お米や野菜を作るかたわらにメダカの飼育をしています。

 

——メダカの飼育はいつ頃からはじめたんですか?

渡辺さん:5年前に心の癒しを求めて、ホームセンターで安い黒メダカを10匹買ってきたのがきっかけなんです。小学生のときにクラスで飼育していた思い出もあったので、簡単に飼えるもんだと思っていたら、次々と死んでしまったんですよ。それでメダカについていろいろ調べているうちに「改良メダカ」のことを知って、その美しさにハマっていったんです。

 

 

——「改良メダカ」って何ですか?

渡辺さん:交配を重ねて美しい見た目に改良したメダカのことです。改良が進んで、現在では数百種の「改良メダカ」がいるといわれています。

 

——へぇ〜、そんなに種類があるんですね。なかでも人気の品種ってあるんですか?

渡辺さん:まだ世のなかに出回っていない、レアな品種は人気がありますね。ネットオークションで2匹10万円の価格がつくこともあります。でもメダカの繁殖力ってすさまじいので、流行の移り変わりも激しいんですよ。1カ月単位で新しい品種が登場して、古い品種は値段がどんどん下がっていっちゃうんです。

 

——渡辺さんもネットオークションでメダカを購入していたんですか?

渡辺さん:インターネットで購入することが多かったですね。実物を見て買えればいいんでしょうけど、残念ながら身近にメダカを売っている場所がなかったんです。そこで2年前から「紫竹めだか」をはじめて、自分でメダカの飼育販売をやってみました。

 

メダカの飼育販売をする上でのいろいろな苦労。

——商品のメダカを屋外で飼育していても大丈夫なんですか?

渡辺さん:できるだけ自然に近い状態で飼育するのがいいんですよ。水を張れる容器さえあればメダカを飼うことができます。室内だとエアレーションが必要なんですけど、屋外だったら風が吹くたびに水面が揺れて、自然に空気が送られるので必要ないんです。

 

——でも、猫とか鳥とかに襲われませんか?

渡辺さん:猫は襲いませんね。カワセミのような魚を採って食べる鳥に目をつけられると、何度も襲いにくるようになるんですけど、今のところはそれもありません。これだけの水槽を使っているので、屋内には置き場がないんですよ(笑)

 

——どのくらいの数、メダカを飼育しているんですか?

渡辺さん:60種類はいるんじゃないでしょうか。数はもうわかりません(笑)。5,000匹以上はいると思いますよ。

 

 

——そんなにいるんですね(笑)

渡辺さん:5月の半ばから8月の終わりまでがメダカの繁殖期なんです。毎日30〜50個の卵をつけるから、ひとシーズンに1,000個は生むんですよね。

 

——こんなに飼育しているとメダカの管理も大変だと思うんですけど、気をつけていることってあるんでしょうか?

渡辺さん:ひとつの水槽に入れるメダカの数には気をつけています。たくさん入れ過ぎないで、ゆったりと飼うように心掛けているんです。あまりたくさん入れてしまうと水の汚れが早くて大きなストレスがかかったり、弱い個体がいじめられたりしちゃうんですよ。

 

——だから水槽の数が増えるんですね。他にも気をつけていることってありますか?

渡辺さん:メダカは環境の大きな変化に弱い生き物なので、少しずつ温度を変えるようにしたり、水槽の水を半分ずつ変えるようにしたりして、ゆるやかに変化させるように心掛けています。

 

店主が教える飼育ポイントとオススメのメダカ。

——「紫竹めだか」さんは予約を入れないで、ふらっと訪れても大丈夫なんでしょうか?

渡辺さん:営業日であれば全然大丈夫です。ただイベント出店している場合もありますので、ブログやInstagramで営業日をご確認いただけるとありがたいですね。

 

——イベントにも出店しているんですね。どんな場所で行われるイベントに出店しているんですか?

渡辺さん:コロナ禍が落ち着いたこともあって、今年はイベントが多かったんですよ。「新津フラワーランド」の他、いろいろな道の駅で販売させていただいています。店舗、イベント出店ともに、コロナ禍前は40〜50代の男性客が多かったんですけど、最近は巣ごもり需要の影響で若い人や女性客が増えて、メダカ愛好家の裾野が広がっているように感じます。

 

——以前よりもいろいろな人がメダカの飼育を楽しむようになったんですね。そんな方々にオススメしたいメダカを教えてください。

渡辺さん:生命力が強くて初心者にも飼いやすいのは、鮮やかな朱赤色が人気の「楊貴妃(ようきひ)」、黒い体色がかっこいい「オロチ」、青みがかった爽やかなツヤが魅力の「幹之(みゆき)」ですね。個人的にオススメなのは「五式(ごしき)」です。体が黒くて頭がオレンジのメダカで、渋くてかっこいいんですよ。

 

 

——メダカってみんな銀色なのかと思っていたけど、熱帯魚みたいにいろんな色があるんですね。メダカを初めて買う人にアドバイスはありますか?

渡辺さん:うーん……。いろいろな相談ができるので、できるだけメダカの専門店で買うことをオススメします。室内で飼う場合は水槽だけじゃなくて、ライトやエアレーションなんかも必要になってきますね。エサはクオリティの高いものがたくさん販売されているので、市販されているもので問題ありません。

 

——確かに専門店で買う方が心強いですよね。他にも気をつけるべきことがあったら教えてください。

渡辺さん:近頃はメダカの川への放流が問題視されているので、絶対にしないように気をつけてほしいんですよ。改良メダカを放流することで、既存の原種メダカと交配して繁殖してしまうんです。自然環境を保護する意味で、絶対しないでほしいと思います。

 

——メダカに限らず、ペットを飼う人みんなが心掛けなければならない責任ですよね。ところで、メダカってどんなふうに楽しむことができるんでしょう。

渡辺さん:人によってメダカの楽しみ方ってそれぞれ違うと思うんですよ。鑑賞して癒される人もいれば、繁殖して楽しむ人もいるし、交配させて新しい品種を作ることを楽しむ人もいます。メダカをきっかけに話が弾んで、新しい友達ができることも多いんですよ。

 

——今はご自宅でメダカ専門店を営業されていますけど、ゆくゆく店舗を構える予定はあるんですか?

渡辺さん:今のところは考えていません。お店にコストをかけるんだったら、その分メダカの価格を抑えてお客様に提供したいと思っています。今後もメダカ愛好家のために、上質なメダカを提供し続けていけたらと思いますね。

 

 

 

紫竹めだか

新潟市東区紫竹2-1-59

080-1302-6535

12:00-17:00

4月から10月の土日曜のみ営業

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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