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ステンドグラスが荘厳な歴史ある大聖堂「新潟カトリック教会」。

神父さんに歴史ある教会や大聖堂について聞く。

新潟市中央区の大畑地区には様々な歴史的建造物が残っています。旧齋藤家別邸、行形亭、北方文化博物館分館、砂丘館など。その中でも昭和初期の異国情緒を現代に残しているのが、東大畑にある「新潟カトリック教会」です。空に向かってそびえ立つツインタワーがたいへん美しい独創的な大聖堂。中に足を踏み入れれば、ステンドグラスから美しい光が差し込んで訪れた人を迎えてくれます。ヨーロッパの教会建築で広く用いられているステンドグラス。これは、神のシンボルである光を色とりどりのガラスを通して聖堂内に取り込み、神への思いや賛美を表すものなのです。新潟カトリック教会で6年間神父をやってきたラウール・バラデスさんに、歴史ある教会や大聖堂についてお話をお聞きしました。

 

 

新潟カトリック教会

ラウール・バラデス Raul Valadez

1965年メキシコ生まれ。母国では機械メーカーで人事の仕事をしていた。1990年に神学校でカトリックを学ぶため来日。1998年に長岡カトリック教会で司祭となり、2013年に新潟カトリック教会に主任司祭として赴任。趣味は読書でミステリーやスパイ小説なども読む。

 

新潟カトリック教会にまつわる異人池の伝説。

新潟カトリック教会のとなりには、かつて「異人池」と呼ばれる池がありました。1868年に開港した新潟には早い時期からキリスト教の宣教師が多く訪れ、1885年、砂丘のふもとに新潟カトリック教会が建てられたのですが、そのとき教会の脇に掘った井戸から水が湧き出し、みるみる池になったそうです。外国人が多く住む地域だったことから、この池は「異人池」と呼ばれるようになりました。1927年頃は外国のような風景がこの池のまわりに広がっていたそうです。しかしやがて湧き水が減ったことや住宅が増えていったことで池はなくなり、現在では「異人池」の地名だけが残ることになったのです。

 

イタリア製のステンドグラスは朝夕が見頃。

——今日はよろしくお願いします。この大聖堂には立派なステンドグラスがありますね。

バラデスさん:ちょうど今くらいの季節の朝7時頃は、光がまっすぐに入って来てとてもきれいに見えますよ。 夕方の18時頃もきれいですね。土曜日の午前中には町歩きガイドが見学の人を連れてきます。ふだん2〜3人くらいかな。多いときは40人くらい来るけどね。

 

 

——このステンドグラスは、大聖堂が建てられたときからあるものなんですか?

バラデスさん:いいえ。建てられたばかりのときは、絵柄のないシンプルな色ガラスでした。お金がなかったのかな。1996年に聖堂の大修復をしたそうなんですが、その際にフランシスコ会ボローニヤ管区から21枚寄贈されました。イタリアのフィレンツェにあるミケーレ・メリーニ工房製のものです。

 

——イタリア製なんですか。それにしてもいろんな絵柄がありますよね。

バラデスさん:カトリックの聖堂では、ステンドグラスの配置にある程度決まりごとがあります。祭壇中央のキリスト像をはさんで両側に、弟子であるパウロとペトロ。それをはさむように福音書の著者ヨハネ、ルカ、マルコ、マタイの4人といった具合です。新潟カトリック教会ならではのオリジナルの絵柄は、祭壇を降りてすぐの場所に向かい合わせに並んでいる「佐渡の殉教者」と「米沢北山原の殉教者」の2枚です。

 

 

——たくさんの絵柄の中でバラデスさんのお気に入りはあるんですか?

バラデスさん:うーん。祭壇のまん中ににあるパウロとペトロかな。色合いも好きだけど、そのあたりから光が差し込んで来るんですよね。

現存する最古のパイプオルガンの音色が聞ける?

——ステンドグラスのほかにも立派なものがたくさんありますが、2階にあるのはパイプオルガンですか?

バラデスさん:そうですね。1929年にドイツのデュッセルポーダーボルン市から持ち込まれたAnton Feith社製のもので、日本に現存するパイプオルガンの中では最古のもののひとつといわれています。

 

 

——それは貴重なものですね。どんなときに演奏されるんでしょうか?

バラデスさん:日曜の礼拝のときや、結婚式などの儀式で使います。オルガンを弾ける信者がボランティアで演奏してくれるんです。パイプオルガンの後ろは聖歌隊の席で、演奏に合わせて賛美歌などを歌います。あと、ときどき練習で弾くこともありますよ。

 

——では、タイミングが合えばパイプオルガンの演奏が聞けるんですね。

バラデスさん:そうなんだけど…。以前、平日の昼間に信者がパイプオルガンの練習をしていたら、たまたま教会の一般見学者がいたらしいんです。祭壇の上はふだん立入禁止になっているんだけど、その上にあがり「カテドラ」に腰かけて聞いてたらしいんですね。「カテドラ」っていうのはカトリック教区で一番えらい司教様しか座れないイスなんですよ(笑)。私でも座れないそのイスに座って、演奏が終わったら拍手しながらアンコールしたって(笑)

 

新潟カトリック教会の神父さんはどんな仕事をしているの?

——神父さんは毎日どんなお仕事をしているんですか?

バラデスさん:毎日必ずやっているのは朝7時のミサ(お祈り)です。毎週やっているのは、水曜の聖書勉強会と日曜のミサ。日曜のミサでは、9時半から始まる2回め終了後に日曜学校を行います。第1日曜は外国人向けに英語ミサも行っています。そのほかには結婚式や洗礼式などの儀式ですね。クリスマスや復活祭、マリア様の被昇天祭など行事の仕事もあります。

 

——いろいろなお仕事があるんですね。そんな中で印象に残る出来事はありますか?

バラデスさん:教会学校に通っていた子が大学に入学して、その報告をするため訪ねてきてくれたんです。大学で何を勉強をするのか聞いたら、建築を学んで自分の手で教会を建てたいといってくれたのは、とってもうれしかったね。それから、おなじく教会学校に通っていた子が大人になって結婚し、自分の子どもを連れて教会に来てくれたりすると感激しますね。

 

——神父冥利に尽きますね。いつもどんな気持ちでこの仕事をやっていますか?

バラデスさん:教会っていうのはカトリック教の信者にとって、生まれてまもなくの洗礼式から始まって、結婚式、お葬式と一生関わっていく場所なんです。そういった一生を見守りながら、信仰を押しつけるのではなく、支えていくのが私の仕事ですね。

 

見学自由な歴史ある大聖堂で、キリスト教にふれる。

——こちらの大聖堂は見学も自由にできるんですよね?

バラデスさん:はい。ふだんは9時から18時まで開放しているので自由に見学できます。ただ、ミサや儀式などで使っているときは残念ながら入ることはできません。

 

——大聖堂の建物も特徴があって素晴らしいですよね。

バラデスさん:この建物は3代目なんです。1885年に最初の教会が建てられましたが、火事で焼けてしまいました。その後に建てられた2代目の教会も火事にあってしまい、1927年に現在のものが建てられたんです。大聖堂の設計者はスイス人の建築技師マック・ヒンデルで、ロマネスクとルネッサンスを両方織り交ぜた建築様式なんだそうです。

 

 

——これだけの建物だと掃除や修繕が大変そうですね。

バラデスさん:20年前に大きな修繕をしたんですよ。1964年の新潟地震のときに傾いてしまった床をまっすぐ張り直し、ついでに床暖房入れたりして。ステンドグラスを入れ替えたのもそのときです。それ以降大きな修繕はしていません。古い木造建築だからあちこち痛んで来たりはしてるけど。雨漏りする箇所が出て来たり、シロアリが出たりね。掃除は信者がボランティアで行ってくれているので、とても助かっています。

 

——ステンドグラスやパイプオルガンのほかに特徴的なものはありますか?

バラデスさん:大聖堂わきの庭には「ルルドの洞窟」があります。フランスのルルドという村に伝わる伝説をもとにして、1954年「聖母の年」の記念に作られた洞窟です。近所に幼稚園があったときには、子どもたちの遊び場になってました。もちろん、お祈りに来る方もいます。あと、大聖堂の隣にある「小聖堂」。1981年にヨハネ・パウロ二世が訪日したのを記念して建てられたものです。15人以下のミサや、家族だけで行う結婚式などに使っています。

 

 

——信者以外は入りにくい教会が、一般開放されているのはうれしいですね。

バラデスさん:ふだんから開放していますし、クリスマスイブなどは様々な人が訪れますよ。ぜひ新潟カトリック教会でキリスト教にふれてみてください。

 

 

歴史ある新潟カトリック教会には、ステンドグラスやパイプオルガンなど、建物以外にも価値あるものがたくさんあります。そして、なにより静粛で荘厳な雰囲気を感じることができる場所。一般開放されている教会ですので、興味のある方はぜひ訪れてみてください。ただし、本来はお祈りのための神聖な場所なので、くれぐれも教会の迷惑にならないよう、携帯電話をマナーモードにして、静かにお願いしますね。

 

 

 

新潟カトリック教会

〒951-8106 新潟県新潟市中央区東大畑通一番町656

025-222-5024

一般見学 9:00-18:00

 

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