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ヨガインストラクターとしても活動する美容師「tomomi」さんの思い。

新潟市東区にある美容室「chouchou(シュシュ)」のオーナーtomomiさん。美容師の他にヨガインストラクター、ミスコングランプリとさまざまな顔を持っています。父子家庭で育ち、祖父母の介護と離婚を経験。tomomiさんは「同じような経験をして苦しんでいる人たちに自分ができることをしたい」と幅広い活動に取り組んでいます。

 

chouchou

tomomi

1978年新潟市生まれ。新潟理容美容専門学校を卒業後、美容師として働く。2014年に独立し東区に「chouchou」をオープン。ヨガとピラティスのインストラクター資格を持つ。大学生から小学3年生まで、4人のお子さんを育てるママ。

 

美容師としてもヨガインストラクターとしても、奉仕活動に取り組む。

——tomomiさんは美容師としてだけではなく、ヨガインストラクターとしても活動されているそうですね。

tomomiさん:ヨガをもっと広めたいと思っているので、最近は美容師としての仕事とヨガインストラクターとしての活動が半々になりつつあります。私は奉仕活動に力を入れていて、毎月山の下の海岸で実施しているビーチヨガでは、レッスン料をいただかない代わりに、参加者の皆さんにビーチクリーンに協力してもらっています。他には、キャンドルの光の中でヨガをする「キャンドルヨガ」での報酬の一部をユニセフなどのボランティアに募金しています。

 

——美容師さんとしても、奉仕活動はされているんですか?

tomomiさん:無償で児童養護施設の子どもたちのヘアカットをしています。施設の方から聞いたところ、1,000円カットのお店に行く子どもが多いようなんです。そこでも十分でしょうけど、やっぱりお年頃の子とか女の子にはもうちょっと細かい希望がありますよね。好きなアーティストの写真を持ってきて「こういうふうになりたい」って言われると張り切っちゃいます。

 

 

——それは嬉しいでしょうねぇ。

tomomiさん:私自身、1歳で両親が離婚し、父子家庭で育ちました。祖父母が育児をしてくれて、施設のお子さんたちと同じような立場だったんですね。なので、できる限り力になりたくて。ここには私の他にスタッフはいないし、マンツーマンで施術するので安心してもらえるんじゃないかと思ったんです。同じ立場の人には子どもたちもしゃべりやすいんでしょうね。髪の毛を触っていると心を開いてくれます。

 

——そういう試みをはじめたきっかけはあるんですか?

tomomiさん:もともと奉仕的な取り組みはしていましたけど、2021年に「ミセスグローバルアース」というミスコンテストに出場してから、さらに活動の幅が広がりました。「ミセスグローバルアース」の東北大会でグランプリを受賞させてもらって、それから日本大会でも準グランプリをいただきました。あと、この大会がSDGsに力を入れていたのも大きくて。SDGsへの理解を深めるきっかけになったし、何か自分で提供できるものはないかと今まで以上に考えるようになりました。

 

ポジティブ、ネガティブ両方あってよし。力を抜けるマインドの数々。

——美容師とヨガインストラクターだけではなく、ミスコンのファイナリストだなんて、tomomiさんはいろいろなお顔を持たれていますね。もしかして美容室はお休みの日も多いんですか?

tomomiさん:いえいえ、美容室はフル稼動です。ビーチクリーンは朝ですし、キャンドルヨガは夜。定休日の月曜日にヨガのレッスンをするので、美容室の稼働時間は減らしていません。

 

——しかも4人のお子さんをお持ちでいらっしゃる。毎日忙しいと思いますが、どうやって乗り切っているんですか?

tomomiさん:気をつけているのは「自己犠牲にならない」ってことですかね。私は離婚を経験してシングルマザーですが、それでも4人の子どもたちのために自分が犠牲になってしまってはよくないと思っていて、「自分が豊かであること」「心に必ずスペースを作ること」を念頭に置いています。そこから溢れ出たものを大切な人たちと分かち合うって決めているんです。

 

——パパ、ママはどうしてもお子さんを優先してしまいがちですもんね。

tomomiさん:「まずは自分を大切にしなくちゃ」って離婚をきっかけに強く思うようになりました。「あれもしなくちゃ」「こうあるべきだよね」って考えは、きっと皆さんもお持ちだと思うんです。でもそうじゃなくて、まずは自分を満たす。自分自身の心の声に寄り添うことを大切にしています

 

 

——tomomiさんはお子さんとどんなふうにコミュニケーションを取っているんですか?

tomomiさん:子どもたちには協力してもらうし、私も協力する。家族なのでね。一方通行にならないように「お互いさま、分かち合いだよ」って説明しているかな。いろいろ経験して、やっと子どもたちに甘えられるようになったんです。子どもたちには感謝ですね。

 

——きっと、そういうふうにtomomiさんの気持ちや考え方が変わっていったんですね。

tomomiさん:いちばん大きな転機は離婚ですね。あとは「ミセスグローバルアース」での経験も大きいかな。目標が明確になって、子どもたちを犠牲にしているんじゃないかとか、それまでの勝手な思い込みが変わってきて。まずは自分を責めない、心を豊かにするって念頭に置くようにしたら、余裕がないときは甘えられるようになりました。

 

——身体の調子を崩すと気持ちも落ちてくるとき、ありますよね。tomomiさんはどうやって気持ちを切り替えていますか? ポジティブでいる秘訣を知りたいです。

tomomiさん:ヨガの教えなんですけどね。身体だけじゃなくてマインドにも中心軸があるんですよ。ポジティブも大事だけどネガティブも大事で。ネガティブがあるから、より人に優しくできたり、現状に感謝できたり。だからポジティブにだけ特化しなくても大丈夫。

 

——いやぁ、なんだか気持ちが楽になりました。

tomomiさん:人と比べないとか、自分の心の声を聞くとか、意識できるといいですよね。「疲れが溜まっているな」って、心身に不調が起きる前に気づけるといろいろな対処ができますよ。

 

「頑張らない」を頑張った先に見えてくるもの。

——ところで、ヨガはいつ頃からはじめられたんですか?

tomomiさん:20代の頃から細く長く続けてきました。子育てを乗り越えられたのもヨガのお陰ですね。ヨガには身体だけじゃなくて、気持ちと考え方を整えるヒントがたくさんあるんですよ。ヨガを知ると生きやすくなるっていうかね。それを美容室のお客さんにお伝えしたくて、インストラクターの資格を取得しました。最近は、ヨガをきっかけに美容室に来てくださる方も増えています。

 

——「ミセスグローバルアース」の審査にはスピーチがあったそうですね。そこではどんなことをお話しされたんですか?

tomomiさん:「幼少期からの苦労をギフトに変えたい」って思いを伝えました。父子家庭だったり、まだ上の子どもたちが小さい頃に育ての祖父母を介護したり、離婚も、子どもたちの不登校も経験しました。そういった経験をしたからこそできる活動に力を入れるんだって。

 

 

——そのお考え、本当に頭が下がります。

tomomiさん:家族には大変な思いをしましたけど、周りの人には恵まれきたんですよね。常に人に助けてもらった。その人たちに恩返ししなくちゃって思いがあります。それと、経験を無駄にしたくないって気持ちもあるんでしょうね。経験したから受け止められる、寄り添えることってあるような気がして。

 

——最後に教えてください。気持ちを奮い立たせる言葉はありますか?

tomomiさん:そうですねぇ……。どん底だったときに今の流れを作るきっかけになった言葉は「頑張らないを頑張る」です。私、小さい頃から頑張ることしか知らずにいましたけど、頑張らないを頑張ってみたら本当の自分が見えてきました。自分を癒すことに努めた先に本当の自分が見えたんですよね。頑張り屋さん、自己犠牲の気持ちが強い人っていると思うんです。それで、自分が本当はどう思っているのかわからなくなっている。私の場合は、最終的に好きなことをして人に提供していきたい、自分が経験してきた道と同じように苦しんでいる人たちに自分のできることをしたいって気持ちが明確になりました。今ね、すごく幸せです。

 

 

 

ヘアサロンchouchou

新潟市東区空港西1-7-15 

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