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伝統技術を生かし、現代に合ったインテリアを追求する「桐子モダン」。

かつては嫁入り家具の代表だった桐たんすですが、ライフスタイルの変化によって需要が激減しました。そこで加茂で桐たんすの製造をおこなってきた「株式会社イシモクコーポレーション」では、桐たんすで培ってきた伝統技術を生かしながら、現代のライフスタイルにあったインテリアブランド「桐子モダン」を立ち上げました。落ち着いた雰囲気のショールームで生産管理部の安藤さんから、桐の魅力や製品のこだわりについてお話を聞いてきました。

 

 

株式会社イシモクコーポレーション

安藤 智子 Tomoko Ando

1954年加茂市生まれ。短大卒業後は経理事務所を経て、1991年に「株式会社イシモク」へ入社。現在は生産管理部の部長として「桐子モダン」を管理している。アジアン料理が好き。

オリジナルブランド「桐子モダン」が誕生した背景。

——安藤さんはいつ頃から「株式会社イシモク」でお仕事を?

安藤さん:37歳のときです。それまでは経理事務所で事務職を続けてきました。

 

——加茂の名産品、桐たんすを製造していた会社なんですよね。

安藤さん:そうなんですよ。加茂は森林資源が豊富で桐材が手に入りやすかったので、全国的な桐たんすの産地になったんです。1995年までは当社も桐たんすだけを製造してきました。

 

——桐たんすの製造が減ったのは、やはり時代の流れでしょうか?

安藤さん:昔は鏡台と並んで婚礼家具の必需品だったんですけど、着物を着る習慣がなくなったことや、アパートやマンション住まいが増えてスペースが限られることから、需要が減っていったんです。

 

 

——現代のライフスタイルに合わなくなっていったんですね。

安藤さん:少し前までは、親子で婚礼家具を探しにきて、桐たんすを勧めるお父さんと断る娘さんの間で親子げんかがはじまることが多かったんです。私も父から勧められた桐たんすを断った経験があって、娘さんの気持ちがよくわかるんですよ(笑)。そこで桐たんすの代わりにチェストを勧めたりしていました。

 

——安藤さんも同じような経験をされていたわけですね(笑)

安藤さん:会社でも桐たんすの需要が減ってきたことで、木工業から手を引こうと考えはじめていたんです。でも、せっかくの伝統技術や職人さんがもったいないじゃないですか。だから桐たんすの技術を生かしながら、現代のライフスタイルに合うインテリアをつくったらどうかと提案して「桐子モダン」というブランドを誕生させました。

 

桐の魅力を伝えるショールームと、セレクトショップ。

——こちらのショールームはとてもお洒落な空間になっていますね。

安藤さん:ありがとうございます。元は工場として使っていた建物なんです。以前は三条市に工場があったんですけど、側にあった川の堤防を改修工事することになったので、こちらへ移転してきたんです。

 

——桐の魅力を伝えるショールームということですが。

安藤さん:床に桐材を使ったところ、働いている職人さん達が口を揃えて「身体の調子が良くなった」と言い出したんです。それまでは床に座るにも座布団が必要だったのに、裸足で作業するようになりました。それで桐材が身体にいい影響を与えていると気づいて、床や壁に桐を使った建材メーカーへシフトしていったんです。

 

 

——へぇ〜、たまたま気づいた効果だったんですね。

安藤さん:はい、その効果や使い心地を体感してもらうために2003年から建材のショールームをつくって、桐を使った生活雑貨をご提案するセレクトショップもオープンしました。そのおかげで、お客様がどんどん足を運んでくださるようになり、製品のオーダーが増えていったんです。

 

——ショールームやセレクトショップを通して、桐の魅力が伝わりやすくなったんですね。

安藤さん:ショールームをつくった頃は、身体に優しいECOな省エネ住宅が求められるようになってきた時期だったので、ホルムアルデヒドを含まず、寒さ暑さにも強い桐建材はぴったりだったんです。

 

人生に寄り添い続けるインテリアブランド。

——「桐子モダン」のインテリア製品をデザインする際は、どんなことを心掛けているんですか?

安藤さん:桐の持つ上品なイメージを意識しつつ、現代のライフスタイルに合わせた、快適に長く使い続けることのできるインテリアをご提案しています。それが認められて「ニイガタIDS(イデス)デザインコンペ」では10年以上にわたって毎年入賞してきました。

 

——それは素晴らしい。安藤さんが個人的にお勧めしたい桐製品はあるんですか?

安藤さん:市松模様になっている組み立て式の棚です。いろいろなスペースに合わせて形を変えることができる機能性が気に入っていますね。

 

 

——機能的で便利ですね。形を変えられるので飽きにくそうだし……。

安藤さん:昔は家具もひとつの財産だったのに、今では消耗品として考えられている気がします。ですから長く使い続けることができて、代々受け継がれるような家具をつくり続けていきたいんですよ。

 

——なるほど。

安藤さん:それから婚礼家具として桐たんすだけやっていたときは、人生で一度だけのお付き合いだったので、お届けしたらそれで終わりだったんです。でも、今は人生に寄り添いながらお付き合いできるんですよね。

 

——それはどういうことでしょうか?

安藤さん:結婚式の引き出物に桐のまな板を贈ったり、家を建てたら桐のフローリングやテーブル、椅子、ベッドを揃えたり、子どもが小学校に上がったら勉強机を用意したり、一生お付き合いいただけるブランドなんですよ。そのためにも、お客様にご満足いただける製品をつくっていきたいですね。

 

 

 

桐子モダン ショールーム

加茂市新田10007-3

0256-53-4111

10:00-17:00

水木曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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