県民のための番組をつくり続ける。
TVディレクター「さとうまこと」さん

その他

2026.01.19

text by Ayaka Honma

新潟を代表するテレビ局「TeNY」で『エレベスト』や『バックパッカー』、『おにぎりハウス』など数々の番組を手がけてきた、ディレクターのさとうまことさん。テレビのお仕事を目指したきっかけや、東京での修行時代のこと、新潟で番組をつくることへの思いなど、『おにぎりハウス』のスタジオにお邪魔してお話を聞いてきました。

Interview

さとう まこと

Makoto Sato

1972年新潟市出身。大学在学中にテレビ業界の仕事に携わり、卒業後はアシスタントディレクターとして番組制作を裏から支える。自身もディレクターとして経験を積んだ後、新潟に戻り、『バックパッカー』『どローカル道』『おにぎりハウス』などの制作を行う。焼き鳥が大好きで、自分の焼き台を持つほど。

高校生のときに見た光景が、
テレビの世界に進むきっかけ。

――まずお聞きしたいのは、テレビの仕事に興味を持ったきっかけです。

まことさん:小学校の頃からずっと、テレビが好きだったんです。子どもの頃のいちばんの娯楽はテレビを観ることでしたから。その中でも、タレントさんや芸人さんよりも、たまに映るアシスタントディレクター(以下:AD)さんにすごく憧れていたんです。ウェストバックを斜めがけにして走り回っている姿がかっこいいなって思っていました。

 

――小さい頃から、すでに裏方のお仕事の方に興味を持っていたんですね。

まことさん:決定的に目指そうと思ったのが、高校生の修学旅行のときでした。グループになってお寺を巡っているとき、トレンディードラマの撮影をしていて。友達はタレントさんを見て盛り上がっていたんですけど、僕は少し離れた場所で準備をしているスタッフさんを見ていて、その中のひとりに衝撃を受けちゃって。ビーチサンダルを履いて、短パンにアロハシャツを着た人が、スタッフさんの中心で、みんなに指示を出していたんですよ。

 

――その光景が想像できます(笑)

まことさん:誰かは分からなかったけど、かっこいいって思いましたね。帰りの新幹線で担任の先生に「テレビの仕事をする」って宣言しました。それから、ご縁があって関東の大学に進学したんですけど、数年間はテレビの仕事に関われなくて。SNSのない時代でしたから、どうしたらテレビの仕事ができるかなんて、分からなかったんです。業界人のいそうな六本木に、意味もなく歩いたりしてました(笑)

 

――そんなまことさんが、テレビ業界に関わることになったのには、どんな経緯が?

まことさん:友達と雰囲気のよい美味しいお店にご飯を食べに行ったとき、たまたまテリー伊藤さんがそこで取材を受けていたんですよ。テリーさんがひとりになったタイミングで、「テレビの仕事がしたいんです」って直談判したら、名刺をくれて「明日電話して」って言われて。その1週間後にはテリーさんの事務所でアルバイトをはじめていましたね。

 

――なんという展開。念願のテレビのお仕事をはじめることになったんですね。

まことさん:ADの下っ端として、雑用中の雑用をやっていました。1ヶ月くらい家に帰れなかったこともあったけど、自分がやりたかったことだったし、すごく面白くて楽しかったんです。見る世界が全部刺激的で、いろんなことを学べたから、ADになってよかったと思います。

 

――並々ならぬ熱量を感じます。東京で働いた後、どうして新潟に戻ることにしたのでしょう?

まことさん:6年くらい東京で仕事をしてきて、ADとしての経験も積めて、ディレクターとしてもVTRをつくらせてもらえて、業界でいえばエリートコースを歩んできたんです。あるとき、新潟で頑張ってみようかなって思いが芽生えて。生活もある意味まともじゃない生活をしていたし(笑)、もう少し地に足をつけて仕事をしようかなって思ったんです。

 

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番組制作の中で感じた悔しさが、
あの番組につながった。

――新潟に帰ってきて、最初はバラエティ番組を制作されました。

まことさん:東京にいたときはずっとバラエティ番組を制作していて、新潟でもバラエティ番組をつくりたいと思っていたんです。当時、ローカルではバラエティってあんまりなかったですし。最初は『エレベスト』っていう深夜番組をつくりました。

 

――東京で番組をつくるのとは、やっぱり違うものでしょうか。

まことさん: 全然違いましたね。予算もマンパワーも東京に比べたらなくて。でも、仲間と一緒にアイデアや企画を考えて、やりたいことをかたちにできるのはローカル番組ならではだと思ったし、すごく楽しかったです。

 

――2020年まで放送されていた『バックパッカー』では、ご自身も出演されていました。

まことさん:『エレベスト』の撮影をしているとき、タレントさんにカンペを出してリアクションをしてもらうんですけど、リアクションをするまでに「この瞬間」っていうタイミングを逃している気がして、それにストレスを感じることもあったんです。そのことを番組のプロデューサーに相談したら、「じゃあ、まことが出たらいいじゃん」ってことになって。それから僕が番組に出演するようになって、『バックパッカー』では僕とカメラマンのふたりで、撮影に行っていましたね。

 

――「この後どうなるんだろう」と毎回ドキドキして番組を観ていたのを覚えています。

まことさん:「新潟発、世界遺産行き」をテーマに、新潟の人たちだけに世界遺産を紹介する番組でしたが、世界遺産にたどり着いた後は台本も何もなくて(笑)。現地の人に聞き込みをして、ホテルに戻って番組の構成を考えたりしていましたね。運がいいときはコーディネーターさんがついてくれたけど、基本的には行き当たりばったりでしたね。

 

――まことさん自身、この番組の制作を振り返ってみていかがですか?

まことさん:いろんな国に行って現地の人と話すと、「あなたの住んでいるところには何か自慢できるものがあるの?」って必ず聞かれるんです。新潟の食べ物でも、観光地でも、文化でもよかったんだけど、そのときすぐ答えられなくて。「新潟のことをまったく知らなかったんだ」ってすごく悔しくなって、そこから『どローカル道』が生まれました。

 

――悔しさが、新しい番組につながったんですね。

まことさん:この番組は、新潟のちょっと自慢できるところを紹介する番組です。県内にあるいろんな場所にタレントさんを案内して、美味しいとか、楽しいっていうリアクションを伝える。そうすると新潟に住んでいる人たちもその場所のことを自慢できるようになるし、その場所に行ってみたくなると思ったんです。

 

――この番組にも、まことさんが出演されています。

まことさん:コーディネーターみたいな役割で、「こういうところはいかがでしょうか」って提案するんです。『バックパッカー』をやりつつ、ドキュメンタリーをつくっていたときに新潟の歴史や土地のことたくさん調べた経験がすごく活かされていると思います。

 

『おにぎりハウス』のスタジオ内にあるボードは、まことさんの知り合いのデザイナーさんに制作してもらったそう。

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番組を観て、ほっこりしてほしい。
これからも県民のためにつくり続ける。

――『どローカル道』に続き、『おにぎりハウス』が昨年からはじまりました。

まことさん:金曜日の夜7時という、ゴールデン帯のレギュラー番組ははじめての経験で。家族や友人とご飯を食べながら、ちょっと幸せになってもらえたらなと思って制作しています。地元の人は馴染みがあるけど、周りの地域の人は知らないような場所を紹介して、「行ってみたい」と思ってほっこりしてほしくて。

 

――親しみやすい番組名も印象的です。

まことさん:『おにぎりハウス』ね(笑)。新潟の番組っていうのが連想されるかなって思ってこの名前にしました。まだはじまったばかりなので、マイナーチェンジは必要だけど、観てくれる方の半歩先くらいの距離感は大切にしていきたいんです。テレビと視聴者の近さがローカルのよいところだと思うし。

 

――どの番組を通しても、新潟に住む人を大切にしているのがよく伝わります。

まことさん:「県民ファースト」であることが、いい番組なのかなって思うんです。『バックパッカー』を観て「バカやってんな」って笑ってもらったり、『どローカル道』を観てタレントさんに新潟の自慢できるものを褒めてもらったり、夜ご飯を食べながら『おにぎりハウス』を観てほっこりしてもらったり。県民の方に楽しんでもらえることが、いちばんだと思っています。

 

――これからのご活躍、楽しみにしています!ありがとうございました!

 

「おしゃれなThingsに出ることができて嬉しい」とまことさん。撮影時のリクエストにも笑顔で応えてくださいました。

さとう まこと

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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