アニメーションで、新潟を元気に。
「新潟国際アニメーション映画祭」

その他

2026.02.18

text by Ayaka Honma

いよいよ今週末からはじまる「新潟国際アニメーション映画祭(NIAFF)」。名前は聞いたことがあるけれど、どんな映画祭なのかよくわからない、という方もいるのではないでしょうか。今回映画祭の事務局長であり、プログラム・ディレクターの内田さんに、映画祭がはじまったきっかけや会期中の取り組みのことなど、いろいろお話を聞いてきました。

Interview

内田 昌幸

Masayuki Uchida(新潟国際アニメーション映画祭)

1972年妙高市出身。高校卒業後は、新潟市内の専門学校でデザインを学ぶ。その後、市内のデザイン会社に入社し広告のデザインやディレクションを行う。「日本アニメ・マンガ専門学校」の教員として働きはじめ、人材育成に取り組む。現在は国際総合学園「アニメ・マンガ・映像推進室」でアニメ・マンガに携わる仕事をしている。料理をすることが好きで、最近よくつくるのは焼き鳥。内田家秘伝のたれがあるんだとか。

「アニメ・マンガのまち」、新潟で
映画祭がはじまったきっかけ。

――今年で4回目の開催となる「新潟国際アニメーション映画祭(NIAFF)」ですが、この映画祭をはじめるきっかけは、どんなものがあったのでしょうか。

内田さん:アニメやマンガを取り入れた地域づくりをしていたところに、映画プロデューサーであり当時開志専門職大学のアニメ・マンガ学部の教授を務めていらっしゃった堀越謙三さんという方が、「新潟でアニメ・マンガの映画祭をやろう」と提案してくれたのがきっかけです。その頃、僕も「アニメ・マンガ情報館」の運営や「ガタケット」のようなイベントに関わっていたのもあって、この映画祭に携わることになりました。

 

――新潟って、結構前からアニメやマンガを使っていろんなことをしていますよね。

内田さん:今でこそアニメやマンガをテーマにした地方創生が全国のいろんなところでされていますけど、実は新潟って約30年前から取り組んでいて、「にいがたマンガ大賞」は今回で28回目を迎えます。その頃から、行政主導でアニメ・マンガを使ったまちづくりが行われていました。

 

――30年前から! かなり早くから取り組まれていたんですね。

内田さん:アニメ・マンガの専門学校も2000年に開校していますし、「専門職大学」という新しい学校種の中で、日本にひとつしかないアニメ・マンガ学部も新潟にあります。人材を育成して排出する環境としては、とても整っている場所なんですけど、新潟には大きな課題もあって。

 

――それはいったい、どんな課題なんでしょう?

内田さん:新潟にはアニメーションをつくる企業が多くはない、ということです。新潟で学んでくれたとしても、就職を機に東京に出てしまうケースがすごく多くて。これを何とかしないとっていうことで、映画祭をはじめることになったのも背景のひとつです。「映画祭」という言葉を聞くと、文化振興のイベントをイメージされる方が多いと思うんですが、この映画祭の最大の目的は、産業振興と人材育成なんです。

 

――この映画祭をきっかけに、新潟でもアニメを仕事にできる場所を増やす、ということですね。

内田さん:新潟って新幹線一本で東京に行くことができるアクセスの良さがありますし、国際空港もあるから、国内を経由せずに海外に発信することもできます。堀越さんは、この立地にも可能性を感じてくれて、アニメーション業界の将来を明るいものにしたいと、この映画祭をはじめたんです。

 

――今回の映画祭は、以前とは少し違った思いもあるんだとか。

内田さん:堀越さんが昨年逝去されて、「新潟で映画祭はもうやらないんじゃないか」って言われたこともあって。この映画祭では普段なかなか観る機会のない海外のアニメーションを観ることができますし、一般の方だけではなく、制作会社や配給会社のような業界にも広く知ってもらえるいい機会です。今回は、堀越さんという大きな存在がいない中でも、いろいろアップデートした映画祭になっていると思いますよ。

 

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人材育成と、地域活性化。
街全体で楽しむ映画祭。

――この映画祭では様々な取り組みをされていますが、毎年開催されているコンペティションは注目ですね。

内田さん:毎年開催している長編部門に加えて、今年から「Indie Box」という中編の部門も設けることになりました。今回は、59カ国から274作品の応募があって、その中から長編が7作品、中編が10作品ノミネートされました。ノミネート作品は会期中に上映する予定です。

 

――今回、中編部門を新設したのには、どんな思いがあったのでしょう。

内田さん:もともと長編アニメーションを取り扱っていたのは、長編のアニメーションが作品としてきちんと評価される場を日本につくるためでした。今回中編を設けたのは、より多くの作家さんを見つけて育成するためです。普段15分から40分くらいの作品をつくっている作家さんが、作品を出すために長編をつくるってすごく負担が大きくて。中編作品をつくる作家さんを世に出していくのも、この映画祭のミッションだと思ったんです。

 

――内田さんは応募された作品を観てみて、いかがでしたか?

内田さん:大きくふたつ、変化があったなと思います。ひとつは、新設された中編部門の応募が非常に多かったこと。それだけまだ世に見つかっていない人材がいることを実感しました。もうひとつは、AIを活用した作品が増えたことですね。使い方次第では作品をよりよくすることができる便利なツールなので、これからもAIの活用が進んでいくと思いますね。

 

――ノミネート作品は、古町や万代など3つの会場で観ることができます。会場を複数設けているのはどうしてなのでしょう。

内田さん:映画祭のミッションのひとつとして、地域を活性化させていくっていうのもあるんです。フランスの「アヌシー国際アニメーション映画祭」を視察したとき、街全体が使われていて。アヌシーの街を歩いていると、映画祭のパスやグッズを持った人がたくさんいるし、お店で食事をしていると、映画祭きっかけでコミュニケーションが生まれることもあったんです。

 

――その街全体を使うのが映画祭のかたちなんですね。

内田さん:メイン会場の古町から万代に行くとき、万代橋を歩いて風景を楽しんでもらえますし、反対に万代から古町に向かえば、個性豊かなお店を見て回ったり、お酒や食事も楽しめたりできると思うんです。映画祭の作品と一緒に、街も楽しんでいただけたら嬉しいですね。

 

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業界も、新潟も元気に。
アニメを気軽に楽しめる5日間。

――会期中にはフォーラムも開催されますね。

内田さん:このフォーラムは、アニメーション業界の未来を考える機会だと思っています。人材不足は、アニメーション業界の絶対的な課題としてあって。「アニメ業界は厳しい」っていうイメージがあるから、若い方がこの業界を目指そうとすると、保護者の方から反対される、なんてこともあるんです。スタジオによって、1年目は厳しい場合もありますが、業界の環境は良くなりつつありますし、キャリアを積み重ねると、普通のサラリーマンよりも稼げるっていう一面もあるんです。

 

――えっ、そうなんですか。全然知りませんでした……。

内田さん:このフォーラムでは、そういった業界の実態やキャリアのことについて、若い方だけじゃなくて、その保護者の方にも知ってもらおう、という取り組みなんです。この業界のことを理解してもらわないと、応援してもらえないですから。このフォーラムでは、東京へ行かなくともアニメ業界を目指せることも伝えていきたいなって思います。

 

――「アニメーションキャンプ」という取り組みも気になります。

内田さん:第1回目から開催している人材育成の取り組みで、今映像制作に従事している人から、目指している人まで国内外から集まって、映画祭に来る監督やプロデューサーの授業を聞いて、コミュニケーションをとったり、作品をつくったりします。参加した人の作品が将来映画祭で上映される、なんて循環ができたら嬉しいですね。

 

――この映画祭では、一般の方も作品を見て楽しむことができます。内田さんのおすすめの楽しみ方は?

内田さん: まずは、会場のひとつである新潟日報メディアシップに足を運んでいただくと、映画祭の雰囲気が分かっていいかなと思います。その中で気になる作品があれば、ぜひ会場に行って観てもらえたら嬉しいですね。普段、長編のアニメーションを観ない方だと、コンペティションの中編作品はおすすめです。国内外の多様な作品を、ひとつのプログラムで5作品観ることができますよ。あとは、昔からある名作や今話題の作品も上映予定なので、気軽に楽しんでほしいですね。

 

――「新潟国際アニメーション映画祭」を今後、どんな存在にしていきたいですか?

内田さん:まずは、新潟の皆さんに気軽に参加できるものとして、浸透させていけたらいいですね。普段アニメーション作品を観ることがない方でも、新潟の街と一緒に、とにかく気軽に楽しんでもらえるようにしていきたいです。将来的にはアニメーションが産業として盛り上がって、新潟を元気にしていく取り組みになっていきたいと思っています。

 

新潟国際アニメーション映画祭

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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