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刺繍を通して生活に彩りをあたえる「アトリエ なないろ。」

この春、子どもが幼稚園や小学校に入ったというご家庭も多いと思います。子どもの持ち物に名前をつけてあげるわけですが、刺繍だとかっこいいし子どもにも喜ばれると思います。今回紹介する「アトリエ なないろ。」の田崎さんは「お子さんの持ち物にお名前の刺繍やワンポイント刺繍などができる親御さんが増えてほしい」という思いから「大人の刺繍倶楽部」を開催しています。会場になっている三条市の雑貨屋さんを訪ね、刺繍の魅力や教室のこだわりを聞いてきました。

 

 

アトリエ なないろ。

田崎 和美 Kazumi Tasaki

長岡市生まれ。子どもの頃から刺繍に親しみ、参加した手芸クラブの楽しさが忘れられず、2018年に「アトリエ なないろ。」を立ち上げ、「大人の刺繍倶楽部」をスタート。3匹のチワワと暮らしている。

 

和気あいあいと刺繍を楽しむ「大人の刺繍倶楽部」。

——お疲れさまでした。和気あいあいとして楽しそうでしたね。「教室」というよりも「サークル」という感じに見えました。

田崎さん:なので「大人の刺繍倶楽部」と呼んでいるんです。皆さんでおしゃべりをしながら刺繍を楽しんでいただいて、わからないところがあればその都度お答えしています。「楽しかった」という気持ちで満足して帰っていただけたら嬉しいんですよ。

 

——楽しむことが目的なんですね。

田崎さん:楽しくなければ続かないし、上達もしませんからね。

 

 

——ところで、田崎さんはいつ頃から刺繍をはじめたんですか?

田崎さん:小さい頃に大好きなおばあちゃんから刺繍を教わったんです。作ったものを「綺麗だね」とか「可愛いね」とか褒めてもらえるのが嬉しくて刺繍が大好きになり、小学校では手芸クラブ、高校では家政科を専攻していました。

 

——子どもの頃からずっと刺繍を楽しんできたんですね。

田崎さん:でも就職してからは仕事が忙しくて、刺繍を楽しむ余裕がなくなりました。再開したのは結婚して家にいる機会が増えてからですね。最初はひとりで小物を作っていたんですけど、そのうち手芸クラブへ通うようになったんですよ。

 

——通ってみていかがでした?

田崎さん:お互いに教えたり教わったりしながら、和気あいあいと刺繍を楽しむことが本当に楽しくかったんです。そこで自分でも皆さんにそんな場を提供して、刺繍を楽しんでいただいたり、生活を充実させたりしていただきたいと思うようになりました。

 

——それが「大人の刺繍倶楽部」をはじめた理由なんですね。

田崎さん:もうひとつは、お父さんやお母さんに刺繍を覚えてもらいたかったんです。

 

——というと?

田崎さん:幼稚園に入園した子どものバッグや服に、お名前を刺繍していたんですけど、それを見たママ友さんたちからもお名前刺繍を頼まれることが増えたんですよ。せめて子どものお名前刺繍くらいは親ができるようになってほしいと思ったことも「大人の刺繍倶楽部」をはじめた理由のひとつです。子どもたちも自分のお母さんに刺繍してもらった方が嬉しいと思いますから……。

 

刺繍は家事の合間にも楽しめる「お手軽な」手芸。

——今日は複合施設「雑貨・スタジオRoom」さんにお邪魔しています。こちらで「大人の刺繍倶楽部」をはじめたいきさつを教えてください。

田崎さん:「雑貨・スタジオRoom」さんへはよく買い物にお邪魔していたんです。そのときに「刺繍クラブをはじめたい」と話したところ、レンタルルームを貸してもらえることになったんですよ。

 

——「大人の刺繍倶楽部」は「雑貨・スタジオRoom」さんだけで開催しているんですか?

田崎さん:他には「クラフトハート トーカイ 長岡七日町店」さんや「新潟日報カルチャースクール長岡教室」さんでも開催しています。スケジュールはインスタグラムで告知していますので、ご確認の上お申し込みいただきたいです。

 

——三条だけじゃなくて長岡でも開催しているんですね。習いごとをする人って、小さい子どものいるお母さんより、子育てが落ち着いたお母さんや定年退職したお父さんが多いイメージがあります。

田崎さん:そうなんですよね。小さなお子さんがいるお母さんは、なかなか家の外に出られないことが多いんです。そんな方のために出張で個別開催もしているんです。ときどき授乳で中断しつつも、刺繍を楽しんでいただいています。
 

 

 

——子育ての息抜きにもなりそうですね。

田崎さん:刺繍しているわずかな時間だけでも、仕事や家事を忘れて自分のために使ってほしいんです。そうすることで心に栄養を与えて、仕事や家事を頑張ってもらえたらいいなって思いますね。

 

——なるほど。

田崎さん:刺繍って家事の合間にする手芸としては向いているんです。来客があったり、お湯が沸いたり、洗濯が終わったりしたとき、簡単に中断することができるんですよ。例えば私の場合、編み物は区切りのいいところ まで終わらせてしまわないと、どこから再開すればいいのかわからなくなってしまうんですけど、刺繍は一度中断しても簡単に再開できますからね。

 

——へぇ〜、育児中の趣味にぴったりじゃないですか。

田崎さん:よくカフェや公園で読書している方がいますよね。それと同じように、最小限の刺繍道具や材料だけバッグに入れて出かければ、外出先でも手軽に楽しむこともできるんです。

 

糸選びも楽しんでほしいから、400色もの刺繍糸を用意。

——田崎さんは自分の作品を販売しないんですか?

田崎さん:新潟市中央区にある「Rerun(リラン)」さんというセレクトショップに置いていただいています。他にもイベントに参加して販売することはありますけど、「アトリエ なないろ。」や「大人の手芸倶楽部」のことをたくさんの方に広く知ってもらえたらいいなと思って製作しています。

 

——では、あくまでもメインは「大人の刺繍倶楽部」なんですね。どんなことを大切にしながら開催しているんでしょうか?

田崎さん:参加してくれた方がワクワクして、楽しんでくれることを大切にしたいと思っています。刺繍糸を選ぶところから楽しんでいただきたいので、400色以上の刺繍糸をご用意しています。色選びだけでも30分以上かけて楽しんでくれる方もいますね。

 

——400色もあると選び応えがあるでしょうね(笑)

田崎さん:そうだと思います。あと「これを刺繍してみたい」と思ってもらえるような図案をご用意するように心掛けていますね。

 

 

——でも最近はYouTubeなんかの動画配信サイトに投稿されている動画で、簡単にやり方を覚えることもできますよね。

田崎さんそうですね。ただYouTubeの動画では、わからないことを気軽に聞くことができないんですよ。「大人の刺繍倶楽部」ではいつでもわからないことを聞くことができるし、みんなでおしゃべりしながら交流も楽しむことができるんです。針に糸が通せないという方がいたら私が代わりに通してあげますよ(笑)

 

——いつでも質問できる環境なら上達も早そうですね。では、これからやってみたいことがあったら教えてください。

田崎さん:生徒さんたちの作品展を開催したいと思っています。作品を振り返ることで自分の上達が確認できたり、人の作品を見ることで刺激を受けることができたりして、刺繍に取り組むモチベーションも上がると思うんですよ。できれば今年中には開催したいですね。

 

——それは楽しみですね。ちなみに「アトリエなないろ。」っていう名前の由来は何ですか?

田崎さん:いろんな色で自由に刺繍してほしいという思いを、虹の七色に込めました。「虹を見るといいことがある」といわれているので、刺繍を楽しむことで何かいいことがあったらいいなと思いますね。

 

 

 

アトリエ なないろ。

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