「bakery&sweets ESOLA」の
小麦を楽しむ、「飲める」ドーナツ。

食べる

2026.03.02

text by Ayaka Honma

以前、Thingsで取材した「イチからはじめるパン教室」の講師を勤めていた伊藤さんが、「bakery&sweets ESOLA」として、昨年からドーナツの販売をはじめました。伊藤さんの作るドーナツは「飲めるドーナツ」と呼ばれているんだとか。いったい、どんなドーナツなのでしょうか。「まちトープ」で新メニューを撮影しているところにお邪魔して、お話を聞いてきました。

Interview

伊藤 大貴

Hirotaka Ito(bakery&sweets ESOLA)

1992年三条市出身。新潟市の専門学校でパンを学んだ後、鎌倉のパン屋さんで働く。その後、新潟に戻り「イチからはじめるパン教室」の講師としてパンづくりを教える。現在は総合商社で燕三条の製品の卸に携わる仕事の傍ら、イベントなどで「bakery&sweets ESOLA」としてドーナツを販売する。日本酒にハマっていて、「阿部酒造」の日本酒が最近のお気に入りだそう。

「教える」から、また「作る」へ。
パン講師だった伊藤さんの、その後。

――以前、伊藤さんには「イチからはじめるパン教室」の講師としてお話を聞きました。

伊藤さん:鎌倉のパン屋さんで働いているとき、「もっと人とコミュニケーションを取りたい」と思って、パン教室の講師をはじめました。パン作りも好きだったし、人と話すことができる仕事だったのですごく楽しかったんです。ただ、お店では最終的にエリアマネージャーを任せてもらえるようになって、そうなると、生徒さんにパン作りを教える機会が減ってしまって。

 

――現場以外のお仕事もするようになったんですね。

伊藤さん:でもまた、「またパンを売りたいな」っていう気持ちが強くなってきたんです。そんなときに「まちトープ」さんから、「イベントでパンを売ってみませんか」とお声がけいただいて。試しにやってみたら、これがすごく楽しかったんです。これからも続けたいと思って、イベントがよく開催される土日に休みを取りやすい仕事に転職することを決めました。

 

――転職先は総合商社でしたね。パンの販売を仕事にするという選択肢は、伊藤さんの中であったのでしょうか。

伊藤さん:最初は販売一本でやっていこうと思ったんです。でも、これも不思議なことに、ひとつに集中しちゃうと楽しくなくなっちゃうんですよ。当たり前なんですけど、仕事として成り立たせるためには、多少無理をすることもありますし。販売の仕事は楽しんでやりたい、と思ったので、副業としてはじめることにしました。だから月に2回、年に24回だけ販売することにしています。

 

――ちなみに、総合商社を選んだ理由は?

伊藤さん:パンとは少し離れた仕事もしてみたいなと思って。本業では燕三条の製品を紹介して、ECサイトで販売する仕事をしています。実際働いてみたら、僕が今副業で使っている網や鍋をつくっている現場を見ることもできたりして、すごく面白い仕事なんです。

 

――思わぬところでつながりがあったんですね。今、「bakery&sweets ESOLA」では、パンではなく、ドーナツを販売されています。

伊藤さん:この屋号で最初に出た「まちトープ」さんでのイベントでは、パンも作って販売していたんです。そこでドーナツがすごく人気で、「美味しい」ってたくさん言ってもらえて。あと、ドーナツって鍋さえあれば揚げることができて、どんな場所でも販売がしやすかったので、ドーナツをメインに販売することにしました。

 

――なるほど。それなら、イベントとの相性も良さそうです。

伊藤さん:ドーナツをメインに販売しようと決めてから、いろんなお店のドーナツを食べ歩いたんです。もともと、僕ドーナツってあまり食べてこなかったんですけど、食べていくうちに、水分量の高いドーナツが好きだということに気がついて。僕が作るドーナツもこっちの方向にしようって思ったんです。

 

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みずみずしさと、もちもち感。
まさに「飲める」ようなドーナツ。

――伊藤さんはご自身が作るドーナツを「飲めるドーナツ」と呼んでいます。

伊藤さん:本当に飲めるわけではないんですが(笑)、飲めるくらい水分量の高いドーナツになっていると思います。僕が作るドーナツは加水率が110%で、実は小麦よりも水分のほうが多く使われているドーナツなんです。ちなみに普通のパンの加水率はだいたい60%から70%くらいです。

 

――そういったドーナツって、どんなふうに作られるんでしょう。

伊藤さん:これを実現するために、湯種を使っているのは大きな特徴かなって思っています。小麦粉にお湯を加えて練ったものを、ふた晩くらい寝かせたものなんですけど、これを使うと、小麦本来の甘みともちもち感が楽しめるドーナツになるんです。

 

――断面を見ただけでも、そのもちもち感が想像できます。他には、どんなこだわりが?

伊藤さん:ちょっとマニアックな話になっちゃうんですけど、小麦粉のグルテン膜をしっかり作ることは大事にしています。揚げたときに水分が逃げていかないように、小麦から作られるグルテン膜で蓋をしてあげるんです。イメージとしては天ぷらに近いですね。天ぷらも、中の具材の水分を逃さないように衣で蓋をしながら、具材に火を入れているんですよ。あとは、自家製の発酵種を使っていることも、こだわりのひとつですね。

 

――すごく考え抜かれて作られたドーナツなんだ、と実感できます。きっと、今までの経験もとても活きてきているのでは。

伊藤さん:パン屋さんとパン教室の仕事、どっちもすごく活きていますね。パン屋さんのときに、いろんな作り方でパンを作っていたので、試作をしているときの引き出しになっていましたし、パン教室で素材の探求をしたこともすごく活きていて。例えば牛乳と水では、パンの食感にどんな違いがあるのか、みたいなのを生徒さんに説明するために、いろんな素材の組み合わせを試していたので、今ドーナツを作るとき、ベストな素材選びができていますね。

 

――季節ごとのメニューが楽しめるのも、何度も食べたくなる理由になります。

伊藤さん:月に1種類は新しいメニューをやりたいなって思っているんです。これも今までの経験が活きていますね。パン教室で働いていたときは、月に6種類くらい新しいパンを考えていたので(笑)。今まで考えてきたメニューから組み合わせを考えたり、主役にしたい食材から、いろんな組み合わせを考えたりしています。

 

――中でも、伊藤さんのおすすめは?

伊藤さん:いちばんスタンダードな「きび砂糖」は、まず食べてほしいですね。僕、小麦が熟成した香りと味がすごく好きで。「きび砂糖」も小麦の香りと味が楽しめるものになっていると思います。卵は「ツバメファーム」さんの新鮮な卵を使っていますし、ドーナツのみずみずしさも感じられる一番人気のドーナツです。そのまま食べてもいいし、食べる前に10秒くらい電子レンジで温めても美味しいですよ。

 

左から、きび砂糖、チョコレート、3月の新メニューの苺大福。

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人と話して、コラボして。
大事なのは、自分も楽しむこと。

――昨年の夏からドーナツの販売をはじめられてみて、いかがですか?

伊藤さん:本業もあるので月に2回くらいしか出店はできないんですけど、これからも続けていけたらいいなと思っています。最初は三条あたりでの出店だったんですけど、最近は新潟市や長岡市にも行けて、すごく楽しいんです。いろんな人と会ってお話ができて、つながりが広がったなって。

 

――これから、やってみたいことはありますか?

伊藤さん:県外にも出店してみたいな、って思っていますし、他のお店とのコラボしたイベントを開くみたいな、ワクワクすることをやっていきたいですね。今、作る環境も整えているので、パンを販売できる機会も作っていきたいと思っています。あとは、買ってくださる方ともっとお話できる時間も作っていきたいんです。

 

――といいますと?

伊藤さん:イベントに出るときは、ありがたいことに皆さん並んで待っていてくれることもあって。オープンしてから最初の数時間は、バタバタしてゆっくりお話できる時間がとれなくて。僕はもっと皆さんとお話したいので、午後落ち着いた時間にきてくれると嬉しいです(笑)。

 

断面がとってもきれいな伊藤さんのドーナツ。

bakery&sweets ESOLA

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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