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パン作りを学ぶ時間が、日々の楽しみになる「イチからはじめるパン教室」。

万代シテイバスセンタービルの4階に、パン教室があることをご存知でしょうか。パン作りと聞くとちょっと難しそうなイメージがありますが、「イチからはじめるパン教室」という名前のこちらの教室では、初心者でも楽しみながら本格的なパンを焼くことができます。今回は「イチからはじめるパン教室」万代校にお邪魔して、パン教室を運営している「株式会社システムエース/株式会社スタッフエース」代表取締役社長の仲納林さんと、教室で講師を務める伊藤さんにお話を聞いてきました。

 

 

イチからはじめるパン教室

伊藤 大貴 Hirotaka Ito

1992年三条市生まれ。製菓専門学校を卒業後、鎌倉市のパン屋さんに就職。2015年に「株式会社システムエース/株式会社スタッフエース」に入社。「イチからはじめるパン教室」の立ち上げに携わる。趣味はサッカー観戦、ドルトムントが好き。

 

焼きたてのパンを食べる幸福感を、たくさんの人に感じて欲しい。

——早速ですが仲納林さんにお聞きします、どうしてパン教室をはじめることに?

仲納林さん:僕は小さいときに東三条駅の近くに住んでいて、当時、駅の近くに1階がパン屋さんで2階はパンを食べられる喫茶店になっているお店があったんですよ。そこで焼きたてのパンを食べたときの幸福感が忘れられなかったんです。パンの匂いってなんとなく人をほのぼのさせるんですよね。

 

 

——焼きたてのパンって、いいですよね。パン屋さんに行っても食べられることってなかなかないですもんね。

仲納林さん:最初のイメージは「会社の中に焼きたてのパンの匂いがしていたら、すごく幸せだろうな」というところからでした。それにきっと僕と同じように焼きたてのパンを食べたいな、作ってみたいな、そんな空間があったらいいなと思っている人は、世の中にたくさんいるんじゃないかなって思って。その考えが頭の中にずっとあったので、伊藤くんに声を掛けたんです。

 

伊藤さん:「パン教室をやるんだけど、どう?」って(笑)。僕は昔からパン屋さんになりたくて、製菓専門学校を卒業した後、鎌倉のパン屋さんで働いていたんです。だけどいつかは地元に戻りたいと思っていましたし、社長に声を掛けていただいて、話をしていくうちに「楽しそう!」と思ってふたつ返事で引き受けましたね。

 

——元パン屋さんの方から直接パン作りを学べるって、生徒さんも嬉しいですね。

仲納林さん:「今まではパンを作ることを仕事にしていたけど、それを今度はパンを作る喜びとか楽しみとか人に伝えられる仕事に転化できるんだったら、それはそれで面白いんじゃないか」と彼が言っていて。教室に来る人が幸せになれればいいよねとふたりで話して、7年前に三条でパン教室をはじめました。今は三条校と万代校、それから先月オープンした長岡校があります。

 

伊藤さん:うちの教室、生徒さんの年代がすっごく幅広くて、下は14歳の方から上は80代の方までいるんです。そういう習いごとってなかなかないと思うんです。パンって男女年齢問わず皆さん好きなんですよね。

 

パンの作り方が分かると、パンがもっと面白くなる。

——実際に講師としてパン作りを教える側にまわってみて、いかがでしたか?

伊藤さん:パン屋さんって人と喋らないんです。ラジオとか音楽が流れている中で朝から晩まで黙々と作業するんですよ。だけど僕は話すことが大好きなんです。人と話すためにコンビニに行くくらい(笑)。だからパン教室に来てからは話すことが仕事になってすごく嬉しかったです。パン作りのスキルも生かせますからね。

 

——伊藤さんにとって最高のお仕事ですね。反対に、講師になってみて苦労されたことはありますか?

伊藤さん:教え方は難しかったですね。僕にとっての当たり前は当たり前じゃなかったというか……。

 

——といいますと?

伊藤さん:例えば、主婦の方とかだとお料理ベースで考えているので、「小麦粉」と言われてイメージするのって「薄力粉」なんですね。だけど僕からしたら同じ小麦粉でも薄力粉と中力粉と強力粉があるので、「小麦粉」って言われたら「何の?」って思うんです。だから皆さんに「今日はこういうパンを作るので、小麦粉はこういう粉を使います」と説明して、分かってもらう必要があるんですよね。

 

 

——正直パン作りって、ちょっと難しいイメージがあります。

伊藤さん:発酵とかがあるから漠然と難しそうって思われちゃうんですよね。だけど思っているよりも難しくないと思います。やってみると面白いですし、生地が膨らんでいく感じとか、育てている気持ちになって癒されますよ(笑)

 

——粉の種類とか生地を発酵させる理由とか、パンについて学びながら作れるんですね。

伊藤さん:こういう食感にしたいから捏ねる、こういう味にしたいからこの粉を使って、あえて捏ねないとか。どういう工程を経るとそのパンが出来上がるのかっていうことが分かると、めちゃくちゃ面白いんです。

 

——先ほど14歳の生徒さんがいるとおっしゃっていましたが、パン教室って子どもの習いごとにもいいですね。

伊藤さん:習い事として英会話やダンスがある中に「パン」が入ってくれたらいいなって思うんです。パンを普段食べていても作り方は知らない人って多いと思うんですよ。だけど何からどういうふうにできていて、どうやったら食べられるまでになるのかって分かると見方が変わりますし、食育にもなりますよね。

 

 

——教室で作るパンは何種類かの中から選べるんでしょうか。

伊藤さん:万代校では月ごとに5種類のパンが決まっていて、年間で60種類のパンを作ることができます。作りたいパンがあるときだけ来る方もいらっしゃいますね。

 

——やっぱり教わったレシピをもとに、お家でもパンを作られる方が多いんですか?

伊藤さん:家で作る方は半分、ここだけで作って楽しんで、家にはお土産を持って帰るっていう方が半分くらいですね。美容室みたいに月に1、2回、自分だけの時間を過ごすために来てもらえることを目指しています。やっぱり食べることが好きな方が来るので、あそこのパンが美味しいとか、あのレストランが美味しいとか、皆さん情報交換をされますね。

 

いちばん大事なことは、パンを作る時間を楽しんでもらうこと。

——パン作りだけではなくて、他の生徒さんとのコミュニケーションを楽しみに通っている方も多いんですね。

伊藤さん:ただパンを作って終わりというわけではなくて、みんなでパンを作って、発酵時間にいろいろお話して、仲良くなって、パンについても詳しくなって、それで家族にもお土産を持って帰れるっていう。そういう、皆さんが楽しい空間になるといいなと思ってやっています。

 

 

——お話を聞いていると、ここに来る方が楽しめることを何より大切にされていることがよく分かります。

仲納林さん:オープン当初からふたりで「パンを作ることや技術を覚えることが目的の教室にはしたくないよね」と話していました。いちばんの目的はパンを作る「時間」を楽しみに来てもらうことで、空間や時間を楽しんでもらうためのツールとしてパンがある、くらいの感覚で教室を作らないとだめだよねって。極論、パンが作れなくても楽しければいいと思っていて(笑)。それは今も同じですね。

 

伊藤さん:「今日は何のパンを作るんでしたっけ」と言って教室に来られる方や、三条校には7年以上も通ってくれている方がいらっしゃいます。学びに来るという感じじゃなくて、生活の一部になってくれているのが嬉しいですね。

 

——素敵な考え方ですね。私も通ってみたくなりました。

仲納林さん:パンを趣味にするのはとてもいいと思いますよ。いくつになっても作れますし、自分で作ることでパンのことをもっと知りたくなるし、売っているパンのことも理解して食べることができる。パンを通じて人生に広がりが出てくると思います。この教室をそのきっかけにしてほしいですね。

 

 

 

イチからはじめるパン教室

万代校

新潟市中央区万代1-6-1 万代シテイバスセンタービル4階 万代テラス

月-金 9:00-18:00/土 9:00-16:00

日祝休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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