五泉市の馬場町には不思議なエリアがあります。田んぼに囲まれた住宅街なのに、両側に飲食店が連なる珍しい通りがあるんです。そのほとんどが居酒屋やスナックといったナイトスポットなんですが、そのなかでランチタイムも営業しているのが、3年前に新潟駅南口から移転してきた「隠れ家ビストロGASSO(ガッソ)」です。
隠れ家ビストロGASSO
曽我 泰弘 Yasuhiro Soga
1988年五泉市生まれ。新潟調理師専門学校卒業。東映ホテルで修業した後、2014年より新潟駅南口で「BISTRANTE GASSO(ビストランテ ガッソ)」をオープン。2019年に五泉市へ移転し「隠れ家ビストロGASSO」をオープンする。普段は洋食以外の和食や中華を好んで食べる。
——曽我さんが料理人を目指したのは、何かきっかけがあったんですか?
曽我さん:いえ、これといったきっかけはなかったんです。いつの間にか料理が好きになって、料理の道に進みたいと思うようになりました。高校時代には調理実習をやりたいがために、選択授業で家庭科を選んでいたほどなんですよ。最初はパティシエを目指していたんですけど、洋食にはデザートがつきものなので、大は小を兼ねると思って調理師専門学校では洋食を勉強しました。
——じゃあ卒業後は洋食の仕事に?
曽我さん:関東のホテルで働いてみたいと思っていたんですけど、専門学生時代からアルバイトでお世話になっていたホテルに声をかけてもらったので、そこに調理師として就職しました。スタッフの数が少なくてお互いに連携しながら料理を作り上げていく調理場だったので、メインディッシュを含めて色々な作業に関わることができたことは、とてもいい勉強になりましたね。
——曽我さんが得意な肉料理も、その頃に学んだんでしょうか?
曽我さん:ホテルのなかに鉄板焼レストランがあって、そちらの調理も兼任していたんです。肉の焼き方なんかはそこで腕を磨きましたね。カウンター式の対面キッチンになっていたので接客の勉強にもなりました。
——ホテルを辞めて独立したのはどうしてなんですか?
曽我さん:ホテルのなかで決められた料理を作るんじゃなくて、自分の好きな料理を思い通りに作ってみたいと思うようになったんです。ちょうどご縁があって、新潟駅南口の店舗が使えることになったので、2014年に「BISTRANTE GASSO」をオープンしました。かなり広かったので、パーティーや結婚式の二次会によく利用してもらっていましたね。
——「ビストランテ」って言葉は、はじめて聞いたような……。
曽我さん:「リストランテ」と「ビストロ」の雰囲気を併せ持つというような意味の造語なんです。お洒落にも気軽にも利用していただけるお店っていうことで名付けました。学生時代のバスケットボール仲間が来てくれたり、その紹介で「新潟アルビレックスBB」の選手達が来てくれたりして、人の縁のありがたみを感じましたね。
——新潟駅南口という絶好の立地から、五泉に移転したのはどうしてなんですか?
曽我さん:ずっと規模の大きいお店をやってきたんですが、もっと小さなお店でお客様の顔を見ながら料理を作りたいと思うようになったんです。いつかは地元の五泉でお店をやりたいという思いもあったので、移転してきて「隠れ家ビストロGASSO」をオープンしました。
——それにしても、この場所って不思議なエリアですよね。住宅街なのにこの通りだけ飲み屋街みたいになっていて……。
曽我さん:そうなんですよね。だから店名に「隠れ家ビストロ」とつけたんです。僕としては、地元で洋食を提供している他店とは距離を置いて、バランスの良い場所でオープンしたかったんですよ。たまたまこの場所を紹介してもらって、大家さんも好意的に受け入れてくれたので,この場所でお店をはじめました。
——同業者にも気を使ったわけですね(笑)。ところで「隠れ家ビストロGASSO」で人気があるのは、どんなメニューですか?
曽我さん:肉料理だったら「牛ハラミステーキ」ですね。アウトドア用のスキレットを使って肉料理を提供するのって、新潟では僕の店が最初の方だったと思います。8年前からやっていますので。ミディアムレアの焼き加減にしてありますけど、中までしっかり火を通して温かい状態でお出しするようにしています。肉の焼き目にもこだわっていますね。
——見た目も美味しそうで、さすがといった焼き加減ですね。
曽我さん:ありがとうございます。肉料理以外では「オムライス」も人気メニューです。ホテル修業時代にはお客様の朝食にオムレツをいやというほど作っていたので、その経験を生かしたメニューになっています。牛骨や牛スジ、香味野菜を煮込んで作った本格的な自家製ソースが自慢です。
——想像以上のボリュームでびっくりしました(笑)
曽我さん:これでも控えめに作ったんですよ(笑)。ワインと一緒に食べてもらうのにおすすめなのは「ラムレーズンバター」ですね。前菜からデザートまで、いろんなタイミングでお楽しみいただけます。
——どれも美味しそうですね。料理を作るときって、どんなことに気をつけて作っているんですか?
曽我さん:できるだけお客様に寄り添った料理を心掛けるようにしています。年配のお客様には肉を細かく切って食べやすくしたり、妊婦さんには肉の焼き加減をお聞きするようにしているんです。僕はなかなか厨房から出ることはできないし、直接お客様の顔を見ることは少ないですけど、できるだけ料理を通してお客様と接していきたいと思っています。
——ただ料理を作るのではなく、お客さんに合わせた料理を心掛けているんですね。
曽我さん:料理だけじゃなくて、お客様に居心地よく過ごしていただける「隠れ家」を目指しています。これからも皆さんに求めてもらえるお店になれるよう、お店を続けていきたいですね。
隠れ家ビストロGASSO
五泉市馬場町2-3-5
080-7229-5001
11:30-14:30/18:00-24:00(火曜はディナーのみ、日曜は17:30-22:30)
月曜他不定休