新発田市役所「ヨリネスしばた」のすぐ近くに、路地裏店みたいな雰囲気のちょっと謎めいたカフェがあります。お店の名前は「caffenova(カフェノバ)」。今回はオーナーの松井さんに、お店のコンセプトや魅力をを聞いて来ました。
caffenova
松井 雅哉 Masaya Mastui
1977年新発田市生まれ。高校卒業後、上京。飲食店勤務を経て2006年「caffenova」をオープン。趣味は映画鑑賞で、特に「レオン」が好き。聞き上手で話し上手なカフェのオーナー。
――今日はよろしくお願いします。独特な雰囲気の店内ですね。どんなコンセプトのお店なんですか?
松井さん:これといって「caffenova」にコンセプトはありません。あえていうなら、自分の「趣味の部屋」にしました。
――趣味というと?
松井さん:映画やレコードとか、自分の好きなカルチャーをとにかく集めています。店内で流している音楽は自分でセレクトしているし。だから隠れ家や、溜まり場みたいな要素が強いカフェだと思います。飲食店マニュアルみたいな本には絶対に載らない店だね(笑)
――映画に出てくるアジトみたいな雰囲気ですよね。どんな人が利用していますか?
松井さん:学生も来るけど、カウンターでの会話を楽しみに来るお客さんが多いかな。そのせいか誰もSNSに載せてくれないし、友達を連れてくることもないんです。理由を聞くと「ふらっと寄れる場所だから、誰にも教えたくない」って言うんです。ダラっと仕事をしていたいし、ガヤガヤした雰囲気は苦手だから、それはそれでいいんですけどね(笑)
――誰にも教えたくない気持ち…分かる気がします。パーソナルな居場所なんでしょうね。
松井さん:それこそ、この店はアジトなんでしょうね。本来なら路地裏になければいけないお店ですよ(笑)
――「caffenova」は、いつオープンしたんですか?
松井さん:高校を卒業してから27、28歳までは東京にいました。それからUターンで新発田に戻って。東京は昼から集まれる場所がたくさんあって、いろいろなカルチャーが交差していました。それが新発田にはない。「それなら、自分で作ればいいじゃん」と思って、2006年にオープンしました。
――なるほど。どうしてカフェというジャンルを選んだんですか?
松井さん:人が集まれる場所なら洋服屋や雑貨屋でも、何でもよかったんです。ただ、新発田にはほとんどカフェがなかったから、カフェという選択になりました。
――さきほど「caffenova」にはコンセプトがないといっていましたが、お店をはじめるときもそうでしたか?
松井さん:店作りよりも、どんな人たちが集まるのかを大切にしていたからコンセプトは考えていませんでしたね。そんな考えだからオープン当初は「カフェだからコーヒーがあればOK」と思って、メニューは強気にコーヒーのみでした(笑)
――え? コーヒーのみですか? かなりの強気ですね(笑)
松井さん:まぁ、結果は全然ダメ。ちょっとずつ料理を提供するスタイルに変わっていきました。今ではランチメニューからおつまみ、お酒まで何でもメニューにあります(笑)。でも、最終的な目標はメニューをなくしたいんですよね。
――メニューをなくすって、何も提供しないってことですか??
松井さん:いやいや、ちゃんと提供しますよ。旅をしている時期に出会ったお店があって。確か…山形県に行ったときにたまたま見つけたマンションの101号室にある、ちょっと変わったお店。そこにはメニューがなくて「作れるメニューは出すよ。何でも言ってみて」というスタイルでした。メニューはあるのが当たり前だけど、コミュニケーションからメニューが決まるのもありだなって。
――店員さんとカウンター越しに会話するスタイルのお店って、年々減ってきていますよね。
松井さん:そうなんですよね。独りでカウンターで飲んでいても話しかけてくれなくなっているように感じています。だからこそ「caffenova」では、コミュニケーションが重要。僕自身も話したいし、話してみたいし。
――やっぱり、来店したお客さんに話しかけられると嬉しいですか?
松井さん:うん、嬉しいね。大学生の女の子が勇気を振り絞ってひとりで来て、話しかけてくれたときなんか、嬉しすぎて一生懸命話しちゃいましたよ(笑)
――それは嬉しいですね。若い子からしても大人との会話は刺激にもなりますよね。
松井さん:何かに悩んだり、困ったときはすぐにGoogle先生に頼ってしまう傾向にあるけど、やっぱり生の声を聞いてみるのが一番の解決であって、経験にもなると思います。この仕事をして14年。ここまでくると相談が多くなって、遂には精神科のドクターに「僕の仕事ができますね」とまで言われましたよ(笑)
――ドクターに言われるなんて凄いですね。さすが話しが上手! 「caffenova」は相談もできる場所なんですね。
松井さん:もちろん食事も楽しめるけど、基本的には集まってコミュニケーションが取れる溜まり場。僕と話したり、偶然隣りに座った人と会話をしてみたり、とにかく他人からの刺激が溢れているのが「caffenova」。そして縁が繋がっていく場所でもあります。
――「caffenova」では、たくさんのコミュニケーションが生まれているんですね。最後に、これからのお店について教えてください。
松井さん:何が良いのか、悪いのかではなくて、自分がどう在りたいのかが重要だと思っています。だから、とにかく人が集まる場所が欲しくて作ったこの「caffenova」をたくさんの人たちの集う場所で在り続けられるように頑張っていきたいです。
caffenova
新潟県新発田市中央町2-1-14
0254-26-8706