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「グローバルユース国連⼤使」の山本栞鳳さんが、カンボジアで得た学び。

世界平和の実現のためにグローバルな視点を持って⾏動できる若い⼈財を育成する事業として、公益社団法人⽇本⻘年会議所が展開している「JCI JAPANグローバルユース国連大使育成事業」。全国の中高生の応募者の中から任命される20名の大使のひとりに、新潟市の中学校に通う山本栞鳳さんが選ばれました。先月、約1週間のカンボジア研修を終えて、山本さんが現地で学んだことや世の中に伝えていきたいことについて聞いてきました。

 

 

2023 JCI JAPAN グローバルユース国連⼤使

山本 栞鳳 Shiho Yamamoto

2008年新潟市生まれ。新潟⼤学附属新潟中学校 3年生。今年4月、2023年度の「グローバルユース国連⼤使」に選抜、任命される。東京研修、広島研修を経て、カンボジアでの研修を経験。

 

グローバルユース国連大使に応募するきっかけになったのは、1本のドキュメンタリー映画。

——山本さんは何をきっかけにグローバルユース国連大使の活動に興味を持ったんですか?

山本さん:兄が少年少女国連大使(本事業の前身)として活動していたのと、母からも「こういう活動があるよ」と紹介されたことがきっかけです。もともとSDGs(国連が掲げる持続可能な開発目標)に関心があって、『ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション 真の代償~』というドキュメンタリー映画を見て、より興味が湧きました。

 

——その映画のどんなところに影響されたんでしょうか。

山本さん:映画では「ラナ・プラザの悲劇」という、バングラデシュの商業ビルが崩れて、有名アパレルブランドの縫製に従事する多くの女性が亡くなった事故のことが取り上げられていて。そこで女性従業員が過酷な重労働をさせられていたことや、違法な増築が繰り返されていたビルの安全性を訴えていたのに、建物の所有者から避難を禁じられていたことを知って、貧困やジェンダー不平等の問題、先進国に住む私たちの消費行動を改善していかなければいけないと感じました。

 

 

——先日のカンボジア研修では多くのことを学んだと思いますが、見学したなかでいちばん印象に残っていることはありますか?

山本さん:たくさんあって選べないんですけど……トゥール・スレン虐殺博物館、キリング・フィールドですね。カンボジアでは、1970年代のポル・ポト政権下で急進的な共産主義政策が行われて、国⺠の約5分の1に当たる170〜200万⼈が虐殺された歴史があるんです。町を見ていても上の世代の人は少なくて、若い人が多いなと感じました。

 

——その歴史を記録している博物館を見学されたんですね。衝撃的なことも多かったんじゃ……?

山本さん:虐殺される人の声を消すために明るい音楽を流していたとか、洗脳された子どもが赤ちゃんを木に打ち付けて殺していたとか……。恐ろしいことが行われていたそうです。あとは亡くなった方の顔写真を見るとそれぞれに番号がついていて、物以下のような扱いをされていたことを知って「同じ人間同士なのにどうしてこんなことができるんだろう」という気持ちになりました。

 

——貴重な学びでしたね。カンボジアには約1週間滞在していたそうですが、生活する中で日本との違いを感じることってありましたか?

山本さん:ホテルでも水道水を使うとお腹を壊すから、コンビニで買った水で歯磨きをしていましたね。あとは昼食のときに行った食堂に野良犬とか野良猫がたくさんいて、日本だと「野良犬や野良猫は危ないよ」と言われていますけど、現地の子は猫を膝の上に乗せて撫でていたので驚きました。犬好きなので触りたい気持ちもあったんですけど……(笑)

 

 

——ジェンダー観の違いについて感じる場面もありましたか?

山本さん:世界⽂化遺産であるアンコール遺跡群に行くとき、じめじめしていたからハーフパンツに履き替えたんです。そのまま遺跡に入ろうとしたら現地の人に「だめだよ」と言われて、ハーフパンツの上から布を巻いて入ることになりました。

 

——カンボジアではハーフパンツを履いてはいけないんですか……?

山本さん:普段の生活では履いていても大丈夫なんですけど、遺跡のような神聖な場所に入るときには服装に規定があるみたいで。だけど同じようにハーフパンツの男性が遺跡に入っていたので「あの男の人は大丈夫なんですか?」って現地の人に聞いたら、「あの人は男だから大丈夫なんだ」と言っていて、まだそういうジェンダー格差のようなものがあるんだなと感じました。

 

カンボジアの人たちとの交流で知った温かい国民性や、ここでしか得られない気づき。

——カンボジア側のグローバルユース国連大使との交流もあったそうですね。

山本さん:研修2日目からカンボジア側の大使とバディを組んで行動していました。それからカンボジア側と日本側、4人1組でグループを作って、世界平和のために私たちができることについて意⾒を出し合って、6日目にグループごとに発表しました。

 

——山本さんのグループのカンボジアの方たちは、平和のためにできることとして、どんなことを挙げていたんでしょう?

山本さん:「相手の立場になって思いやる」「『女の子らしい』『男の子らしい』という考え方を捨てる」「お互いが必要なときに助け合う」とかが挙がりました。日本ってすごく難しく考えがちで、実際にどういう取り組みをすればいいのかって固く考えちゃうんですけど、カンボジアの子たちはただ純粋に気持ちのところで問題を考えていましたね。

 

——そういう視点の違いがあると、お互いに気づくことが多そうですね。

山本さん:カンボジアにはポル・ポト政権下で学校教育が否定され、多くの知識人が虐殺された歴史もありますし、家族とか、上の世代の人たちは実際にそれを体験しています。だから「教育が受けられるって幸せなことなんだよ」と言っていて。日本に住んでいるとあまり意識しないことだけど、カンボジアの子たちからそう言われることで、自分の環境が恵まれていると気づくことができました。

 

——素敵な気づきですね。

山本さん:私たちの発表で出た「Love More, Hate Less」というキーワードも、カンボジアの子たちが提案してくれた言葉なんです。「憎しみを排除して愛を増やしていけば世界平和になるよ」という思いの強さを感じましたね。

 

 

——カンボジア研修を終えて、「思っていたよりもこうだったな」っていう、行く前のイメージとのギャップってありましたか?

山本さん:思っていたよりも発展しているなと感じました。プレアヴィヒアという、訪れた3つの都市の中でいちばん貧しいといわれている地域でも、現地の学校を訪問したら生徒たちがスマホを持っていて「インスタ教えて」って声をかけてくれるんです。「外国人に対してどういう反応をするのかな」と緊張もしていたんですけど、「一緒に写真を撮ろう」って明るく迎えてくれて。温かい国民性を感じました。カンボジアで知り合った子たちとは、今もLINEで連絡を取り合っています。

 

——山本さんの話を聞いていると「カンボジア、楽しかったんだろうな」って思います。

山本さん:もう一回行きたいですね(笑)。「違う国の同世代の人たちとも仲良くなれるんだ」と感じましたし、そういうふうに言語や文化、価値観が違ってもお互いを認め合えるっていうのは、平和を築くための大切な要素のひとつでもあるのかなって。

 

――確かに、世界中の人たちが仲良くなれば、きっと世界は平和になりますもんね。

山本さん:グローバルな時代だからこそ、様々な国や地域に住む人々と関わる機会があったら、その人の持つバックグラウンドを知って理解を深めるっていうことが、差別や偏見、紛争をなくすことにつながると思います。

 

世界をよくするために、自分たちにできることが必ずある。

——学びを生かして、どんなことを周りに伝えていきたいですか?

山本さん:SNSで気候変動や国際問題についての解決策や考えを発信している人たちの投稿に「いいね」を押すだけでも、その発信が広まっていきますよね。それだけでも世界がよりよい方向に向かうひとつのきっかけになるから、「自分は何も変えられない」と決めつけないでほしいということです。

 

——なるほど。そういう小さなことでも、まずは意識してやってみることが大事ですね。

山本さん:他にも自分たちにできることがあるから調べてみてほしいし、国や企業がやっているような大きな活動だけが問題の解決につながるんじゃなくて、一人ひとりの小さな活動も巡り巡って世界平和に向かっていくんだということを伝えたいですね。

 

——山本さんの将来が楽しみです。個人としてのこれからの目標はありますか?

山本さん:こうやって発信している以上、身近にサステイナブルな活動を取り入れて、率先してやっていきたいです。留学もしてみたいなって考えていて、そこで感じる日本や諸外国との文化の違いも知りたいなって思います。

 

 

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