僕らのソウルフード。高級ないくらを丼で食べる村上の「はらこ丼」。

村上市の鮭文化が生んだ「はらこ丼」。

秋が深まると、村上市にある三面川(みおもてがわ)には産卵のため鮭が遡上してきます。そのため、村上市では古くから生活に鮭が密接に関わっていて、独特の鮭文化が育まれてきました。方言もそのひとつ。鮭は「イヨボヤ」、いくらは「はらこ」といった具合に、鮭にまつわるたくさんの言葉があるんです。また、冬になると軒先に鮭を吊るして「塩引鮭」をつくる習慣も、村上市の名物になっています。ご飯の上にいくらを山盛りに乗せたご当地グルメ「はらこ丼」も名物のひとつ。まるで赤い真珠みたいにキラキラしたいくらは見た目にも食欲をそそり、口に入れるとプチプチした食感と共に濃厚なうま味が口の中に広がります。今回は「はらこ丼」を提供している「はらこ茶屋」の板前・近藤さんに、「はらこ丼」についてお話を聞いてきました。

 

はらこ茶屋

近藤 友喜 Tomoki Kondo

1989年村上市生まれ。新潟市の調理師専門学校卒業後、瀬波温泉にあったホテルで板前をやっていたが、休館を機に2019年より「はらこ茶屋」の板前となる。趣味は車いじりで、愛車のホンダ・フリードの内装などをカスタマイズして楽しんでいる。

 

鮭はいつ頃三面川にのぼって来るの?

——今日はよろしくお願いします。鮭はもう遡上してきているんですか?

近藤さん:もう少し先だと思います。毎年11月の半ば頃になると鮭が三面川に遡上して来て居繰網漁(いぐりあみりょう)が始まります。居繰網漁は三面川に伝わる伝統的な漁法で、三艘の川舟のうち一艘が竿で水面を叩き、残る二艘の間に張られた網に鮭を追い込んで捕えるんです。でも、最近は鮭の数が少なくなって来ているみたいですね。海の方で捕りつくしてしまうと、川まで上がってこないんです。

 

——それで盛んに稚魚を放流してるんですね。三面川で鮭が捕れる村上市では、どんな鮭料理を食べているんでしょうか?

近藤さん:お正月をはじめとしたお祝いの席には必ず鮭料理が並びますね。鮭は余すところなく料理に使えて、料理法は100種類以上あるそうですよ。皮を香ばしく焼いて、醤油、みりん、酒で味つけした「酒の焼漬」。鮭、ごぼう、きのこといった季節の食材といっしょに炊き上げ、はらこをかけて食べる「鮭釜飯」がおすすめです。でも、なんといっても鮭を使った村上市の代表的な郷土料理といえば「はらこ丼」でしょうね。

 

村上名物の「はらこ丼」ってどんな料理?

——はらこ丼は村上市でつねに食べられている料理なんですか?

近藤さん:ふだん町中ではそんなに食べる機会がないんです。漁師飯として漁師さんたちを中心に食べられていたものだと思いますね。はらこ自体は秋になるとスーパーでも売られているほど、村上市の人々の生活には密着したものです。

 

——ちなみにどのように作るのが一般的なのでしょうか?

近藤さん:「はらこ茶屋」では、ご飯の上に刻み海苔を敷き、その上に味つけしたはらこを乗せます。「はらこ丼」っていうと、だいたいこの形だと思いますよ。はらこを味わってもらうために、タレはかけず、はらこに味がついているだけのシンプルなものです。

 

——素材の味を生かしているわけですね。では、「はらこ丼」を作るときに気をつけていることはありますか?

近藤さん:はらこをバラバラにほぐすときに、つぶさないよう気をつけて丁寧にやっています。塩水で洗いながら、薄い皮や血管とかを取り除き、きれいにしてから使っています。

 

——はらこがつぶれていると美味しくなさそうですもんね。はらこ丼の他に、はらこの食べ方のおすすめってありますか?

近藤さん:「はらこ茶屋」でも提供している、鮭の切り身とはらこを使った「親子丼」ですかね。親子だけあって相性抜群です。はらこを茹でた「とと豆」は、加熱することで生臭みが消え、プチプチした食感を楽しむことができます。そのまま食べることは少なくて、雑煮や釜飯といった料理のトッピングに使うことが多いですね。でも、やっぱり「はらこ丼」にして、ご飯といっしょにかっ込んで食べるのが一番美味しい食べ方だと思います。

 

イヨボヤ会館のお隣、「はらこ茶屋」ってどんなお店?

——こちらの「はらこ茶屋」はどんなお店なんですか?

近藤さん:鮭の水族館ともいえる「イヨボヤ会館」のとなりにあって、1階はお土産店「サーモンハウス」になっています。「はらこ茶屋」は「はらこ丼」をはじめ、「塩引鮭」「焼漬」「鮭びたし」とかの鮭を使った料理をメインに提供しているお食事どころです。観光バスの団体さんにも対応できる広さで、宴会ができる大広間もあります。もちろん一般のお客様もご利用いただけます。

 

——村上市の鮭料理をいろいろと味わうことができるんですね。いつ頃から営業しているんでしょうか?

近藤さん:昭和62年、「イヨボヤ会館」のある敷地内にお土産店「サーモンハウス」と同時にオープンしました。「イヨボヤ会館」を見学した後、「はらこ茶屋」でお食事をして、「サーモンハウス」でお土産を買うという、理想的なコラボになってますよね(笑)

 

「はらこ丼」の魅力ってどんなところ?

——近藤さんにとって、「はらこ丼」の魅力ってなんでしょうか?

近藤さん:贅沢を楽しめるのは魅力だと思います。高級品のはらこを丼にして、ご飯と一緒にかっ込んで食べるっていうのは贅沢ですよね。あと、プチプチとした食感を楽しめて、口の中に広がる濃厚なうま味を味わえるのも魅力だと思います。

 

 

村上市のご当地グルメ「はらこ丼」は、鮭の食文化が生活に密着している村上市ならではのソウルフードといえるのではないでしょうか。ちびちび食べるのではなく、ご飯とはらこを豪快にかっ込んで食べるのが美味しく食べるコツなのだそうです。これから鮭の産卵シーズンが始まり、村上市の三面川にも鮭たちが遡上してきます。新鮮なはらこを使った「はらこ丼」が、ますます美味しくなりますね。

 

 

はらこ茶屋

〒958-0876 新潟県村上市塩町13-34

0254-52-1990

9:00-17:00


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