一日のはじまりにコーヒーが欠かせないという方は多いのではないでしょうか。リラックスタイムだったり、食後のひとときだったり、コーヒーはいつもたくさんの人たち、たくさんのシーンとともにあります。焙煎したての本格的コーヒーが手軽に楽しめる「ILIMA coffee(イリマコーヒー)」というお店が、今年の春、出来島にオープンしました。気さくで元気なオーナーの齋藤さんに、どんな思いでお店をはじめたのか聞いてきました。
ILIMA coffee
齋藤 幹 Miki Saito
1980年新潟市中央区生まれ。18歳で結婚して家事や子育てをしながら、インストラクターとしてスイミングスクールで働く。その後、父の経営するイベント会社でディレクターを担当。NGT48劇場の舞台監督も務める。2022年3月より「ILIMA coffee」をオープン。大のハワイ好きで、フラダンス歴は約20年。
——オープンおめでとうございます。「ILIMA coffee」をはじめたいきさつを教えてください。
齋藤さん:私は父の経営するイベント会社で、ディレクターをやっていたんです。ところがコロナ禍でイベントが激減してしまったので、自分でお店をはじめてみようと思ったことがきっかけですね。
——ちなみに、どんなイベントを手がけていたのですか?
齋藤さん:地元テレビ局が主催するイベントとか、新潟県民会館でおこなわれるイベントに関わってきました。あとNGT48劇場の舞台監督もやっていたんです。
——へ〜、じゃあアイドルグループのステージを演出していたと。
齋藤さん:AKB48のディレクション会社からの依頼で、NGT48劇場立ち上げから関わらせていただきました。加入当時はまだ素人だったNGT48のメンバーたちが、日に日にアイドルとして成長していく姿を見守るのは楽しかったですね。
——大変なこともあったんじゃないですか?
齋藤さん:「AKB48選抜総選挙」のような大きい舞台にも、東京のスタッフに混じって参加させていただいたんですけど、300人ものアイドルを仕切るのはさすがに大変でしたね。東京のイベント運営が新潟のやり方とはまったく違っていて、とても勉強になりました。でもNGT48劇場がお休みすることになったので、私は父のイベント会社に戻ったんです。ところが、その半年後にコロナ禍がはじまっちゃったんですよ。
——それで「ILIMA coffee」をオープンすることに。ところで、店名に使われている「ILIMA」っていう言葉には、どういう意味があるんですか?
齋藤さん:ハワイに咲く黄色い花なんです。ハワイの国花は赤いハイビスカスですけど、その前まではイリマが国花で、レイを作るときにもよく使われています。フラの女神「ラカ」の生まれ変わりという伝説もあるんですよ。じつは私の次女の名前なんですけどね(笑)
——とてもハワイのことに詳しいんですね。
齋藤さん:私の両親は揃ってハワイが好きだったので、子どもの頃から年に1回の家族旅行はハワイに決まっていたんです。それで私もいつの間にかハワイが大好きになっていました。母の影響でフラダンスもはじめて、もう20年近くは続けています(笑)。そのフラダンスがきっかけで、コーヒー焙煎のお手伝いをはじめることになったんですよ。
——えっ? どういうことですか?
齋藤さん:西蒲区の「カーブドッチワイナリー」内にある「KAIHOLO(カイホロ)」さんというカフェからハワイアンのイベントを頼まれて、フラダンスやウクレレ演奏のイベントを何度か開催したんです。そのご縁で、コーヒーの焙煎を教えていただくことになって。
——そうだったんですね。焙煎の作業って大変なんですか?
齋藤さん:大変ですね(笑)。「KAIHOLO」さんでは4.5kgの豆を20分かけて焙煎する工程を60回も繰り返すんですよ。焙煎に使う機械の操作がなかなか覚えられなくて、今でもメモを取りながら勉強しています。あと窯から豆を出すときは、毎回お腹が痛くなるほど緊張していますね(笑)。少し遅れただけでも豆を焦がしてしまうことがあるんですよ。
——「ILIMA coffee」では、コーヒーやドリンクのテイクアウトと、豆の販売をしているんですよね。コーヒー豆はやっぱり「KAIHOLO」さんで焙煎したものなんですか?
齋藤さん:そうです。私が「KAIHOLO」さんの焙煎コーヒーに惚れ込んで、少しでも多くの人にこのコーヒーを味わってほしいと思ったことも「ILIMA coffee」をオープンした理由のひとつなんですよ。
——出来島でお店をオープンしてみて、いかがですか?
齋藤さん:ここは平日の朝、想像以上にたくさんの人や車が通る場所で、近くに新潟県庁、病院、自動車ディーラーがあるので、そういった職場で働いている人たちが朝のコーヒーを買いにきてくれるんです。
——お客さんにはお店をどんなふうに利用してほしいと思っていますか?
齋藤さん:美味しいコーヒーを毎日飲んでもらいたいですね。だから、サブスク登録には力を入れているんです。
——サブスク?
齋藤さん:サブスクリプション、つまり定期購入です。1ヶ月4,000円で16杯のコーヒーをお楽しみいただけます。毎日飲んでいただけるお客様には、少しでもお安く提供させていただけたらと思ってはじめました。粉や豆はご自宅や会社まで配達もできるんですよ。
——なるほど。それは常連のお客さんが増えそうですね。
齋藤さん:うちの店には「一杯の珈琲でつながるコミュニティー」というコンセプトがあるんです。コーヒーを通してお客様同士が仲良くなれる場所になってくれたら嬉しいですね。人とつながるのはお酒の席だけじゃなくて、コーヒー店でもいいんじゃないでしょうか(笑)
——毎朝来ていれば、常連同士が仲良くなることもありますよね。今後はどんなふうに営業していきたいと思っていますか?
齋藤さん:お店の奥はプロジェクターを備えたコワーキングスペースにする予定なんです。イベントの仕事をしていたときには、カフェやコーヒーショップで打ち合わせをすることが多かったんですが、個室になっている店ってほとんどないから内密の話がしにくかったんです。その経験を踏まえて、打ち合わせはもちろん、スクールや会議に使ってもらえるようなスペースを作りたいんですよね。
——へ〜、ただのコーヒーショップじゃないんですね。
齋藤さん:コーヒーを通じて、人やビジネスが繋がる場にしていきたいですね。
ILIMA coffee
新潟市中央区出来島2-8-3
080-3737-5493
8:00-16:00
月土日曜・祝日休