国内外の昆虫たちに見て触れて学べる「胎内昆虫の家」。

胎内市にある昆虫博物館。館長さんに昆虫の魅力を聞きました。

もうすぐ夏休みがやってきます。街で生活をしていると昆虫を目にすることがめったにないですが、自由研究に昆虫採集をやる小学生は今もいるのでしょうか? 昆虫と触れあう機会がなくても、「虫が好き!」という子どもはたくさんいますよね。そんなキッズたちが昆虫についてあれこれ学べる場所が「胎内昆虫の家」。国内外の昆虫標本が約10,000点も展示されていたり、生きている珍しい昆虫を見ることができたり。なかには実際に触れることができるコーナーも。今回は昆虫が大好きな館長・遠藤さんに「胎内昆虫の家」についてはもちろん、昆虫の魅力や採集のコツなどをお聞きしました。

 

 

胎内昆虫の家

遠藤 正浩 Masahiro Endo

1967年新発田市生まれ。「胎内昆虫の家」館長。幼少より昆虫が好きで昆虫採集や標本作りが趣味。新潟県の昆虫愛好家による同好会「越佐昆虫同好会」会員。以前は電子部品の金型を設計する仕事をしていたが、前館長より昆虫好きを見込まれ「胎内昆虫の家」に誘われる。昆虫以外にも、ワインに詳しくバイオリンの演奏もするなど趣味は幅広い。

 

 

館長さんはチョウとカミキリムシが大好き!

——今日はよろしくお願いします。遠藤さんが昆虫好きになったきっかけってあるんでしょうか?

遠藤さん:きっかけは覚えていないんですが、小学校に上がる頃にはもう昆虫が大好きで、カブトムシを採ったり、アゲハチョウの幼虫を飼育したりしていましたね。中学生の頃から昆虫標本を作るようになりましたが、現在までに1,000種類ほど採集しています。

 

——大人になった今でも昆虫は好きなままですか?

遠藤さん:もちろんです。今でも時間さえあれば昆虫採集して標本を作っていますよ。「越佐昆虫同好会」の会員でもあるんです。新潟県の昆虫愛好家が集まって、年3〜4回のミーティングや昆虫採集会を開いたり、会報を発行して昆虫研究の成果を報告したりする同好会です。創立70周年を迎えた、全国でも歴史ある昆虫同好会なんですよ。

 

——そんな遠藤さんのお気に入り昆虫ベスト3を教えてください。

遠藤さん:うーん…むずかしいですね。まず第3位は「甲虫の仲間」かな。カブトムシ、クワガタムシ、コガネムシ、ゾウムシ、オサムシなど種類も多く、多様性に富んでいて採集しても楽しいです。第2位は「チョウの仲間」。私の昆虫採集の原点がチョウだったので思い入れもあります。第1位は「カミキリムシ」。カラフルなものも多く、圧倒的に種類が多いので採集しがいがありますね。「カミキリムシ」「チョウ」は採集家たちに絶大な人気がある2大ミーハー昆虫なんです(笑)。

 

——昆虫の楽しみ方や魅力を教えてください。

遠藤さん:まず「屋外で探してみる」。そこらへんの草むらをはじめ山や川などに出かけて行って、いろいろな昆虫を探すのはとてもワクワクします。次に「飼育して観察してみる」。昆虫を育てながら、どんな風に変化していくのか成長を見守るのも楽しいものです。最後に「調べてみる」。採集した昆虫の標本を作って分布を調べたり、記録したりする楽しみ方もありますね。昆虫は私たちのごく身近にいる生き物で、たくさんの種類がいる上に、生活や習性も様々なことが面白いと思います。

 

館長さんって普段はどんなお仕事をしているの?

——遠藤さんが「胎内昆虫の家」でお仕事をされているのは、どういういきさつだったんですか?

遠藤さん:前館長さんとは知り合いで、「胎内昆虫の家」にはよく遊びに来ていたんです。ある日、欠員が出るので、一緒に働いてみないかと前館長に誘われ、1994年から勤務することになりました。

 

——実際にどんなお仕事をされているんでしょうか?

遠藤さん:昆虫に関わること全般です。飼育、展示はもちろん、イベントの企画や実施も行っています。特別展、昆虫教室、観察会などいろいろなイベントを催しているんですよ。観察会では「春の昆虫を見つけよう」「ギフチョウ羽化体験」「トンボと水辺の昆虫観察会」などを開催しました。今夏の特別展は7月25日〜9月1日の期間で「巨大カブト・クワガタ大集合」を予定しています。夏休みに合わせた企画で、世界中から生きたカブトムシ、クワガタムシが大集合します。

 

——昆虫の飼育で大変なことや嬉しいことはありますか?

遠藤さん:昆虫のライフサイクルはとても短くて、1年の間に何回も世代交代をするものもいます。何世代にもわたって繁殖、飼育することを累代飼育(るいだいしいく)といって、この累代飼育が絶えないよう飼育しなければならないんです。それを保ち続けることが大変ですね。病気の昆虫が出たら感染を避けるため、その中から健康な昆虫を救い出したり、外部から健全な種を持ち込んだりして対処しています。昆虫を飼育していてうれしいことは、苦労して育てた昆虫が健康に成長してくれたり、繁殖に成功したりするのを見ることですね。まあ、私は昆虫が好きなので接していられるだけで、うれしいんですけどね(笑)。

 

ヘラクレスオオカブトやタガメ。珍しい昆虫に見て触れて学べる「胎内昆虫の家」。

——「胎内昆虫の家」はどんな施設なんですか?

遠藤さん:胎内市(旧黒川村)に住んでいた、昆虫学者の馬場金太郎博士が採集した標本や研究資料を元に、1987年に開設した施設です。新たに用意した国内外の昆虫標本も合わせて常時2,500種〜3,000種、約10,000点、生きている昆虫も10〜50種は展示しています。また、パネルや映像を使って昆虫を知ってもらう展示もご用意していますよ。

 

——具体的にはどんな展示があるんでしょうか?

遠藤さん:常設している「一般展示室」は、国内外の昆虫標本をはじめ、パネルや映像を使って昆虫の生態をわかりやすく解説しています。中には、落ち葉の中から擬態した「コノハチョウ」を探すというようにクイズになっている展示もありますので、楽しみながら昆虫を知っていただくこともできます。

 

 

——楽しく学ぶことができる展示になっているんですね。他にはどんな展示がありますか?

遠藤さん:「企画展示室」には、テーマに沿って展示が変わる標本コーナーと、生きている昆虫に触れることができるふれあいコーナーがあります。ふれあいコーナーでは、新潟県にはもう生息していないと思われ、新潟では見る機会がない生きた「タガメ」に触れることができるんです。

 

 

——貴重な体験もできるんですね。他にも触れ合える昆虫っているんですか?

遠藤さん:中央アメリカなどに生息する世界最大のカブトムシ「ヘラクレスオオカブト」も手にとって観察することができます。子供にはとても人気のある昆虫ですね。持つときは長いツノの根元を持つようにすると、指を挟まれたりする心配がありません。

 

日本でここだけ?チョウにエサをあげることができる体験。

——「胎内昆虫の家」で一番の見所になっているコーナーってありますか?

遠藤さん:周囲を網で囲まれた庭園に、胎内に生息しているアゲハチョウやクロアゲハ約100頭が放し飼いされている「胎内の蝶園」でしょうか(4月下旬〜10月上旬)。チョウにエサをあげることができる「チョウのエサやり体験」は全国でもやっているところがないんじゃないかな。チョウを目の前に見ることができて人気の体験ですよ。

 

——え、チョウにエサをあげることができるんですか?

遠藤さん:はい。花の色をした「蜜皿」と呼ばれる装置を持って蝶園に入っていただき、チョウを呼び寄せてエサの蜜をあげていただきます。ちょっとお手本を見せますね。こうして「蜜皿」を構えてできるだけ身動きしないように…。

 

 

——おお!チョウが寄ってきましたよ!これは蜜の匂いで誘われてくるんでしょうか?

遠藤さん:いいえ。蜜の匂いではなく、「蜜皿」の色に誘われるんです。ご覧のように、「蜜皿」は花に似せた色をしていて、チョウはそれを認識して寄ってくるんです。

 

——それは知りませんでした!ちなみに蜜の正体は?

遠藤さん:蜜の正体は「ポカリスエット」です(笑)。害はないんですが、なめないように注意してくださいね。

 

昆虫採集の他にも楽しみ色々な自然いっぱいの胎内リゾート。

——これから夏休みを迎え、昆虫採集をする子どももいると思います。コツがあったら教えていただけないでしょうか?

遠藤さん:採集しようと思っている昆虫の習性をよく知ることですね。活動する季節や時間帯、木の種類、周辺環境などの情報を調べましょう。そのようにして採集の経験を積んでいき、昆虫の居場所を推測することが大事ですね。

 

——「胎内昆虫の家」周辺のおすすめ昆虫採集スポットってありますか?

遠藤さん:カブトムシだったら胎内川河原にある柳の木ですね。クヌギやコナラにいることが多いんですが、新潟県にはあんまり樹液を出す木は生えてないんですよ。ですので、新潟県でカブトムシを探す場合は、柳の木を探してみることをお勧めします。

 

 

胎内市には「胎内昆虫の家」の他にも、春から秋にかけて四季の花が咲き乱れる市営植物園「胎内フラワーパーク」、陶芸体験もできる粘土や鉱物の博物館「クレーストーン博士の館」、新潟県最大級の望遠鏡を持つ天体観測ドームのある「胎内自然天文館」、ファミリーキャンプも楽しめる「スポーツハウスキャンプ場」などミュージアムやリゾートが盛りだくさんです。山も川もあり自然に恵まれ、昆虫採集だってできちゃう胎内。この夏休みは家族で遊びに行ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに余談ですが、すべての「虫」が「昆虫」なのではありません。体のパーツが頭、胸、腹の3つに分かれ、6本の脚をもち、1対の触覚があるものを「昆虫」と呼ぶそうです。この定義からすると、6本以上の脚があるクモやムカデは昆虫じゃないんです。ご存知でしたか?

 

 

胎内昆虫の家

〒959-2822 新潟県胎内市夏井1204-1

0254-48-3300

9:00-17:00(入館16:30まで)

毎週月曜(祝日の場合は翌日、7月25日〜8月31日は無休)/12月1日〜3月19日


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