自宅で過ごす時間が長くなって、今まで以上に「衣食住」を充実させることへの関心が高まっています。お庭やインテリアガーデンも注目を集めるジャンルのひとつ。そこで今回ご紹介するのは、暮らしに彩ってくれる植物のプロ、「Irie G(アイリーガーデン)」の阿部さんです。どんなキッカケで造園業をスタートしたのか、どんな独自のこだわりがあるのかなど、いろいろとお話をうかがってきました。
Irie Gard
阿部 康司 Koji Abe
1982年新潟市生まれ。高校卒業後、プロサッカー選手を目指してブラジルへ。帰国後はJAPANサッカーカレッジに入学し、長野の実業団でプレー。2018年に独立をして「Irie Garden」を立ち上げ、2021年「「IRIE GARDEN DESIGN ROOTS」をオープン。サッカーのポジションは中盤。
――阿部さんは、どんなキッカケで庭師を目指したんですか?
阿部さん:学生時代はサッカーに明け暮れて、卒業後は長野の実業団で25歳ぐらいまでプレーしていました。引退してからは新潟へ戻って、サッカーに次ぐ「やりたいこと」を探すためにいろんな仕事を経験したんですよ。で、たまたま造園業に巡りあったんです。親が庭いじり好きだったこともあって、自分自身も植物が好きだったんですよ。そこで庭師について考えてみたら、渋い格好をして、大きなハサミを持って松に登っている姿がカッコイイなって感じて、庭師を目指すことにしたんです。
――サッカーからの庭師……大胆に進路変更しましたね。庭師を目指してからは、どこかで修行をされたんですか?
阿部さん:そうですね。まずは植木屋さんにお世話になって、庭の管理とか、畑にある樹木の管理とか、基本的な庭いじりを学ばせてもらいました。あとは造園も学んで、園芸店で働いたこともあったし……、外構屋さんも経験しましたね。
――なるほど。ちなみに、サッカーをやってきた経験が生かされたことは?
阿部さん:そうですね……とにかく実践で覚えることを大切にしていたので、その点ですね。ちなみに、プロを目指してブラジルへ武者修行に渡ったこともあったんですよ。
――「Irie Gard」についても教えてもらいたいんですけど、ちょっとその前に。名刺に「ランドスケープガーデナー」という肩書が書いてありますよね。これって?
阿部さん:これは、僕が考えた造語なんです。「ランドスケープ」が景観、「ガーデナー」が庭師を意味していて、造園という枠にとらわれないで植物を使った空間造りをしていきたいという思いから考えた肩書なんですよ。
――なるほど、初めて目にしたワードで気になっていたんです。これで「Irie Gard」の話に進めます(笑)。周囲を見渡すと松とか和っぽい植物がなくて、アメリカっぽい雰囲気があるんですけど……。
阿部さん:うん、アメリカっぽいのが多いかもしれないですね。僕自身がこの雰囲気が好きだから、サボテンとかを使ったドライガーデンとかカルフォルニアスタイルが多いんですよね。でも、純和風もやれますよ(笑)
――そうなんですね。ちなみに……庭造り以外もお願いできるんですか?
阿部さん:玄関まわりとか、外構だって植物を設えられますよ。それに美容室やカフェなどの飲食店の植物もやっていますし、内装を飾ることもできます。
――幅広くやられているんですね。でも、サボテンとかって新潟の冬に耐えられるんですか? カラカラに乾ききった砂漠にあるイメージしかなくて……。
阿部さん:室内なら基本的に問題ないですし、外でも冬囲いをしたら品種によっては大丈夫です。どの品種が越冬できるかは、お店の外のスペースで実験しているんです。
――ん? お店?
阿部さん:あ、ここは「Irie Gard」の作業場であり、8月28日からは「IRIE GARDEN DESIGN ROOTS(アイリーガーデンデザインルーツ)」として、観葉植物や鉢植え、園芸用品を販売するお店にもなるんです。モジャモジャのサボテンとか、珍しい植物もたくさんあるからお楽しみに。
――それでいろんなサボテンが並んでいるんですね。珍しいサボテン……家に飾ったらカッコいいですね。
阿部さん:サボテンは空気中の水分をトゲから取り込む性質があって、何年も水をあげなくても元気な品種もあります。だから何でも枯らしてしまう人にオススメです(笑)
――はい、それ僕です(笑)。では最後に、「Irie Gard」らしい庭造りとは何か教えてください。
阿部さん:一般的な庭造りにちょっとスパイスとなる植物や岩などの材料をプラスして、他とは違ったカッコイイ庭を作っています。そして、日常のなかで非日常を感じてもらえるのが「Irie Gard」の庭造りとお店としての役割ですね。
Irie Gard
新潟県新潟市中央区女池上山4-4-7