「神田酪農」のジェラートは、牛乳の美味しさを伝えるパスポート。
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2020.11.15
新潟県内の酪農は、阿賀野市にある安田が発祥地です。現在では「ヤスダヨーグルト」が全国的にも有名なブランドになっています。今回ご紹介する「神田酪農」も古くから安田で続いている酪農場のひとつ。今回は3代目農場主の神田さんに、酪農をはじめ牛乳やジェラートなどについてお話を聞いてきました。


株式会社神田酪農
神田 豊広 Toyohiro Kanda
1970年阿賀野市(旧安田町)生まれ。「神田酪農」の3代目農場主。北海道にある「文理科短期大学」の酪農学科を卒業後、そのまま北海道の牧場で研修を受ける。新潟に戻ってからは実家の神田酪農を手伝いながら、牛乳を集めるタンクローリーの運転手、鉄工職、水道工事などを経験し、1999年頃に神田酪農に就農。機械いじりが好きで、牛舎で使う機械なども修理することがある。
酪農場の歴史と飼育環境へのこだわり。
——「神田酪農」の創業者は「酪農の神様」って呼ばれているそうですね。いつから酪農をはじめたのでしょうか。
神田さん:大正9年に「六野瀬地区牛乳販売利用組合」を作って、その頃から酪農を始めたとはされてますけど、もっと前からやってたんでしょうね。ここらは「だしの風」と呼ばれる強風が吹いて、収穫前の農産物がみんな落されちゃうんですよ。でも牧草だったら風で倒れても問題なく使うことができたっていうことで、安田で酪農が始まったって聞いてます。
——それから100年近く続いて現在は3代目になるわけですね。どんな酪農を心掛けていますか?
神田さん:こまめに牛の糞尿を掃除したり、扇風機と換気扇を使った「トンネル換気」で自然に近い風を起こしたり、牛舎環境の快適化にはとても気を使っています。あと天然鉱石が入ったタンクを通して牛に水を与えることで、すっきりとした美味しい牛乳が出るようになるんです。そうした工夫が認められて平成18年に、新潟県が推進する「クリーンミルク農場」にも認定されました。昨年は「農場HACCP(ハサップ)」を取得することもできました。
——「農場HACCP」って何ですか?
神田さん:畜産農場での衛生管理向上を目的としたもので、食品の危害要因を防止する管理ポイントを設定して、監視や記録をしながら農場段階で危害要因を制御する方法なんです。獣医師や酪農関係の施設の皆さんとチームを作って「農場HACCP」の認証取得に向けての取り組みを続けてきたんです。大変でしたが、作業を明確にして食品事故が防げるようになりましたね。

オリジナル牛乳の販売がきっかけで始めた酪農見学や体験。
——県内の酪農場では珍しい、オリジナルブランドの牛乳を作ってるんですよね。
神田さん:はい。普通はいろんな酪農場から集めた牛乳をまとめて殺菌してから乳業会社で販売するんですが、うちでは「神田酪農」だけの牛乳として販売させてもらってます。県内では他にやっているところはないと思います。
——単独の酪農場ではコストが上がってしまうので、オリジナルの牛乳は作れない、と聞いたことがあるんですが。
神田さん:そうなんですよ。以前から「オリジナルブランドの牛乳を作る」ということを目標にしていて、いろんなところでそれを話してたんです。そしたらオリジナルブランドの牛乳を作っていた酪農場がやめることになって、その代わりにうちの牛乳でオリジナルブランドを作って販売しないかと販売元の会社からお声掛けいただいたんです。普段からいろんなところで話してたことが実を結んだんですね(笑)

——願いごとは口に出しておくもんですね。
神田さん:そうですね(笑)。それで「やすだ愛情牛乳」っていうパック牛乳が生まれたんです。異業種交流会で出会った人たちのおかげで販売先が広がっていきました。でもスーパーで店頭販売していると、パッケージや価格だけで判断されてしまうことがほとんどで……、どうしたら「やすだ愛情牛乳」の価値を伝えることができるだろうって考えて、酪農の見学や体験を始めることにしたんです。自分たちの仕事を見てもらい、知ってもらうことで、牛乳の価値がわかってもらえるんじゃないかって思ったんですよ。
——実際にやってみていかがですか?
神田さん:親子連れのお客様とか、幼稚園の園児たちとかが見学に来ますね。牛舎には匂いや汚れがつきものですけど、そうしたものも見ていただくことで、子どもたちの食育にもつながるんじゃないかって思ってます。

「牛乳嫌いの人にも味わってほしい」の思いから生まれたジェラート。
——ジェラートショップ「みるぱす」はどうして始めたんですか?
神田さん:イベントに出店して「やすだ愛情牛乳」を販売していたとき、試飲を勧めると牛乳を飲めない人がけっこう多かったんです。ちょうどその頃に「第1回やすだ瓦ロードフェスティバル」が開催されて、私も他業種の方々と一緒に出店することになったんですよ。そのイベントでうちの牛乳を使ったジェラートの販売をしてみたらとっても好評で、牛乳を飲めない人にも受け入れてもらえることがわかったんです。それで、もっとうちの牛乳を味わってもらうために「みるぱす」というジェラートショップを始めることにしました。最初はこの場所でやることに反対されたんですけどね(笑)

——え?どうしてですか?
神田さん:国道沿いならまだしも、細い道を入った誰も通らないような場所にありますからね。でも私は牛舎を見てもらいたかったから、あえて牛舎の隣に「みるぱす」をオープンしたんです。ちなみに「みるぱす」の意味は「ミルクパスポート」を略したもので「酪農の入口」っていう意味があるんです。
——おお、なるほど!そういう意味があったんですね。それじゃ「みるぱす」のおすすめジェラートを教えてください。
神田さん:やっぱり「ミルク」ですね。なにしろ牛舎から工房まで歩いて1分かからないですから、搾りたての新鮮な牛乳で作ってるんです。牛乳本来の甘さを生かしてますので、砂糖や添加物の使用は最小限にしてあります。牛乳嫌いの子どもでもうちの「ミルク」ジェラートは食べられるっていう話をよく聞きます。とてもうれしいですね。

オーダーやコラボによって牛乳の世界を広げていきたい。
——今後やってみたいことってありますか?
神田さん:今でもやっていることなんですけど、いろんな農家さんからオーダーをいただいて、持ち込まれたシャインマスカットとか、トウモロコシとか、ハネモノで販売できないフルーツを使ったジェラートを作ってるんです。今後もそうしたオーダーを受けて農家さんのブランドとしてジェラートを作っていきたいと思っています。あと地元企業とのコラボなんかもやっていきたいですね。

——たとえば、どんなコラボでしょう?
神田さん:企業コラボの第1弾として地元の「丸三安田瓦工業」さんとコラボして、「PU.LE.LA(プルレ)」っていうミルクカップを作ったんです。安田瓦でできているカップで、内側のざらざらした面の効果で牛乳がまろやかになるんですよ。すぐに在庫切れするほどの人気商品になってます。今後も地元の企業とコラボして、牛乳の世界が広がるような取り組みをどんどんしていきたいですね。

みるぱす
〒959-2215 新潟県阿賀野市六野瀬331
0250-68-4652
11:00-16:00・土曜日曜祝日 10:00-17:00
水曜休
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